グリーンインフラ産業展・清水建設の資源循環について
グリーンインフラ産業展(2023年2月1日-3開催@東京ビックサイト)にて大手ゼネコンの清水建設㈱の資源循環を確認した。清水建設㈱の資源循環は「木材・森林育成」視点に加え他社とは違う「林業・建設業の融合」の視点で取り組んでいる。間伐材粉砕品を接着剤で高めた木製煉瓦「木煉」を出展していた。
グリーンインフラ産業展(2023年2月1日-3開催@東京ビックサイト)にて大手ゼネコンの清水建設㈱の資源循環を確認した。
清水建設㈱の資源循環・サーキュラーエコノミー(CE)とは
清水建設㈱の資源循環は「減量化・再資源化」と「省資源化と資源有効活用(4R活動)」である。「総排出量」、「排出量(汚泥を除く)」では最終処分率目標/3.8%以下、「副産物総量原単位」でも目標/15.7kg/m2以下と決め推進している。
清水建設㈱の資源循環は「木材・森林育成」と「林業・建設業の融合」
資源循環は他のゼネコン企業同様に、木材・森林育成である。2022年11月より循環型の木材活用に向け、群馬県川場村3ha(貸与地)で植林・育林活動を「シミズめぐりの森」プロジェクトとして開始。
業界トップランナー清水建設㈱の木材の資源循環は非常に特徴的。
資源循環の目的は以下2つであり、他社とは違う観点で実施している。
①植林・育林活動
需要家として事業で消費する分の木材を植えて育てる森林資源の再生。
木材を消費する需要家が、主体的に森林資源再生を進め、循環型の木材活用を推し進める仕組み。
単に木材を購入・利用するだけでなく、事業で消費する分の木材を植えて育てる。
②林業と建設業の融合(繁閑調整)。
建設業、林業共に高齢化により担い手不足。担い手不足により植林や枝打ちなどの管理が滞っている林業に、繁閑の差が大きくなっている建設業が融合すれば、現状の課題を解消できそう(貴社の林業経験上、実感有)。
植林後の管理、手入れ作業に従事して労働の平準化を図る。
2012年に宮本洋一社長(当時)が、群馬県川場村、東京農業大学と産官学の連携協定を締結された。森林資源の持続的な活用と地場産業の創出を目的に木材を活用した製品の加工・販売、バイオマス発電などを手掛ける「ウッドビレジ川場」に出資。そうした背景から、川場村にてスギの伐採、製材、CLT(直交集成材)加工、東京木工場(東京都江東区)活用、村有地での植林活動という「循環型」の木材利用を実践されている。
業界トップランナー清水建設㈱の木材の資源循環事例…木製煉瓦
今回、木材間伐材を利用した、資源循環事例の木製煉瓦を関連会社の日本道路㈱が展示出展していたので、同社技術営業部川村部長からお話を伺った。
*)日本道路㈱は2022年3月に清水建設㈱の完全子会社。
リサイクル木質成型舗装ブロック「木煉(もくれん)」とは
木煉:「木」製の「煉」瓦。
製法は建築資材用の木材を育成する際の間伐材の有効活用として間伐材をチップ化し、接着剤と混ぜ合わせ、加熱硬化する。
用途として床に設置する煉瓦ブロック代替で考えている。あくまで「間伐材」を利用する為、使用する木材はバージン品である。解体後の建築資材や再生材をマテリアルリサイクルとしては利用できない。
木煉とその上にある間伐材の木粉チップ
解体後の使用建設資材の再使用・マテリアルリサイクルは難しい
解体後の建築資材の木材、プラスチックスは、再使用だけでなく、マテリアルリサイクルは現実的に難しい。理由は、解体資材中の金属異物を除去する手間、解体資材を利用した設計強度の成立が難しい点である他のゼネコン同様)。現実的には分別燃焼してエネルギー化した方が経済的である。また、無理に手間をかけた再使用はカーボンニュートラル(CN)から離れてしまう。
建築業界におけるプラスチックの資源循環はマイノリティ
建築資材の中では、プラスチック使用量が極めて少ない。また、プラスチックは消費材として使用している為、消費材を再利用する発想が殆どない。
(IRUNIVERSE T.K.A.)
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