新着情報

2024/04/23   米国ボルチモア港閉...
2024/04/23   会話で読み解くLM...
2024/04/23   国内パソコン出荷2...
2024/04/23   紙・古紙市場近況 ...
2024/04/23   シリコン輸出入Re...
2024/04/23   貿易統計シリコン輸...
2024/04/23   2024年3月伸銅...
2024/04/23   脱炭素の部屋#16...
2024/04/23   自動車の「再生材利...
2024/04/23   エンビプロHD:自...
2024/04/23   米英のロシア産金属...
2024/04/23   MARKET TA...
2024/04/23   日本製鉄の水素活用...
2024/04/23   レアアース市場近況...
2024/04/22   アルミUBC自治体...
2024/04/22   パナソニック エナ...
2024/04/22   JX金属:資源循環...
2024/04/22   LME Weekl...
2024/04/22   豪政府、国内資源2...
2024/04/22   輸入・国産ナフサ市...

超専門技術ミニ展示会 「やわらかたい展」@大田区

 大田区のPiO PARK(ピオパーク)で大田区産業振興協会が主催する「やわらかたい展」が2023年3月16日に開催された。264名が来場した。筆者も東京モノレールに乗って(天空橋)、羽田イノベーションシティ ゾーンK2階で開催された展示会を訪問してみた。産業振興協会のメンバーは、退職後、非常勤で勤務される超ベテランの方々も多く、大田区の技術を熱くアピールしていた。

 

「やわらかたい展」は、加工の技術が求められる軟らかい材料と硬い材料に特化し、やわらかいもの、硬いものの加工に困っている方々の相談に、この分野の技術者が集結して課題を解決する展示会である。

 

 これまで、「穴あけ展:10社出展」、「理想の仕上がり:12社出展」が開催され、今回で3回目とのこと。3回目での出展は、協会を含め11社となった。

 

 このミニ展示会のメリットは、負担が少ないことである。まず、時間である。ものづくりの現場を長く離れるわけにはいかないので、午後1時から4時の3時間に限ること、そして、企業の近所である大田区での開催であり、しかも参加費無料。

 

 募集した展示会のタイトルに応じて、企業が応募する。

 自分達で円形に机を並べて準備する。場所はくじ引きだが、もし競合するような2社が並んだ場合は配慮するが、得意分野に絞っているのでそのような例はないようだ。硬いでは、ダイヤモンド、セラミクス、軟らかいでは、プラスチック、シリコン、ゴム、区分けが難しいものもあった。

 

 訪問者の目的も絞られ、さらには横のつながりもできるとのこと。

 円形であるので、訪問者も、混んでいたら、隣のブースへ先に移動して、また戻ってくる。何気に時計廻りとなっていた。

 展示会に慣れていない企業もあるが、円形にすることで、横のつながりも生まれ、安心感があるかもしれない。

 

 

 大田区の企業は、自らの製品を持たない企業が多いようであった。顧客から持ち込まれた仕事を受注し、各自の専門技術により対応する。

 

今回の出展企業は10社

(株)ハタダ:精密製造工業用ゴム製品の製造・加工。

エビナ電化工業(株): シリコンゴム、セラミックスなどへのメッキ技術。

オグラ宝石精機工業(株):ダイヤモンドなどの宝石加工。

関西電子(株)、(株)クマクラ、クレバ(株)、ケィディケィ(株)、丸隆工業(株)、

(株)友玉園セラミックス、ユシロ化学工業(株)が出展した。名前からは、技術を想像できない企業も多いので、実際に訪問されるのが一番である。

 

 筆者が最も興味をもったのは、ユシロ化学工業(株)である。実際、大変な人気で直接取材させていただける時間はなかったが、応用例につきないであろう。「やわらかい」で出展

 

 ユシロ化学工業(株)は、大阪大学のシリーズ技術を応用したもので、「自己修復材料:ウィザードシリーズ」としてウィザードゲル、ウィザードエラストマーを展示した。樹脂の中にホスト分子とゲスト分子を仕込むことで、切断したものが約30秒で、物理的に接合する、レゴのやわらか版のような、子供のおもちゃにピッタリな非常に面白い材料であった。

 

 実際には、何度も切って練習できる臓器モデルとして使用されている。

 

(株)友玉園セラミックスは、名前にセラミックスとあるので、硬い材料の技術があることは分かりやすい。アルミナ加工を専門とする。真空装置のメーカー、分析装置のメーカーを顧客とし、装置の中の絶縁物、耐熱用部品の加工を行う技術があり、セラミックスを始めて使用するお客様が相談に訪れた。


 撮影を許されたのが遠方からであり、円形であることが分かりにくいと思うが、円形に並べられた廻りを、参加者が訪れ、相談する風景である。

 

 大田区には、現在は4200社のものづくりの企業があるという。一時期比べると減少してしまってはいるが、「ものづくりの街」として知られている。1階が工場、2階が住居という家が多いとのこと。1980年頃は1万社もあったが、1990年頃から、土地代が高いことから地方へ、さらには海外へと流れていき減少。

 

 コロナ禍となり、サプライチェーンの関係等で、国内回帰も考えられているようだが、

 現在大田区に残っている事業所は、皆それぞれの専門分野で技術を磨き、技術で若手の給料も上げる地道な活動を継続してきている専門集団であるので、一旦出て行った企業が再び大田区に戻ることはないだろうと、ケィディケィ(株)の社長はおっしゃっていた。

 

 ケィディケィ(株)は、機械に使われるのではなく、エンジニアリングプラスチック(プラスチックのなかでもとくに強度や耐熱性に優れるものを指すようだ。)の加工技術で、顧客の要望に応える企業である。プラスチックのネジが展示されていた。これは、機械が誤動作した際に自らが破損することで装置を守る安全装置とのこと。用途を聴いてみないとわからないものである。プラスチックのことからなんでも、要求にお応えいただけるであろう。

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る