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期待される水素社会構想 (その2) 「水素はどこへ行ったの?」

 

 水素は産業界でも生活廃棄物のバイオマスでも生産できることを前回(その1)で説明しました。再生可能エネルギーを主力電源とする構想で、水素は最も現実的な温暖化ガスを削減する解決策と思われています。しかも水素は産業界で既に生産され活用されています。(画像はイメージ、経済産業省のHPから転載)

 

 しかし、その課題は水素に馴染みのない市民目線でみると、

 

 ①安全に利用できるのか?

 ②生産は目途が立つのか?

 ③価格は妥当か?

 ④将来への展望が見通せるのか?

 ⑤温暖化ガスの削減が可能か?

 

など、多くの疑問が生じます。

 

 最近日本では、Jパワーが果敢に温暖化を防止するための工程表を発表しました。周知の通り、Jパワーは官主導で設立された半官半民企業です。

 

 では、どんな内容の指針が発表されたのでしょうか?(発表内容を筆者=TKが独断で評価しました)

 ①Jパワーの発電の3割は効率の悪い石炭火力です。そこでバイオマス燃料やアンモニアの混焼で石炭燃焼を削減する→評価D:どれだけ石炭を減らせるのか不明!根本的で大胆な発想が見えない!火力を続けるのか?

 ②石炭火力で水素回収し自らも消費し、余剰水素を販売→評価C:これまで出来なかったのか?積極的なアプローチか不明!

 ③豪州で褐炭から水素を回収する。褐炭を燃やして排ガスの改質で水素を取り出す→評価C:豪州の温暖化排ガスを増加させるのか?豪州から日本へ水素を運ぶのか?

 ④風力発電で2025年までに100万KWの再生エネルギーを稼働する→評価B、設置案に期待!

 ⑤CO2をCCS技術手法で海底500mに液化CO2として注入する。→評価C、実現に期待!

 ⑥2030年までに温暖化ガスの排出量を2017-2019年比4割以上削減する→評価A、実現に期待!中間目標を評価する

 ⑦大間原発の稼働により温暖化ガスの排出抑制→評価E、福島の教訓が浸透していない!市民の安全に関する感性を感じていない!Jパワーの企業文化に疑問あり!

 

 日本では水素社会を作る機運がまだまだのようです。最初に発表したJパワーの姿勢を評価しますが、この程度の案で水素社会の到来を予測するのは極めて困難です。日本には脱温暖化の動きは未だ見えない状況です。

 水素社会では分散型の発電のグリッド投資を避けられるなど、分散型発電で優位なアイデアです。まさに日本に適した構想ではないでしょうか?政府を含めて企業側にも新たなリーダーの出現に真剣に期待したいです。

 

 ここまで記事を書いて日本政府内の議論を紹介する「エネルギー・シフト」再生可能エネルギー主力電源化への道、橘川武郎著(白桃書房)に日本のエネルギー・シフトが余り上手く将来を導いていない現状が詳しく書かれています。ポイントは以下の通りです。

 ①ベースロード電源として現状ではLNG火力の依存度が石炭火力に代わって高まっているが、ベースロード電源としての原子力発電に未だ拘る議論があり、LNG火力発電の役割が認知されていない。

 ②LNGは水素社会への大きな期待があるが、LNGを原子力に代わる存在として新たな水素生産の役割を大きく踏み出せていない。水素が将来の開発は実施しているが、主軸として位置付けられていない。石油権益などの課題か、OPECへの遠慮か?

 

 Jパワーが新規に大間原子力発電(青森県)に踏み出そうとしている、という公式見解には一市民として筆者にも大きな驚きでしたが、Jパワーの行動こそが日本のエネルギー政策のレベルが低調であることを物語っているのではないでしょうか。


 

(IRUNIVERSE TK)

 

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