カナダ、中国製品に追加の輸入関税 EVは10月1日から100%、鉄鋼・アルミは25%
カナダ政府は8月26日、ホームページ上で、中国製品への輸入関税引き上げを発表した。中国製の電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)に100%、鉄鋼とアルミニウムには25%の追加関税をそれぞれ課す。EV向けは10月1日付で発効する。
■EVは既存の6.1%に上乗せ、鉄鋼とアルミはリストを後日公表
発表によると、100%の追加関税の対象はEVやHVのほか、中国製のトラック、バス、配送バン。現在の輸入関税である6.1%に上乗せされる。
一方、鉄鋼とアルミの25%の追加関税の対象は後日リストを公表する。公表日は10月1日以前で、実施は10月15日から。
カナダ政府はまた、バッテリーとバッテリー部品、半導体、ソーラー製品、重要鉱物などを巡る関税について、第2回の協議を開始する。協議機関は30日間だが、数日内に協議通知を発表し、政府方針を示唆する。また、排出ガスを発生しない次世代車の定義を、カナダと自由貿易協定を締結した国で作られた製品に限定する。
■米欧と足並み、鉱業分野でも厳しい対中姿勢
カナダはかねて中国製EVへの輸入関税引き上げを検討し、8月1日まで公衆からの意見公募を行っていた。中国製EVを巡っては米国が100%、欧州連合が最終36.3%の輸入関税をかけると発表しており、米欧と足並みをそろえた形だ。
関連記事:中国EV輸出規制にカナダ参戦へ 狭まる包囲網、中国はドイツに取引示唆、夏季ダボスで反論 | MIRU (iru-miru.com)
関連記事:カナダは中国のEV自動車について公衆諮問を開始し、関税の追加や投資制限の課題を検討している | MIRU (iru-miru.com)
一方で、カナダは資源分野でも中国に対する厳しい姿勢が目立つ。6月には同国資源のバイタル・メタルズが中国企業に売却する予定だったレアアース(希土類)資産を政府が買い取った。また、5月には中国・紫金鉱業からの同国資源ソラリス・リソーシズへの出資計画が、政府の認可が下りずにとん挫した。
関連記事:カナダ政府、レアアース資産の中国勢による買収を阻止 自国企業の資産を買い取り | MIRU (iru-miru.com)
関連記事:加ソラリス、中国・紫金鉱業からの出資受け入れ中止 カナダ政府の認可下りず計画とん挫 | MIRU (iru-miru.com)
今回の発表でも、「カナダの鉄鋼とアルミニウム産業には、延べ13万人が従事している」とし、「カナダの労働者を中国の不公正な貿易政策から保護する」と述べた。カナダは鉱物資源国の1つであるだけに、中国との関係で米欧とは異なる軋轢を抱えている。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2024/12/06 2024年の新車販売台数見込みと高原市況だった中古車市場の振り返り
- 2024/12/06 金属・リサイクル関連でも多数の出展――SDGs Week EXPO 2024
- 2024/12/06 第11回BatterySummit 講演者紹介 リリックテクノロジー(株)技師長 三島 洋光氏
- 2024/12/06 大紀アルミ・第2次中期経営計画のかじ取りは 高止まりする原料スクラップ――林繁典社長に聞く
- 2024/12/06 黒谷 連続鋳造法による銅合金で攻勢――アジア市場の開拓もにらむ
- 2024/12/06 銅板輸出Report #63 韓国向け輸出減る中 東京から高付加価値品の輸出増加中
- 2024/12/06 グリーントランジション2024に参加して② 中国におけるグリーンスチールの取り組み
- 2024/12/06 グリーントランジション2024に参加して① グリーンスチールの議論
- 2024/12/06 トランプ氏の最新関税、米国、中国、メキシコ、カナダのどちらが最も傷つくのか
- 2024/12/06 鉄鋼輸出入実績詳細 2024年度10月(速報)9月実績②輸入 普通鋼主要品種