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バナジウム市場近況2025#7 さえない、最終需要弱く生産企業が元気喪失

2025/07/01 15:56
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 2025年7月初めまでのバナジウム市況はさえない。五酸化バナジウム、フェロバナジウムのいずれの価格も6月に入り段階的に下げた。最終製品の需要回復が見込めず、市場では構造的な供給過剰感が漂う。取引が鈍る中、メーカー側による値下げや生産意欲の低下も広がっている。

 

■五酸化バナジウム2月以来、フェロバナジウムは5月以来の安値

 

過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)

 

 五酸化バナジウムは6月19日に仲値$4.51/lbと、2月中旬以来およそ4か月ぶりの安値を付けた。4月中旬に$4.81まで上げたがここをピークに調整が進む。中長期では2018年秋に付けた$30台を頂点にじり安の展開だ。

 Ferroalloy.netは6月27日までの週刊レポートで、「大手五酸化バナジウムフレークメーカーが在庫解消のため、6月の長期注文価格を引き下げた」と指摘した。大手の値下げに追随し、中小メーカーも取引価格を引き下げた模様だ。

 

過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)

 

 鉄鋼向けのフェロバナジウムもさえない。6月26日に仲値$24.375/kgと5月中旬以来の安値を付けた。5月末から6月初旬までは$24.75まで上げたが、この水準は維持できなかった。中長期ではやはり2022年春の$64を頂点に下落が続く。

 中国の不動産市況の低迷が長引く中、鉄筋向け添加剤としてのフェロバナジウムも需要も戻らない。Ferroalloy.netはレポートで「フェロバナジウム企業はコストラインで長い間苦労しており、全体的な生産意欲も低下している」と説明した。

 

Topics

6月25日

 

 カナダバナジウムメーカーのラルゴ・リソーシズが6月25日に自社ホームページ上で発表した5月のV₂O₅生産量は、835トンと4月の401トンから75%増えた。ブラジルで運営するマラカス・メンチェン鉱山の操業効率が向上し、生産増に結び付いた。

 

プレスリリース: Largo Inc. - Largo Provides Update on its Operational Turnaround Progress; Delivers Improved May Production

 

6月23日

 国際協力銀行(JBIC)は6月23日、太陽鉱工(兵庫県、鈴木一史社長)のマレーシア法人との間で、融資金額30億円(JBIC分)を限度とする貸付契約を同日に締結したと発表した。マレーシアで実施する使用済み脱硫触媒からのモリブデンやバナジウムの分離回収事業に必要な資金を融資する。

 

関連記事: 国際協力銀行、太陽鉱工のマレーシア法人へ30億円限度に融資―使用済み脱硫触媒からモリブデンなど回収 | MIRU

 

6月3日

 調査会社プロジェクト・ブルーは6月3日、国際会議「Critical Materials Forum」を都内で開催した。「バナジウムおよびニオブ市場の見通し」と題する講演があった

 

関連記事: バナジウムとニオブ市場の見通しーー電池材料として注目高まる | MIRU

 

(IR Universe Kure)

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