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車載用リチウムイオン電池の現状と動向 東大生産研

2024年5月7日(火)15:00から、東京大学生産技術研究所にて、第9回 材料の腐食と寿命に関する特別研究会において、「車載用リチウムイオン電池の現状と動向」と題して、リチウムイオンの研究歴20年の 宇恵(うえ)誠氏(早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 研究院客員教授)が講演された。

 

「材料の腐食と寿命に関する特別研究会」の代表幹事の八木俊介准教授に、お誘いいただき、講演会の取材許可をいただいた。

 

東京大学生産技術研究所の八木准教授との出会いは、

2024年3月1日(金)14:00から開催されたレアメタル研究会『第110回  リアル講演会(An棟2F コンベンションホール)+講演のネット配信(Zoom Webinar & YouTube)のハイブリッド研究会』において、

蓄電池技術開発の現状と将来展望~金属資源の観点から~ についてご講演された際に、名刺交換させていただいたのを縁として、今回の講演会にご招待いただいたものである。

2025年2月に開催予定のアイアールユニバース主催のバッテリーサミットにて、ご講演をお願いする予定でもある。

 

下記写真は、ハイブリッド講演会でのご講演の様子。リチウムイオン電池関連技術に絞って講演された。

 

写真上は、ご講演後、東京大学生産技術研究所所長 岡部教授(写真左)との質疑応答風景

 

 

「車載用リチウムイオン電池の現状と動向」講演会開催に際し、八木准教授より、宇恵氏の経歴が紹介された。

 

宇恵氏は、1984年に三菱油化(株)中央研究所にて有機電解液の研究を開始、

1988年に米国ピッツバーグ大学にて非水溶液化学を研究、1989年には、米国ローレンスバークレイ国立研究所にて全固体リチウム二次電池を研究、

2003年に、三菱化学科学技術センター・電池材料研究所、初代所長を務められた。

2012年には、サムスンSDI(株)R&Dセンター常務(ラボ長)、2017年に日本サムスンSDI(株)顧問、

2022年より現職で、2023年から(国研)科学技術研究機構・蓄電池領域アドバイザーも務められている。

 

 

「車載用リチウムイオン電池の現状と動向」

ご講演内容

Ⅰ序論 リチウムイオン電池(LIB)と電動車(xEV)

Ⅱ市場 電動車⇒電池パック⇒電池セル⇒材料⇒資源

Ⅲ電池性能

  1. 車載電池の構造
  2. エネルギー密度
  3. パワー密度
  4. 寿命
  5. コスト
  6. 安全性
  7. 構造簡略化

Ⅳおわりに

 

 

なお、レアメタル研究会第111回 2024年(令和6年)7月26日(金)
 リアル講演会+講演のネット配信(Zoom Webinar & YouTube)のハイブリッド研究会
テーマ:EVは、本当に環境にやさしいのか? において、

EVとLIBの現状と課題 (仮題)にてご講演予定ですので、そちらで直接講演を、お聴きいただくことをお奨めいたします。

 

 

 

本記事では序論及び電動車の市場についてのご講演内容の一部を紹介する。

 

Ⅰ序論 リチウムイオン電池(LIB)と電動車(xEV)

 

リチウムイオン電池(LIB

リチウムイオン電池産業の成長:1991年にソニー製リチウム電池を搭載するハンディーカムが商品化されて以来、第一次成長DELLのノートブックパソコン(WINDOW 95)、第二次成長ノキアのCelluer Phone(2G)、第三次成長電気ドリルと、20年間で1兆円産業に成長した。当時は日本が独占。

現在これら上記の需要は、約11 %となり、電気自動車用が約75%を占める。

 

リチウムイオン電池の躍進原動力:リチウムイオン電池は非水電解液のため、水系電解液系電池(鉛蓄電池、Ni-Cd電池)の限界であった電圧1.2V を3個直列相当の高電圧が得られることから、小型化、軽量化が図れること、更にはリチウムイオン電池の多様性が躍進した理由となる。

 

2021年には売上高、出荷量とも最大の二次電池となったものの、リチウムイオン電池の成長の阻害要因として、燃焼の三要素が揃っていることから、その開発は、発火事故との戦いであったという。

 

リチウムイオン電池に要求される性能、高エネルギー密度、高パワー密度、長寿命を満足するものの、低コスト化及び高安全性に課題がある。

 

電動車(xEV)

電動化の考え方には、欧米及び中国と、日本では異なる。

欧米及び中国では、プラグイン(外部から充電できるもの)、つまり、PHEV(プラグインハイブリッド車)、BEV(電気自動車)及び FCEV(水素燃料電池車)のリチウムイオン電池を使用するものを対象としている。

 

一方、日本は、内部で電気を作るHEV(ハイブリッド)も電動化の対象としている。

 

もともと、電動化は、自動車の排気ガスを減らす、ゼロエミッションが目的であり、ガソリン車と比較すれば、電気自動車はCO2排出量を削減できるが、ハイブリッド車よりよいか?

については、議論が分かれる。

 

地球環境負荷への正当な評価が必要:電源構成(石炭火力比率)、LCAを考える必要がある。

例えば、石炭火力比率の高いインド及び中国では、電気自動車を使えば使うほど、Well-to-Wheel )でのCO2排出量は世界のハイブリッド車の平均値を超える。

水力発電に依存しているノルウェー、原子力に依存しているフランスは、電気自動車は圧倒的にCO2排出量を削減できる。

 

 

 

Ⅱ市場 電動車

 

Plug-in EVの拡大:2021はEVシフト元年であり、2023年には、自動車の販売居台数の約1/4を電動車が占めた。

電動車の内訳:約1/2が電気自動車、プラグインハイブリッドが約20 %

 

人気の自動車トップテン(2023年世界):トヨタカローラを抜いて、テスラModel Yが第1位となった。

 

テスラは売れる高級車をターゲットに電気自動車化する。

 

<プラグインEV 販売台数>

 

Plug-in EV(2023年世界)電動化率16 %(BEV 70 %):1位 テスラModel Y、2位 テスラModel 3。 

欧米も順位は同じ。それぞれ電動化率21 %(BEV 67 %)、電動化率9 %(BEV 82 %)

テスラ以外は、国産車が占めるが、電池は韓国製が占める。

 

国策として電動化(環境に良いわけではないが。)を推進している中国は、

Plug-in EV(2023年中国)電動化率33 %(BEV 66 %):1位 テスラModel Y、2位 BYD Yuan(元) Plusと、2位にBYDは入り、以下中国製。

BYDのBEV率は54 %、車種が豊富(王朝シリーズ、海洋シリーズ)でPHEVとBEVとを量産し、しかも安価であることが特徴。

 

日本は、電動化率33%(BEV 64%):1位 日産SAKURA、2位 三菱アウトランダー、3位 日産LEAF

1位 日産SAKURAは、ガソリンスタンドが減少しつつある地方の主婦層、直近は近距離需要層、特に若い女性層に人気とのこと。電池は日本製

 

韓国も電池は韓国製が主体であるが、低価格車には中国製電池を使用し始めている。

 

 

講演会参加者との記念撮影(黒田教授、岡部教授も参加された。日本ペイント、日鉄ステンレス、中部日本テクノロジー、サンクト、計測エンジニアリンングシステム殿などが参加された。)

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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