これから市場は急拡大!建物解体のプラットフォーマー〜株式会社クラッソーネ
「くらそうね解体」には年間6,000件程度の見積もり依頼が
株式会社クラッソーネでは、解体業者の無料斡旋サイト「くらそうね解体」を運営している。提携解体業者3社から無料で見積りが取れ(登録業者数は全国48都道府県で1,000社)、マッチした業者を選ぶことができる。
最近では解体工事の施主手配が増えているが「いざ探そうと思ってもどこに声をかけてよいのか分からない」という声が多くあがっている。こうしたニーズに応えるため、許可の取得、工事実績などの観点から厳選した業者を無料で紹介する、それがこの「くらそうね解体」なのだ。
同社社長の川口哲平氏は京大卒業後、セキスイハイムに入社、営業成績全国1位を獲得するなど活躍していくなかで、解体業界の大きな課題に気づいたという。それは空家問題、廃棄物処理、ビル・マンション老朽化、業界の人手不足‥といった事柄だ。そんななか、メーカーから流通業(ニーズ、情報のマッチング)への転身を決意、株式会社クラッソーネの設立にいたった。
クラッソーネの拠点は、名古屋、東京、そしてなんと屋久島の3拠点となっている。社員は全オフィスで40名になる。
昨今、空き家問題は深刻化しており、解体件数は年間で約50万棟にもおよぶという。ちなみに寿命はRCでも50年程度で、これからしばらく家屋解体案件は増え、マーケットはかなりの広がりを見せると考えられている。正確なデータではないが、現在の解体市場は推定で1,5兆円強の規模で、そのうち戸建てはほぼ半数程度と見られている。
こうした背景があり、現在「くらそうね解体」には年間6,000件程度の見積もり依頼がきているという。サービスは2011年からのスタート、8年経過した現在では、年間約40億円の工事扱い高があるという。市場は、今後数年間は年率数%で成長、2045年には現在の3倍弱の規模になると見られており、まだまだ業績は上がりそうだ。
建物解体廃棄物、アスベスト処理が適正にできるかがなど分かれ目
また、解体の際に出る産廃の問題も大きい。現在、日本全体の産廃中15%は建物解体から出ているという。
環境省では2000年「建設リサイクル法」を制定している。この内容は、特定建設資材(コンクリート、木材など)を用いた建築物の解体、または新築施工で同資材を使用する場合(一定規模以上の建設工事)、その受注者等に対し分別解体および再資源化を義務付ける、というものだ。
川口社長によると、
「確かにリサイクル率はあがったが、価格以外の定量的な指標だないため、発注者が工事品質や環境配慮を把握した上で工事会社を選べないという問題があります」
さらにアスベストの問題もある。これまでは「アスベストの使用可能性あり」と思われる物件のみを検査すれば良かったが、2021年からは全解体物件に関してアスベストの使用有無チェックおよび報告義務化が行われる見込みだ(だだし方向性が示されただけで、法制定はこれから)。戸建て物件にもアスベストは使用されているケースは多く、こうしたチェック体制にも対応していかなければならない。
また、新築施工時でも廃棄物は出る。これらは工事会社によって分別されるのが適当だと考えられるが、一般廃棄物にあたるものも多く出る。そうした場合、自治体の定めに沿って排出することが必要になるが、各個の地方自治体で定めがバラバラで、こうした現状にも対応していかなければならない。廃棄物に対する考え、認識を今一度見直し、適正な道を探っていくことが必要なのだ。
こうしたことの解決には、業界の「見える化」が必須だろうと、川口社長は考える。
「価格、工事業者の内容などを、もっと見える化しなければならないと思っています。安かろう悪かろうの業者は、今後残れない。リサイクルをきちんと行っている会社かどうかというのがポイントになってきます」
川口社長は、これまで自ら現場に入り、職人と一緒に解体作業をしたり、中間処理工場に入ったりして、肌身に現実を感じてきた。解体業は4K職場(きつい、汚い、危険、給料安い)とも呼ばれており、多重下請け構造のなかで最も下に位置する。こうした状況を打破するためにも「見える化」「適正化」が必要なのだ。
そんな川口社長だが、現在は基本的には前出の屋久島に在住しているのだそう。月15日程度屋久島で、東京には10日程度、名古屋には5日程度で滞在し采配を振るっている。「くらそうね解体」は、現在スマフォでも利用できるプロトタイプをテスト中だという。解体ニーズを持つ施主に対し、もっと身近になる。
最後に同社が「バリュー」として挙げている3点を紹介しておこう。「Biggest Data – 最大のデータは最良を導く」、「Inspire Customers – 満足ではなく感動」、「Go Boldly – 大胆にやろう」。川口社長は36歳。氏のアンビシャスに期待しよう。
この新進気鋭のクラッソーネ川口社長は、来たる9月10日に学士会館で開催される「令和時代のNEWリサイクルクリエーターたち」にも登壇することが決まっている。
(IRuniverse)
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