日本の洋上風力発電改革待ったなし、欧州&自然エネルギー財団提言
自然エネルギー財団が日本の風力発電の規制改革を、デンマーク工科大学の協力を得て報告書を作成して公表している。この報告書に基づいて今日本は洋上風力発電を促進する為に何をしなければいけないのか、改めて識者や自然エネルギー財団の研究者を交えたセミナーを11月30日開催された。
「洋上風力拡大に向けた規制改革加速の可能性」と題して、自然エネルギー財団理事長トーマス・コーベリエ氏は、北海では発電単価が€70/KWhから€60更に€50/KWhまで短期間に改善し、今やデンマークでは政府の支援なしにオランダの海洋で1.5GW風力発電が€376百万で2020年には一部発電か開始されており、洋上風力は最大の競争力を有する再エネとなっているとした。
イノムッカ・サーリネン次期駐日欧州代表部大使も欧州の風力発電の現状を説明した後に、自然エネルギー財団の工藤美香さんがデンマーク工科大との調査報告書の概要を説明した。その後同財団の大林ミカ事業局長の司会で、専門家による個別の経験や意見説明がなされた。
参加者は、DNVエネジー日本カントリーマネージャー内田行宣氏、自然エネルギー財団特任研究員斎藤哲夫氏、MHIベスタジャパン風車最適化技術部長佐藤憲次氏、九電みらいエナジー常務取締役寺崎正勝氏、世界洋上風力オーラム(WFO)日本代表渡辺さゆり氏の5氏がプレゼンを行った。
これまで自然エネルギー財団は、グリーンエネルギーを強力に推進する立場で発信してきたが、政府の専門家会議などで何度発言しても、国が具体的な洋上風力発電で前向きな行動を起こしている情報が伝わってこなかった。
今回欧州側からも強力な支援を得て、日本改革案の骨格が示された。その骨子は日本の規格制度のJIS規格では既に対応が難しくなっている実態が浮き彫りになった。
全ての規格を国が采配して決めると言う制度的な仕組みでは、日々開発されてゆく洋上風力発電の設計や材料などを盛り込んだ洋上風力発電事業分野では通用しなくなっている。国が果たす役割は最小限にして規格にも柔軟性や新しい技術の透明性を高めて広く活用する技術が必要とされている提言が欧州から示された。
筆者の経験では、米国やカナダでも亜鉛や鉛などの規格では、民間企業が開発した合金などを業界団体が規格を作成していた。今回のセミナーで日本が海外の規格を翻訳作業しているとの発言もあった。日本語で全てを発信する事の意味が良く理解できない。つまり日本政府がなにからなにまで全ての決定権を有して英語から日本語へ翻訳しなければJIS規格が完成しない為、規格可が遅れている。その様な国が、世界で競争できるのであろうか。欧州の大学の提言は日本の国の全ての制度に及ぶ問題を浮き彫りにして呉れた。
(IRUNIVERSE Katagiri)
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