アルミ合金&スクラップ市場近況2023#8 かすかに見え始めた光明
4月後半の国内アルミスクラップ市況は基本的に前半比横ばい、となりそうだ。大手合金メーカーのなかでは、上物は据え置き、スソ物は3〜5円下げ、を打ち出しているメーカーもあるが、アルミ合金のメイン需要である自動車の生産が回復基調を辿っているなかで合金需要もやや増している。一方で相変わらずスクラップ発生は薄い。まだ需要回復へ向けたリハビリの途中ではあるが、3月時のマーケット天気が大雨だったとするならば、今は層雲の切れ間から若干薄明かりが見え始めたような4月後半のアルミ合金&スクラップマーケットである。
アルミ合金需要の要である自動車の国内生産は2022年度は800万台前後とみられている。実際、最近の自動車生産台数を見ると明らかに復調気配を示している。
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(出典:Marklinesデータ)
上図のように今年は1月、2月と着実に生産は伸びており、2月は70万1321台と2021年の生産台数も超えた。半導体はじめひっ迫していた部品供給が動き始めたことが要因。このまま復調を続け、2019年度実績の948万台まで近づけば、アルミはじめ鉄鋼も一気に需給は引き締まることになる。
アルミ合金メーカー関係者は
「そこまで復調していけば再びアルミ合金の需給はひっ迫し、原料の不足もまた顕著になる。今はまだまだだが・・」と、むしろ先のスクラップひっ迫を早くも懸念している。
3月はアルミ合金メーカー各社はスクラップの値下げに走った。特に大手メーカーのAS社、SS社はここぞとばかりに下げに次ぐ下げで1か月でキロ当たり35~40円の値下げに動いたが、4月は一転して横ばい。
「ひっ迫感が表面化してからでは遅い」(関係者筋)という長年の経験からも今はスクラップの仕込み時期、だと考えているようだ。アルミスクラップの先高感。それは先日、横浜市で行われた6月渡しUBC入札でも表れていた。
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5月渡しの落札単価からは11円も高い223円だった。足元のUBCのメーカー買取価格はキロ210円前後。これからすると明らかに高いのだが、ひとつ勝負をかけた先読み入札だったかと思われる。
(アルミUBC相場の推移 市中実勢 ¥/kg)
指標相場動向ではLMEアルミはここ数日でやや上昇。トン2,300ドルから2380ドルへ。そして為替が再び円安方向へ動いており、TTSベースで135円となっている。
(LMEアルミ相場の推移($/ton)と為替円ドル相場(TTS)の推移)
よって輸入塊の円価着値も上昇。ドルベースは2400ドル前後でおおむね変わらずだが為替の円安でキロ当たり343円どころと1か月前の320~330円レンジからは脱している。国産ADCは350円以上を狙ってはいるものの、まだ在庫消化的な330円台も混在という状況。
為替の円安は輸出には有利に運ぶこともあり各合金メーカーは警戒。Bサッシは市中実勢で230円前後(プレス品)(スクラップディーラー買値ベース、以下同)、UBCは200円前後、印刷板は270円前後、2Sは255円前後、エアコンラジエターは450円前後、銅アルミラジエターは550円前後、Aサッシプレスは265円前後、52は250円前後、込みホイールは275円前後、4Cホイールは280円前後、ダライ粉(合金系)は165円前後、7000系ダライは125円前後、込みがらは135円前後、となっている。
このまま合金製品もスクラップも強含み、に移行するかどうかは前述した自動車生産の復調次第。
(IRUNIVERSE/MIRUcom YT)
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