三菱電機 家電リサイクル回収の再生プラをセンサー用無線通信端末に初採用
耐久性・難燃性を確保したプラスチックとして再生化に成功
三菱電機株式会社は、家電リサイクルで回収したポリカーボネート系プラスチック(PC/ABS(※1))を耐久性と難燃性を確保したプラスチックとして再生化することに成功し、ガス検針システム等に活用が進められているセンサー用無線通信端末(※2) への採用を開始する。家電リサイクル由来の再生PC/ABS を製品に適用するのは同社が初となる。
センサー用無線通信端末(外観)
同社は 2019 年 6 月に環境ビジョン2050(※3)を策定し、さまざまな環境課題の解決にむけて取り組んでいる。プラスチックの自己循環リサイクルを本格化し、家電製品他ではリサイクルプラス チックの使用を進めているが、長期間使用されるセンサー用無線通信端末に使用する PC/ABS では、これまで同社が求める耐久性と難燃性を満足することができず、採用に至らなかった。
同社は今回、家電リサイクルで回収された PC/ABS を、安定した品質で高い耐久性と難燃性を有する再生 PC/ABS へリサイクルする技術を開発した。これにより、センサー用無線通信端 末の部材への採用が可能となり、当該部材の新規使用プラスチック量を約 70%削減できる。
今後、再生 PC/ABS を適用する製品および部材を増やすとともに、さらに高耐熱性を持った再生PC/ABS を開発し、需要が拡大する高速通信端末などの高温環境で使用される製品への適用を進めることで、社会課題である持続可能な生産消費形態の確保に貢献する。
■再生 PC/ABS の特長
1.再生化で独自の配合処方を開発、高耐久性・難燃性が要求される製品への適用を実現
・独自の配合処方の開発により、高い耐久性・難燃性を確保した再生化に成功。回収選別・配合の工程を最適化することで安定性を向上
・従来製法の再生 PC/ABS と比較し、想定する使用環境での耐久性(強度寿命)を 3.7 倍に向上
・難燃性はUL94 V-0(※4)(当社評価)を達成し、新規原料から製造したPC/ABS と同等の難燃性を実現
2.持続可能な消費と生産のパターンを確保し、安定供給を実現
・当社家電リサイクル事業で回収された PC/ABS を使用することで、サーキュラーエコノミーの実現に貢献
・リサイクル材を国内で調達することにより、為替や国際情勢の影響を受けにくい持続的な供給体制を構築
・劣化度合いが混在する回収素材からでも、安定した品質を有する再生 PC/ABS の生成を実現
3.新規プラスチック使用量を約 70%削減し、省資源化および CO2 削減にも寄与
・従来部品と比較し、新規プラスチック使用量 70%削減を達成
・PC/ABS を新規原料から製造する場合と比較して CO2排出率を57%削減
※1 PC(ポリカーボネート)と ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)をブレンドしたプラスチック
※2 センサー機器や計測機器と組み合わせ、無線通信により遠隔監視・制御を可能とする端末
※3 https://www.MitsubishiElectric.co.jp/news/2019/0613-a.html
※4 UL94 V-0:プラスチックの燃焼性試験垂直燃焼試験(20mm 接炎)における最高ランク
(IR universe rr)
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