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オシンテックとIntelligence Watchの提携発表 加速する二国間の情報共有

 2023年3月28日、Zoom上で開かれたオンライン記者会見にて株式会社オシンテックはスウェーデンのシンクタンクIntelligence Watchとの提携を発表した。
 今回オシンテックとIntelligence Watchはそれぞれでレポートを発表すると共に、両組織がタッグを組んだ上での今後の展望についても一部を明かす事となった。
 当記事ではその一端を掻い摘んで紹介することとする。

 

 

両者が組むに至った理由

 

 現在気候変動問題を始めとして、多くの解決しなければならない課題が国際社会には山積している。

そういった中で組織に縛られるやり方ではなく、文字通り国際的な知見として「互いの長所を補い合う形」で問題解決をする必要が出てきている。
この情勢下でオシンテック側が提供しているのは、環境・人権等の政策トレンドを自動収集する「RuleWatcher」というサービスだ。
これは収集した様々なデータを可視化出来る様に処理し、実際に解決が必要な問題に対して現状どういった情報が発信されているかを纏めて読み解けるハブの様な役割を果たしている。
社名にもある「OSINT」とはOpen Source Intelligence(オープン・ソース・インテリジェンス)の頭文字であり、一般に公開されている情報源からアクセス可能なデータを収集、分析、決定する活動を指す。
より軍事的な知見では「SIGINT(シギント:Signal Intelligence.通信、電磁波、信号等の、主として傍受を利用した諜報・諜報活動)」や「HUMINT(ヒューミント:Human Intelligence.対象地域で活動する人の観察や接触で得られる情報 人的情報)」と共に、昨今大いに必要とされている作戦行動を示す用語でもある。

 

 Intelligence Watchは環境・経済・社会問題を主軸としながら様々な領域の活動をレポートとして取り上げる企業である。

他の同業者との大きな違いとして、自社のレポートに対する異論や反論を大いに受け入れているという点がある。
また多くの人々に注目される様に、レポートを雑誌風の体裁に整えて読みやすくしている所も他の媒体とは異なっている。
いわば「人々がより参照しやすい」レポートを作り上げている企業だ。

 

 シンクタンクが発表するレポートの価値は非常に高いものであり、2011年に発表されたCarbon Trackerのレポート「燃えない炭素」では、気候変動を+2度に留める為には埋蔵量のうち80%のLNGや石炭・石油が利用不可となると発表。

これは実際に持っていても使えない化石資源である「座礁資産」というワードを生み出している。
また2020年にBIS(国際決済銀行)が発表した「グリーンスワン」(白鳥に対するコクチョウの様な、予想もつかないものという意味)では気候リスクの要素となるリスク評価・監督を
金融安定政策に盛り込む必要性を訴えた。
これにより企業が気候変動リスクを把握し、自社の舵取りを調整するきっかけを作っている。
この様な流れで「シンクタンクのレポートは価値があり、加えて一般的な見地からも活発に議論されるべきである。その為により良い情報ソースが必要である」というWin-Winの提携に至ったのである。

 

サステナブル・テック・バナナと交流拠点

 この後両者共にレポートの発表となったが、簡単に説明が行われる中で共通したワードが出てくる。
それが「サステナブル・テック・バナナ」という表現だ。
このサステナブル・テック・バナナというのは北欧地域のデンマーク、スウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニアといった国々の都市圏をおおよそで結ぶと曲がったバナナの様な帯状の繋がりとなる事からそう呼ばれているのだそうだ。
現にこれら諸国の都市のうち、16都市が2022年4月、欧州委員会における「気候ニュートラルでスマートな100都市」に選出されている。
これらの地域では電気自動車を始めとしたクリーンモビリティ、あるいはエネルギー効率や都市計画、国家間での共同イニシアティブの構築といった実際のエネルギー関連市場が出来上がっている事が評価の対象となったようだ。

 

 

 先述したサステナブル・テック・バナナは「循環経済」を是としており、クリーンなエネルギーに対して意欲的な企業が根付いていなければ意味がない。
そんな諸都市の企業は日本でも馴染み深いものが多く、例えば自動車メーカーのVolvo Carsや通信機器大手のEricssonはスウェーデンに本社を置く。
弊メディアでも過去に取り上げた風力タービン事業を手掛けるVestasはデンマークに、通信機器や家電のメーカーとして親しまれるNokiaはフィンランドに本社を置いている。
そしてこれらの企業が点在するスカンジナビア半島一帯には多くの日本企業が進出、あるいは提携関係を結んでいる。
現在特に日本で苦戦を強いられているサーキュラー・エコノミーを始めとした環境に対する影響を考え実践する潮流を、このサステナブル・テック・バナナの各企業や団体と連携をし浸透させていくのが大きな目標と言える。

 

 目標達成のためには拠点が必要であり、後半はそれについての発表となった。

前駐日スウェーデン大使で安全保障開発政策研究所代表、Japan House Scandinavia理事のラーシュ・ヴァリエー博士(Dr. Lars Vargö)がスウェーデンのマルメ市でハブとなる場所の設立に携わっているという。
この「Japan House Project」はまずビジネスやイノベーションといったレベルで交流を行う拠点を設立し、然る後にホテルやレストラン、文化や会議のための施設を備えたジャパンハウスを建設するとの事だ。
今回の発表に対してスウェーデン側はスウェーデン大使館を通して、スウェーデン駐日大使館一等書記官から「スウェーデン大使館では、スウェーデンと日本の協力関係を深めることを目的とした取り組みを奨励することを嬉しく思っています。イノベーション、スタートアップ、新技術などの分野における高いビジネス・ポテンシャルを強調するレポートは、もちろんスウェーデンと日本の関係の繁栄に貢献するものとして大いに歓迎されます。」とのメッセージが寄せられた程である。

 

 Japan House ProjectはオシンテックとIntelligence Watchも積極的な協力の意を示しており、今後単なる交流に留まらずより大きなビジネスや環境問題等の社会的取り組みに向けて両国間の連携を図っていきたいと語っていた。

 


(IRuniverse Ryuji Ichimura)

 

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