ベステラ(1433) 25/1Q2決算説明会メモ ややネガティブからニュートラルに変更
25/1期17.1%増収、営利2.0倍予想も採算改善寄与で増額期待
株価899円(9/11) 時価総額80億円 発行済株8990千株
PER(25/1期DO15.6X)PBR(1.87X)配当(25/1予)20円 配当利回り:2.2%
要約
・25/1H1は大型工事の施工が順調に推移し73.3%増収、営利2.11億円と黒字転換
・25/1期は6/7増額予想の17.1%増収、営利2.0倍予想に変更なく採算改善寄与で増額期待
・中期経営計画で26/1期に売上高120億円、営利12億円を目指す
25/1H1は大型工事の施工が順調に推移し73.3%増収、営利2.11億円と黒字転換
プラント解体専業大手で製鉄所、発電所、石油化学等のプラント解体に強味。9/9に25/1H1決算が開示され、同日説明会が実施された。25/1H1は売上高57.67億円(6/7予想比2.67億円増額、同期比73.3%増)、営業利益2.11億円(同1.11億円増額、2.72億円改善し黒字転換)、経常利益2.58億円(同1.08億円増額、2.67億円改善し黒字転換)と増額着地となった。なお受注は47.10億円(同46.6%減)、受注残は89.60億円(同31.1%減)となった。売上は上期として過去最高額、利益も増収効果で黒字転換に。
事業別で解体メンテナンス事業が97.5%を占めるため、この動向を示す。業界別では完成工事高で製鉄向けが16.87億円(構成比30%、4.4倍)と発電所・変電所等の解体工事が進捗した。石油・化学も18.55億円(同33%、56%増)と石化、製鉄では大型元請工事が寄与した。ちなみに元請け案件では25.69億円(2.5倍)、下請案件30.53億円(40.7%増)と元請案件の寄与が大きい。また総利益では元請4.59億円(3.8倍)、下請け4.66億円(47.0%増)となっており、元請で大幅増種に加え、シェア拡大のための低収益案件の比率が下がったことも利益増に大きく寄与している。
説明資料では受注総額の開示はあるが内訳記されていないが業種別受注残高が開示されており、逆算して受注動向を業種別(あくまでキャンセル等が不明で大雑把な推定値)に見ると、鉄鋼向けが5.4億円(同期比89%減)と長期の大型受注残高があり、受注が一服止している。一方、石油・化学は14.85億円(同横這い)、電力が17.17億円(7%増)大型案件を継続して受注獲得している。なお受注残高が61.74億円(同31%減)と依然鉄鋼向けが50%を占めている。
営業利益の増減要因では増収効果3.43億円に加え不採算工事の減少で原価率が改善し1.17億円、1人当たりの効率化などもあり、販管費の増を補い大幅増益に。
25/1期は6/7増額予想の17.1%増収、営利2.0倍予想に変更なく採算改善寄与で増額期待
25/1H1の状況を踏まえ、25/1期予想を6/7修正予想の売上、営業利益を据え置き、営業外の調整で経常利益、税引利益を多少変更し、会社予想を売上高110億円(期初計画比10億円増額、17.1%増)、営利5億円(同0.8億円増額、2.0倍)、経常利益6.5億円(同1.3億円増額、6/7修正比0.5億円増額、59.5%増)、税引利益4.8億円(同1.3億円増額、同0.8億円増額、2.1倍)予想とした。事業別売上、受注予想の開示はないが、今期の売上げの実質伸び率(オダがフル連結で6億円程度の寄与)が11%強と、シェア獲得のための低採算工事の受注獲得が一巡しており、受注自体は減少する見通しで、売上の伸びは鈍化しよう。但し、受注環境は鉄鋼の高炉から電炉への構造転換、石油・化学プラントの集約、高付加価値化への設備改善投資、電力プラントもエネルギーシフトなどで引き合いは多い。25/1H2についても総利益率が慎重に見て維持される見通しから、会社計画を若干上回る収益が見込まれる。
中期経営計画で26/1期に売上高120億円、営利12億円を目指す
同社は2022年12月に中期計画として「脱炭素アクションプラン2025」を掲げ、26/1期に売上高120億円、営利12億円達成を数値目標とした。現状、国内での建設後50年を超過し老朽化設備が多く、潜在的な解体市場は2040年にかけ20兆円規模から50兆円に達する国土交通省予測が有り、解体産業の継続的な拡大が見込まれる。同社はこのような環境の中で、脱炭素化に向けた更なる解体事業の拡大を目指す。
現状、解体事業の受注環境は良好で、完成工事拡大のための人員増加も順調に推移し完成工事の達成は十分可能性がある。利益面でも26/1期には元請事業の収益性改善も不採算案件の減少でさらに収益性の改善が見込める。但し、一部で中国勢が参入し解体事業の競争激化も言われており、下請案件では解体分野の収益性が落ちる可能性もあり、全体として26/1期利益の目標達成には努力が必要とみられる。
株価は3/8の本決算発表で25/1期収益の増収増益予想を受けて上昇し1173円を付けたものの中計見通しが不透明で急落、その後6/7のQ1発表で増額修正から反騰、6/11に1050円まで上昇も再度下落している。9/5に経常利益以下を再増額したこともあり9/5に1019円まで上昇も再度下落している。現在、25/1期会社修正予想EPS54.17円に対しPER16.6倍はイボキンの9.8倍、エンビプロ9.8倍、TRE15.4倍に対し割高となっている。今回の増額は営業利益の増額ではないこと、多少営利も増額が見込まれるものの、中計26/1期予想は売上については達成可能も利益面ではプライム上場維持を念頭に多少高い目標として掲げている可能性もあり、達成リスクがあると判断、大幅な自社株買いなどの実施は流動性の面で可能性が低いとみられ、ややネガティブからニュートラルに引き上げるにとどめたい。
*エンビプロ(5698)、イボキン(5699)との比較
(H.Mirai)
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