終焉に向かうPCB処理事業 電炉会社参入も ゼロ・ジャパン株式会社
5月25日~27日まで、東京ビックサイトで行われている第31回2022NEW環境展では、多くのリサイクル企業が出展している。
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特に近年注目されているプラスチックリサイクルのブースが圧倒的に多く感じたが、逆に金属リサイクル関連は、以前に比べ小規模となった。
その中で、更に存在が薄くなっているのがPCB処理事業である。
元々、PCB処理については、7年前あたりからMIRUでも追跡しており、当時は国と自治体の怒号が会議室に響いていた時代があったが、エリア、物品によるが、既に高濃度PCB処理期限が過ぎているところもあり、事業自体が過去のものになりつつある。そして、低濃度PCBについても、令和9年3月31日までが、処理期限となっており、これを境に、事業としての「PCB処理」は終焉を迎えるともいえる。
3年ほど前では、PCB処理の企業の出展はかなり多くあったことを記憶しているが、既にそれも過去のものとなりつつある。
電炉会社も参入も処理期限で参入障壁に
今回の展示会では、唯一のPCB処理企業展示を行っていた「ゼロ・ジャパン」があった。
ゼロ・ジャパンは、松田産業とドイツの、ALD Vacuum Technologies GmbHの合弁で誕生した、PCB処理に特化した企業である。
同社の高濃度PCB処理技術として、VTR法(真空加熱分離法)というものがあり、この方法で処理を行う装置をJESCOに納入実績もあるという。
ゼロ・ジャパンのブース担当者によると、
既に、高濃度PCBについては期限がほとんど過ぎてしまっているということもあるが、JESCOも稼働している分は処理をしているが、動きとしては新たな処理受入は行っていないところも出てきているという。
「PCB処理については、民間でも手を挙げる企業も多くいたが、地元の反対などの理由で、結果的に話が進まなかったケースも多くあった」という。
そして残された、低濃度PCB処理については、ある程度企業が揃ったことと、既に処理期限まで残された時間がないことで、参入障壁ができていると話す。
最近は、電炉企業が参入しているというが、これは、処理対象のコンデンサやトランスに、銅などの有価物が多く使用されており、これを求めた結果、参入する動きがあるという。更に、その銅の相場が上昇している機運も関わっているという。
ゼロ・ジャパンとしても、この電炉会社が今後、競合企業となると考えているという。
いずれにせよ、PCB処理については、その代表であるJESCOが、PCB処理の終焉を迎えると同時に解体されることが決まっている存在と考えると、現在処理事業に参入している事業者は、今後PCB処理終焉後の事業を考えなくてはならない時代を迎えるという事になる。
(IRUNIVERSE Hatayama)
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