中国備蓄局、コバルト1万5000トンの購入計画か 12ドル台程度で、外電報道
ロイター通信は5月23日、「中国の国家食糧・物資備蓄局(National Food and Strategic Reserves)が、今後数か月以内に最大1万5000トンのコバルトを購入する計画がある」との複数の消息筋からの情報を伝えた。後を追った形のブルームバーグ通信の5月24日報道では、価格はRMB20万-22万/tonと、ドル建てLB換算で$12.5-13.8/LB程度になる見通しという。
■大規模購入、一部は軍需目的に使用か
5月27日のLGコバルト価格は仲値$12.6/LBだった。コバルト価格は2019年8月以来およそ4年9か月ぶりの安値水準にある。
過去3か月間のLGコバルト価格の推移(Co99.3%)($/LB)
報道によると、購入はコンゴ民主種具共和国(DRコンゴ)で採掘する中国企業と交渉中だが、まだ合意には達していないという。コンゴでは、中国金属採掘大手の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)が大規模な採掘を行っている。消息筋によると、「備蓄局は、中国企業側にコバルト入手の可能性と価格の見積もりを問い合わせている。合意に達するまで交渉するつもりだ」という。
備蓄局によるコバルト購入量は、2023年は8700トンだったことから、もし今回1万5000トンに達すれば大幅な購入増となる。消息筋のうち2人は、「購入されたコバルトの一部は、軍事装備品に使われる可能性がある」と述べたという。
■コバルト需給への影響は限定の見通し
コバルトはCMOCによる採掘増が大きな要因となって、構造的な供給過剰状態にある。国際業界団体のCobalt Instituteの推計からIR Universeが算出したところによれば、2024年も1万9000トンの供給過剰になる計算だ。
備蓄局が大規模に購入すれば供給過剰状態が改善されそうにも思うが、実際には中国勢の中で回る生産と供給が国際市場に与える影響は限定的だ。ロイター通信は「コバルト価格の圧力はいくらか和らぐだろうが、コンゴ産の量を考えると、供給過剰が続く市場には大きな違いは生じないだろう」との業界筋の見方を伝えた。
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(IR Universe Kure)
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