ダイセキ環境ソリューション(1712) 23/2Q2決算説明会メモ 案件遅延で大幅再減額修正
23/2期大型工事案件遅延拡大で再減額修正し13.3%減収52.4%営利減と厳しい。
株価810円(10/4) 時価総額136億円 発行済株16,827千株
PER(23/2期DO予31.7X)PBR(0.94X)配当(23/2予)10円 配当利回り:1.2%
要 約
・23/2Q2は中京、関東圏で大型工事案件遅延相次ぎ17.2%減収66.8%営利減と計画未達
・23/2期は期ずれと高採算案件減で再減額修正し、13.3%減収52.4%営利減予想
・中計目標の25/2期に売上高227億円、営利34.9億円は減額見直しの可能性が大きい
23/2Q2は中京、関東圏で大型工事案件遅延相次ぎ17.2%減収66.8%営利減と計画未達
汚染土壌調査から浄化処理まで一貫事業展開するダイセキグループの一員。10/3に23/2Q2決算が開示され、10/4に決算説明会が実施された。23/2Q2は売上高40.02億円(17.2%減)、営業利益2.69億円(66.8%減)。6/30の減額修正予想に対し、売上で1.78億円増額(期初計画比8.45億円未達)、も営利は0.44億円未達(期初計画比3.84億円未達)で着地した。
事業別では主力の土壌汚染調査・処理事業が売上高32.68億円(19.5%減)、営利3.13億円(60.6%減)。中京、首都圏の大規模インフラ整備案件で土壌搬入量が計画を下回り、また搬入時期の延期等もあり大幅減収に。具体的には名古屋16.6%減、岐阜68.5%減、首都 圏13.8%減、土壌処理量では22.6万トン(18.1%減)、この内の浄化処理が7.6万トン(31.5%減)となり、稼働率減、MIX悪化も重なり大幅減益に。
廃石膏ボード・リサイクル事業は売上高5.55億円(3.7%増)、営利1.65億円(2.5%増)と、ほぼ計画線で推移。その他事業は売上高1.79億円(25.7%減)、営業損失0.10億円(0.45億円減で赤字転落)と、元々厳しい予想で、PCB、BDF事業が売上計画を上回るも、利益は手数料収入低迷で厳しい。
全体として土壌処理大型案件、収益物件の減で収益計画が大きく狂う展開に。
23/2期は期ずれと高採算案件減で再減額修正し、13.3%減収52.4%営利減予想
23/2上期の状況を踏まえ、下期も環境悪化が継続するとして、23/2期会社計画を再減額し、売上高148億円(期初予想比41億円、修正予想比20億円減額、13.3%減)、営業利益10億円(同14.9億円、10億円減額、52.4%減)、経常利益10億円(52.6%減)、税引利益4.55億円(63.6%減)予想とした。部門別売上予想の開示では、主力の土壌処理事業が関東地区で計画されていた大規模インフラ案件の延期等が響き10.63億円減額、中部も中部新幹線工事の遅れなどもあり、岐阜が11.42億円減額となり関西などで補えず、117億円(前会修正比21億円減、前期比17%減)と大幅減額予想に。利益面では減収効果に加え、資材高騰により建設現場での採算悪化から土壌処理費用圧縮の傾向が止まらず、さらに海上運賃等の値上がりもあり、コスト削減などで補えず、大幅減益が避けられない。なお、廃石膏ボード事業、その他事業は前回修正予想比大きな変更はない。
現状、岐阜RC、横浜生麦RCの処理体制・受入準備は完了しているものの、横浜は少なくとも大型案件の寄与が24/2Q2になるとの見通しの他、岐阜についても土木工事などの営業活動を展開するものの、自動車産業など生産の遅れ等もあり設備投資も遅延状況となっている。このため関西地区の都市開発案件での寄与はあるものの、再減額予想についても多少、未達成に止まる懸念がある。
中計目標の25/2期に売上高227億円、営利34.9億円は減額見直しの可能性が大きい
同社は中期計画を毎年スクロールしており、4/5での発表において、24/2期に売上高206億円、営利29.9億円、25/2期に売上高227億円、営利34.9億円を目標とした。昨年の見通しでは24/2期に売上高210億円としており、売上4億円引下げはリニア新幹線の工事遅れを想定したとみられる。但し現状、リニア新幹線については静岡県の反対などもあり名古屋開通2027年計画が少なくとも2029年以降にずれ込む見通し。しかも昨年10月には瀬戸トンネル建設で死傷事故が発生、工事中断期間6ヶ月半を要するなど、工事遅れの問題はさらに遅延方向にある。また首都圏においては大型受注案件の開示はないが、遅延案件として外環道路建設において2020年10月に発生した調布市での大深度トンネル工事における陥没・空洞事故発生で工事が大幅に遅延、現在、一部工事を再開したものの、補償問題など拗れている状況の他、隣接する他地域でのトンネル工事反対の運動などもあり、先行き不透明感が拭えない。また関西圏についても、コロナ影響から2025年開催の万博では、期待したほどのインパクトが獲られないとの見方も出ている。また今回の中計でM&Aを含め、新規ビジネスも拡大するとしているが、具体的な事例は示されていない。さらに昨今の建設関連ビジネスでは資材高によるコストアップと慢性的な人員不足なども影響、中計の前提条件が大きく異なっており、場合によっては一部減損処理もあり得る局面で、中計の減額見直しが懸念される。
今回、グループとしてダイセキ本体との協力関係強化なども表明しているが、その効果は未知数で、24/2期は23/2期の期ずれが売上に寄与するとみられるが、収益の停滞が続こう。
(H.Mirai)
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