BASF 世界初のバイオマスバランス・アプローチによるポリエーテルスルホン(PESU)開発
BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、3月5日、高性能熱可塑性プラスチックを必要とするすべての産業向けに、世界初のバイオマスバランス(BMB)のポリエーテルスルホン(PESU)を提供すると発表した。Ultrason® E 2010 BMB は、化石資源の代替、温室効果ガスの排出削減、再生可能な原料の利用拡大に貢献。 PESU により、家庭用品やケータリング、自動車、電気・電子機器(E&E)、医療、水道・衛生など、さまざまな業界のユーザーは競合他社との製品の差別化を図れるようになる。また、サステナビリティ目標の達成にも役立ち、材料の性能や品質を損なうことなく、新たな加工ラインへの追加投資も不要。
Ultrason® E 2010 BMB は、生産の初期段階で化石原料を再生可能な原料に置き換えている。再生可能な原料は有機廃棄物由来のもので、その量が ISCC PLUSに従って認証されたマスバランス・アプローチによって Ultrason®グレードに割り当てられる。この BMB グレードは、ドイツのルートヴィッヒスハーフェンにある生産工場で、再生可能な原料と 100%グリーン電力を使用し、資源効率の高いプロセスを経ることで、標準的な BASF の材料と比べて製品カーボンフットプリント(PCF)が低くなっている(2)。またBASF は Ultrason®のユーザーが自社製品の PCF を評価する際のサポートとして PCF データを提示し、透明性を確保している。これは、大人用や赤ちゃん用のリユーザブルボトル、電子レンジ用の食器や家電製品だけでなく、自動車用燃料部品、医療機器、電気・電子(E&E)産業のコネクター、家電製品など、日常生活で使われる多くの用途に役立つ。
こうしたサステナビリティの利点に加え、Ultrason® E 2010 BMB はドロップインソリューションとなっている。この PESU は、特性、品質、食品・水との接触などの認証において標準グレードと同等。そのため、Ultrason® E 2020 BMB を使用した製品は再認証や、射出成形や押出成形といった既存の製造工程の変更は不要であり、従来と同等の高い性能が確保されている。
BASF のグローバルビジネスディベロップメント Ultrason®担当者のエリック・ガベルスは、次のように述べている。「BASF はバイオマスバランスのポリエーテルスルホンを提供する初の企業です。当社の革新的な Ultrason®ポートフォリオに新たに加わったこの製品 によって、私たちは、お客様のサステナビリティ目標の達成に向けた取り組みを、できるだけ早い段階から支援し、より循環型のソリューションに向けたグリーントランスフォーメーションの実現を支援していきたいと考えています。」
Ultrason® E 2010 の製造に必要な化石原料の 50%は、ISCC PLUS の認証を取得したバイオ循環型原料に置き換えられており、最終的な Ultrason® E 2010 BMB グレードへの割当量は 39%となる。
信頼性の高い算出方法と第三者認証で実証された低 PCF
BASF は、Ultrason®を含む販売製品の Cradle-to-gate(ゆりかごからゲートまで)のPCF を算出するためのデジタルアプリケーションを開発。PCF には、原材料の購入から、生産工程における作業やエネルギーの使用による排出まで、BASF 製品が工場のゲートを出るまでに発生する、製品関連のすべての温室効果ガス排出量が含まれる。
PCF を削減する方法としては、生産工程におけるグリーン電力の使用や、バイオマスバランス・アプローチによる再生可能な原料の割り当てなどがある。なお、バイオマスバランス・アプローチでは、製造の最初の段階で化石原料をバイオマス由来の資源に置き換え、再生可能な原料の量を、第三者機関によって認証された方法で、製造工程の最後に特定の製品に割り当てる。そして、ユーザーが購入するバイオマスバランス製品において、BASF が ISCC PLUS などの要件に基づき、必要な量の化石原料を再生可能な原料に置き換えていることを、独立した認証機関が確認する。
Ultrason®は、ポリエーテルスルホン(Ultrason® E)、ポリスルホン(Ultrason® S)、ポリフェニルスルホン(Ultrason® P)から成る BASF の製品群の商標名。この高性能熱可塑性プラスチックは、水ろ過用メンブレン、スタイリッシュで耐久性があり安全な家庭用品やケータリング用品、自動車産業や航空宇宙産業で使用される軽量部品の製造に使用されている。Ultrason®ブランドは、その優れた特性により、熱硬化性樹脂、金属、セラミックの代替として利用することができる。
(IR universe rr)
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