米債務上限問題 デフォルト回避確実に 合意法案が上院でも可決
アメリカの債務上限問題で焦点になっていた債務不履行(デフォルト)が、回避されることが確実になった。バイデン大統領とマッカーシー下院議長の間で合意した債務上限の適用を一時停止するなどの内容を盛り込んだ「財政責任法2023」が2023年6月1日深夜(日本時間6月2日昼前)、上院で可決された。バイデン大統領の署名を経て正式に法律となる。
※関連記事 米債務上限問題 下院が「一時停止」などを含む法案を可決 舞台は上院へ | MIRU (iru-miru.com)
同法案は5月31日に下院で可決。6月1日に上院で採決にかけられ、賛成63、反対36、棄権1で可決された。この法案に対しては民主、共和両党からそれぞれの主張に基づく修正法案も提出されたが、いずれも否決された。
法案の柱は、債務上限を大統領選挙後の2025年1月1日まで適用停止し、2025年1月2日に限度額を引き上げて猶予期間中に発行された債務に対応する、というもの。これによって米政府は債務支払いに必要な資金調達が可能になり、デフォルトに陥ることを回避できる。共和党が求めた支出削減では、非防衛費関連の支出を2024財政年度までほぼ現状に維持し、2025財政年度については約1%までの増額を認める。2025財政年度より後については予算に限度を設けない。
インフレ抑制法に基づいてバイデン大統領が進めている脱炭素社会実現に向けての税額控除施策に関連する支出削減は含まれておらず、日本を含む多くの自動車メーカーが注視していたEV購入に対して最大7500ドルの税額控除をする施策も維持される。
法案可決について国民に語るバイデン大統領(ホワイトハウスのフェイスブックから)
バイデン大統領は6月2日夜、国民に向けて法案の成立を報告。「この予算合意を可決することは極めて重要だった。失敗はこれ以上ないほど高いものについただろう。私たちは支出を削減し、赤字を減らしている。そして、社会保障から高齢者医療保険制度、低所得者や退役軍人への医療保障制度、インフラとクリーンエネルギーへの変革的な投資に至るまで、重要な優先事項を守った」と述べた。
(IRuniverse 阿部治樹)
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