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豪ILUKA RESOURCES 日本でネオジムなどレアアース本格販売へ

 豪のミネラルサンド大手のILUKA RESOURCES(=アイルカ リソーシズ)は2026年をめどに、日本でレアアースの本格販売に乗り出す。現在、豪で建設中の製錬所の操業開始に合わせて、永久磁石などの重要原料である酸化ネオジムや、プラセオジム、ジスプロシウム、テルビウムを含む一連の酸化物製品を製造する。これら製品は現在、世界の90%以上が中国経由で生産されており、中国の独占的支配のリスクが高まっているため、オーストラリアのような友好国からの新たな安定供給源による選択肢が増えることは日本の産業界にとって歓迎すべきニュースである。

 

 ILUKAは、同社のジルコンやイルメナイト等チタン原料の総代理店であるラサ商事のサポートも必要に応じて受けながら、この新たなレアアース製品の供給開始にともない様々な業界への販売を目指している。中国依存が一段と深まるとの懸念が高まる中、EV(電気自動車)・風力発電装置など、脱炭素・気候変動対策関連で需要が急拡大する市場に、ミネラルサンド(ジルコン及びチタン原料)生産の長い歴史とともに、強力で信頼できるILUKAのようなサプライヤーが出現したことは心強いことだ。

 

 レアアース製品の精錬所は、現在(パースの北300㎞に位置する)Eneabbaに建設中であり、2026年の操業開始を予定している。当初の年間生産量は4,000トンで、その後5,500トンまで拡大する予定である。このプロジェクトは、豪連邦政府の輸出信用機関Export Finance Australia(EFA)によるノンリコースローン*として12億5,000万豪ドルの資金提供による豪連邦政府の全面支援のもとに進められている。

 

*ノンリコースローン:特定の事業や資産から生じるキャッシュフローのみを返済原資とするローン

 

 

 これら製品の原料となるモナザイト及びゼノタイムは、ILUKAの事業における主要製品であるジルコン、イルメナイトやその他のミネラルサンドと共に採掘され、西オーストラリアの旧鉱山跡地の一つであるEneabbaに、レアアースの濃縮物として現在約100万トンの原料備蓄があるという。加えて、同社には将来の安定供給を担保する数十年分におよぶ採掘資源を有しているとのこと。

 

 同社のマーケットディベロップメント部門のOwen Grayゼネラルマネージャーは、日本でのレアアース販売の開始について「EVをはじめとして日本市場の成長性に着目しての決断だ。当社のレアアース原料はいわばミネラルサンド生産の副産物。そのため採掘に関するリスクや炭素排出量も最小限に抑えられる。それらの点をアピールしながら拡販を目指したい」と話している。

 

 

 日本も例外ではないが、レアアース供給における中国依存度は際立っている。右図はIEAが5月に発表した「Global Critical Minerals Outlook 2024」から抜粋した図になるが、グラファイトと並んで、レアアースの中国依存度の高さは一目瞭然である。

 

 経済産業省所管の独立行政法人JOGMECと双日が11年に共同で設立した日豪レアアースを通じ、23年3月に豪のLynas Rare Earths Limitedに総額2億豪ドルの追加出資を決めたのも、そうした事態の打開を目指す権益確保の動きの一つだった。追加出資を通じ、Lynasが生産する豪マウントウェルド鉱山(西オーストラリア)由来のジスプロシウムとテルビウムの最大65%を日本向けの供給分として確保する契約を締結している。今回のILUKAの進出により、調達ルートの多様化がさらに進むことになる。

 

(IRuniverse)

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