JEPLAN Axens・IFPENとPET ケミカルリサイクルプロセスで商用展開承認
―様々な使用済PETをリサイクル可能なケミカルリサイクル技術のライセンス供与が可能に―
株式会社JEPLAN(代表取締役 執行役員社長:髙尾 正樹)は、10月28日、AxenとIFP Energies nouvelles(以下「IFPEN」)と共に、Rewind® PETケミカルリサイクルプロセスについてAxensによる商用展開(技術ライセンス供与)の承認を得たことを発表した。
3社は、2023年10月にJEPLANの保有する北九州響灘プラント(略称:KHP、福岡県北九州市)を改築・拡張する形で、Rewind® PETの凖商用レベルの設備(Semi-industrial unit)でのデモンストレーションの開始を発表。約1年間にわたるデモンストレーションにおいて、順調に成果を得ることができ、技術の性能が確認されたため、ライセンサーであるAxensによるライセンスの商用展開の承認を発表するに至った。これにより、AxensとIFPENの戦略の要となるエネルギー転換とプラスチックの循環経済の加速が期待される。
この商用展開の開始により、Axensは世界中の顧客に様々な使用済PETをリサイクル可能なRewind® PET ケミカルリサイクルプロセスの技術ライセンスを提供できるようになる。
順調に重要なマイルストーンを達成
Axens、IFPEN、JEPLANは、2020年に戦略的パートナーシップを締結し、あらゆる種類の使用済のポリエチレンテレフタレート(PET)、特にメカニカルリサイクルが難しい廃PETをリサイクルするための革新的なケミカルリサイクルプロセスの開発に取り組んできた。フランス環境・エネルギー管理庁(ADEME)の支援を受け、この協力の成果として、2023年9月にKHPの既存設備に併設するかたちで、Rewind® PETの凖商用レベルの設備(Semi-industrial unit)を建設し、試運転、稼働が実現した。
デモンストレーションの結果、プロセスの有効性と信頼性が実証されたことで、Rewind® PETのプロセスについて技術評価がなされ、商用展開の開始に至った。
3社が当初発表したスケジュールは野心的なものだったが、順調に成果を得たことで、この商用展開の開始が実現した。Axensは、基本プロセス設計(モジュール化可能)、性能保証、専用機器の供給、顧客が新たに建設をするケミカルリサイクル工場の立ち上げと運用に関する技術サポートを含む、Rewind® PETライセンスを提供できるようになった。
業界で待望の革新的なPETのケミカルリサイクルプロセス
Rewind® PETは、PETの解重合をグリコリシスによって行い、得られたモノマーであるBHET(ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタレート)を高度に精製するプロセス。このプロセスの主な利点は、すべての添加剤や着色料を分離して高純度なBHETモノマーを再生できる点にあり、これにより既存、及び新たに建設する重合プラントで容易に再重合が可能。デモンストレーションで得られた精製BHETモノマーから製造された再生PETは、すでに食品包装や化粧品業界等の主要企業からも承認を受けており、広く市場に受け入れられる可能性が示唆されている。
<各社代表コメント>
Axens Chairman and CEO Quentin Debuisschert
Rewind® PETプロセスは、Axensのプラスチック循環型経済におけるグローバル戦略の一環であり、メカニカルリサイクルを補完するために設計された複数の化学的および物理的リサイクルプロセスの開発と商用展開を行っています。この革新的なプロセスを通じて、私たちはクライアントが包装やテキスタイルを含む多くの産業分野においてリサイクル材料の導入に関する野心的な目標を達成するのを支援します。これは、信頼性が高く持続可能なソリューションを求める製造業者やブランドオーナーにとって、環境負荷の課題解決に向けた対応策となります。
IFPEN President Pierre-Franck Chevet
私たちは、この革新的なRewind® PET ケミカルリサイクルプロセスの商用展開が可能になったことを誇りに思います。これは、IFPENでの10年にわたる研究開発の成果であり、AxensやJEPLANとのパートナーシップによる成功したデモンストレーションの成果であり、IFPENが循環型経済に対するコミットメントを持ち、プラスチック廃棄物削減のための技術開発に取り組んでいることを示しています。
JEPLAN 代表取締役 執行役員社長 髙尾 正樹
私たちは、ポリエステル製の包装材や繊維の循環経済の発展を推進するこの開発に参画し、重要なマイルストーンの達成を発表できることを大変誇りに思います。AxensとIFPENと共に、この革新的なプロセスを通じて、PET業界のリサイクル目標を達成する一助となり、グローバルな環境目標に貢献することが期待できます。JEPLANは、川崎のペットリファインテクノロジー(PETボトル)を商用稼働するとともに、KHP(ポリエステル繊維)の運営も行っており、PETケミカルリサイクル業界においてパイオニアとして、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、独自技術を用いて資源循環に取り組んでいます。
(IR universe rr)
関連記事
- 2025/07/03 ENEOSと三菱ケミカル プラ油化に向けケミカルリサイクル設備竣工
- 2025/07/02 阪和興業、タイのPRALAN ENERGYとR&Tからのタイヤチップ供給に合意
- 2025/07/02 三井化学 「廃プラスチック分解油の精製技術開発」がNEDOの実用化開発プログラムに採択
- 2025/07/02 ENEOS ベンゼンの契約価格決定、国内想定換算値115.5円/kg
- 2025/07/02 鉄鋼・非鉄関連会社の決算発表予日定一覧 :発表時間を追加
- 2025/07/01 トラスト(滋賀県)PCR材(再生原料)に新たなラインナップを追加
- 2025/07/01 ユニ・チャーム サーキュラーエコノミーパートナーシップへ加盟
- 2025/07/01 TDK 製造工程使用済みフィルムをリサイクル、作業服を製作
- 2025/07/01 JFEエンジ ケミカルルーピング燃焼原理で電力・水素・CO2同時製造実証試験開始
- 2025/06/30 電力取引量(25年6月)