米国でガリウム鉱床発見 モンタナ州で高品質品が採取、探査会社が認める
米国で、半導体材料であるガリウムの採掘が本格化する可能性が浮上している。Mining.comなどの外電が3月22日、米民間資源会社のUSクリティカル・マテリアルズ(US critical materials)が米モンタナ州でガリウム鉱床を発見したと伝えた。ガリウムは中国が2023年夏に輸出を規制したばかり。米国の対中戦略の助けになりそうだ。
■高い分離と高品質が可能か
報道によると、ガリウム鉱床が発見されたのはモンタナ州南西部にある同社の主力施設「シープクリーク」の約6,700エーカーの土地。今回の発見について、USクリティカルの幹部は「当社のガリウムは高品位であるだけでなく、環境に配慮した分離プロセスを作成できる」と話したという。
USクリティカルはモンタナ州とアイダホ州に土地を保有する民間のレアアース探査・開発企業。2023年7月に同地でのガリウム検出について「探査している」と発表し、オリジナルサンプルでは、米国で採取されているほかのガリウム鉱床に比べ14倍の高い分離が可能だとしていた。
■中国は実質的な禁輸状態、足元のガリウム価格はやや落ち着き
中国は2023年8月から、ガリウムとゲルマニウムの輸出を許可制にする輸出規制を始めた。審査が続くものの、現在まで輸出許可が下りた企業は少なく、実質的に禁輸状態となっている。
ガリウム価格は中国の輸出規制が発表された2023年7月から上昇を開始し、3月21日時点の高値は$550/kg。規制発表前に比べれば2倍に値上がりしたが、年末年始に$600に乗せていたのに比べると落ち着いている。
過去1年間のガリウム価格の推移(EU Spotmarket)($/kg)
米国はガリウムの時刻生産がなく、ほぼ100%を中国からの輸入に頼る。輸出規制を受け、米当局は中国の規制開始後、ガリウムの再利用に向け、米国やカナダの企業にガリウムを回収するよう要請する計画を発表するなど、中国以外からのガリウム調達を急いでいた。
(IR Universe Kure)
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