プラスチック・リサイクルの啓蒙と持続可能な再生を〜ペニージャパン
新広島資源循環プロジェクトon-lineにて紹介された、ペニージャパン株式会社による、使用済みプラスチック製品のアップサイクルの試み。お話は、同社代表取締役 湯浅 千鶴氏。
Coca-Cola社ライセンス商品他、企業・店舗のオリジナルグッズを企画・製造
ペニージャパン(東京都大田区)は1987年5月設立、Coca-Cola社ライセンス商品の企画・製造・販売などを行っている。
2008年、Coca-Cola社社ライセンス製品としてR-PET素材100%でトートバッグ・ぬいぐるみを製造・販売開始。2010年 FOUR R(フォーアール)の商標登録取得(リサイクル・リデュース・リユース・リスペクト)。2012年 Coca-Cola社販売促進用資材としてR-PET・リサイクル樹脂100%でテーブルメニュースタン ドを製造・販売開始した。
2017年 東京国際映画祭(六本木ヒルズ)にていろはすツリー製作。2021年 USJ園内で廃棄されたPet Bottleを回収・国内でペレットにし、台湾でエコバッグを製造 、USJから大阪府内小学生に配布され、リサイクルの啓もう活動とした。 2022年 モビリティランド内(鈴鹿サーキット)で廃棄されるPet Bottleを回収、マグカップにリサイクルし鈴鹿サーキットライセンス製品として販売 。
ペニージャパンでは、大手外食チェーン「物語コーポレーション」の店舗内で使用されるアクリルカップを提供しているが、2023年、物語コーポレーションは、廃棄する同アクリルカップを回収、各店舗で使用するトレー・カトラリーケースにリサイクルする試みを行った。このアクリルカップは年間100万個に達するまで作られており、ここでSDGsの「作る責任・使う責任」をまっとうするため、前記のようなリサイクルを行った。今後はメラミン製テーブルウェアもリサイクルすべく研究開発中。
さらにCoca-Colaライセンスグッズとして100%リサイクルペット製マグカップ・廃材製クレート ボックスを販売予定している(ライセンス許可は未)。
同社では、SDGsをより推進するため、継続的および持続可能なプラスチック・リサイクルを追求・提案していく。
【参考】
コカ・コーラグラスがスタックトレー&サーバーレストに生まれ変わるまで
①店舗から1〜2ヶ月かけて回収 (目安は1t≒Cup約1万個)
②倉庫で一定期間/数量を保管
③リサイクル工場にてペレット生成
④成型工場で材料の調合及び成型
⑤MB社でアッセンブリ/検品をし出荷
試験① 耐熱テスト/耐久テスト/臭気確認/不純物確認(インハウス)
リサイクル材の配合率を決めるため、2021年11月24日に店舗様から使用済みカップ328個を取得しリサイクルABSを生成、リサイクルABSとヴァージンABSを配合させ既存型でトレーを成型、5つのテスト確認で検証した。
※リサイクル材100%は、成型上・強度上において不良がおきやすい事より今までの知見にて50%を検証。
※リサイクル材が50%以下になってしまうと、エコマーク取得及びコスト高になる為、50%で検証をしている。
【耐熱テスト】 熱風乾燥庫82℃で検証 ⇒ 結果:変形・変色・破損は見られず、問題なしと判断
【耐久テスト】 1m落下×10回で検証、ヴァージンABSとリサイクル(50%)ABSを同時に検証 ⇒ 結果:共にキズは少しできたものの破損・欠けは見られなかったため、問題なしと判断
【臭気確認】 数名で匂いを嗅いで悪臭・不快な匂いがしないかを確認⇒ 結果:プラスチック特有の匂いはあるが、悪臭・不快な匂いがなかった為、問題なしと判断
【不純物確認】 既存型で白いトレーを成型し、不純物(黑点など)がないかを目視で確認⇒ 結果:黑点や変色・腐食は見られなかった為、問題なしと判断
試験②強度試験(第三者機関による)
【試験方法】
既存型でトレーを成型し、ヴァージンABS と リサイクル (50%)ABSで比較。2点支持の状態から試験機により中央を押し込みむ。
①速度:毎分10mm
②一定の速度で力を強めてゆき、試験品による抵抗が無く なる(破断または完全に曲がる)まで実施。
【結論】
トレイ曲げ試験
ヴァージンABSより強度があった事で、配合率は50%で問題ないと判断。 また、通常使用においてトレーに乗せるものは重くても5Kg程度であり、約16倍耐えられる事より問題ないと判断。 試験1と試験2の結果をもって、配合率50%(リサイクルABS)で実施。
(IRuniverse kaneshige)
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