週刊バッテリートピックス 「韓国でバッテリー火災」「理研が伸びる太陽電池を開発」など
2024年6月24日~6月30日のバッテリー業界では、週初の24日に海外で暗いニュースが相次いだ。まずは韓国のバッテリー火災が23人死亡の大惨事に。カナダが中国製電気自動車(EV)の輸入規制に参戦し、仏エラメットはインドネシア工場の建設を取りやめた。一方、国内では理研が新効能の太陽電池を開発するなど明るいニュースが注目された。
<国内>
●理研、伸縮可能な有機太陽電池を開発
理化学研究所(理研)は6月27日、ホームページ上で、「高性能で伸び縮み自在の有機太陽電池を開発した」と発表した。発電層の機械的特性に依存せず、デバイス全体に伸縮性を付与するもので、他の発電層材料にも適用可能であるため、伸縮性有機太陽電池の開発に新たな道を開くことが期待できるという。
プレスリリース:伸縮可能な有機太陽電池の高性能化 | 理化学研究所 (riken.jp)
10ミリから14ミリに引き延ばせる
(出所:理研ホームページ)
●ホンダ、7月9日から米国でプラグイン水素燃料電池車のリースを開始
ホンダの米子会社は6月26日、自社ホームページ上で、「7月9日に量産型プラグイン水素燃料電池車『CR-V e:FCEV』のリースをカリフォルニア州で開始する」と発表した。リース価格は6年間で月間389ドルから。
リース期間2年間と3年間のタイプも含め3タイプの契約パッケージを用意する。すべてに水素燃料クレジット料金を含む。量産型プラグイン水素燃料電池車の販売は米国初。
●リコー、超小型衛星にペロブスカイト太陽電池を搭載へ
リコーと関西大学は6月25日、それぞれのホームページ上で、「関西大学が開発した超小型衛星「DENDEN-01」にリコーの宇宙用ペロブスカイト太陽電池が搭載され、軌道上での実証実験を行うことが決まった」と発表した。既に6月4日に国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)への引き渡しが完了しており、今秋に国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げられた後、ISSからの放出実証実験を開始し、約半年間のペロブスカイト太陽電池の評価が行われる。実用的なペロブスカイト太陽電池の直列モジュールを用いた宇宙実証は国内初。
プレスリリース(リコー):超小型衛星「DENDEN-01」にリコーの宇宙用ペロブスカイト太陽電池が搭載 | リコーグループ 企業・IR | リコー (ricoh.com)
超小型衛星のイメージ
(出所:JAXAホームページ)
<海外>
●米エクソンモービル、韓国SKオンにリチウム供給へ 最大10万トン
米石油大手のエクソンモービルと韓国電池大手のSKオンは6月25日、それぞれのホームページ上で、「エクソンからSKオンへのリチウム供給契約に向け覚書を結んだ」と発表した。供給規模は最大10万トンで、複数年にわたる見通し。エクソンが米アーカンソー州で開発中の鉱床から採掘するリチウムを利用する。
エクソンは2030年までに年間約100万台のEV用バッテリーに原料を供給する目標を立てており、2027年に同社初のリチウム採掘に取り掛かる。一方のSKは米国事業の強化に米国産のリチウムを利用したい考えで、供給されたリチウムは米国工場で利用する。
プレスリリース(エクソン):Supplying Lithium for EVs: SK & ExxonMobil| ExxonMobil
プレスリリース(SKオン):SK On Signs MOU with ExxonMobil for Lithium Offtake in U.S. | SK
●韓国でバッテリー工場火災 23人死亡
外電などによると、韓国華城市の電池メーカー、アリセルのリチウム電池工場で6月24日、大規模な爆発による火災が発生し、作業員23人が死亡した。
関連記事:韓国 LIB工場で火災事故 22人が死亡の大惨事 | MIRU (iru-miru.com)
関連記事:韓国バッテリー火災、問われる安全 日本でも頻発、消火は難題も「考える時期」 | MIRU (iru-miru.com)
●カナダ、中国製EVの輸入関税引き上げ検討 中国反論
カナダ政府は6月24日、中国製EVに対する追加関税を巡り一般からの意見(パブリックコメント)を募ると発表した。対する中国は6月25日開幕の夏季ダボス会議で李強首相が西側諸国の過剰供給の指摘に反論した。
関連記事:中国EV輸出規制にカナダ参戦へ 狭まる包囲網、中国はドイツに取引示唆、夏季ダボスで反論 | MIRU (iru-miru.com)
●仏エラメットと独BASF、インドネシアの電池材料工場の建設取りやめ
仏資源大手エラメットは6月24日、ドイツの総合化学大手BASFと計画していたインドネシアでのニッケル・コバルト精錬工場の共同建設を取りやめた」と発表した。
関連記事:エラメット インドネシアSonicBayプロジェクトは中止に BASFとの共同出資は行わず | MIRU (iru-miru.com)
●ファーストハイドロジェン、水素燃料電池車事業を拡大へ
ドイツとカナダの株式市場に上場する水素燃料自動車のファーストハイドロジェンは6月24日、自社ホームページ上で、水素燃料電池車(FCEV)事業の現状と今後の拡大方針を発表した。英国での実験がうまくいったため。同社はカナダやメキシコ、欧州などで事業展開する。
プレスリリース:First Hydrogen Corporate Update Fcev Expansion - First Hydrogen Corp
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/05/01 ミライラボ、中古EVバッテリーの二次流通促進へあいおいニッセイ同和損保と提携
- 2025/05/01 (速報)2025年4月国内新車販売台数 前年同月比4か月プラスも2年前の同月より5か月連続下回る
- 2025/05/01 ニッケルブログ#20 EU競争力指針-ニッケル産業からの意見
- 2025/05/01 米ウクライナ、資源協定を締結 復興基金を共同設立、米財務省が発表
- 2025/04/30 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム詳報4〜キヤノン、トヨタ
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU使用済自動車規則案:揉めるプラスチック再生材含有ターゲットの行方は?」
- 2025/04/30 AUTOMOBILE COUNCIL2025:自動車メーカーの誇りとクラシックカーの遺伝子
- 2025/04/30 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム詳報3〜金城産業、ベステラ、Rジャパン
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月の廃バッテリー輸出推移統計
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月のニッケルくず輸出入統計