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Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.79最近の中古車輸出のデータから(9)ハイブリッド車

 以前、vol.74において最近の中古車輸出台数を品目別に見たが、ハイブリッド車のシェアが拡大し、ガソリン車を徐々に追い抜いている様子が示された。2022年のハイブリッド車は1000cc超1500cc以下のガソリン車に続く2番目のシェアであり、その勢いは2023年になっても続いている。

 

 貿易統計においては、2017年からハイブリッド車の中古車輸出台数を算出できるようになった。ハイブリッド車はガソリンエンジン搭載のものとディーゼルエンジン搭載のものがある。2017年から2022年までのハイブリッド車はガソリンエンジン搭載が98万台であるのに対して、ディーゼルエンジン搭載はわずか52台である。(以下ではガソリンエンジン搭載のものをハイブリッド車として議論を進める)

 

 ハイブリッド車の中古車輸出台数について、上記の2017年から2022年の合計98万台で見ると、仕向地で最も多いのがモンゴルであり、全体の23%を占める。それにロシア(20%)、ニュージーランド(12%)、パキスタン(6%)、スリランカ(5%)、バングラデシュ(5%)、イギリス(3%)、アラブ首長国連邦(3%)が続いている。

 

 図1はこの8か国について年別の中古車輸出台数の推移を示している。これを見るとわかるように、モンゴルはこれまで連続して最多の仕向地だったが、2022年になってその順位を落とし、3番目に位置している。これに対して、ロシア向けは右肩上がりで増加し、2022年に初めて最多の仕向地となっている。また、ニュージーランドもロシアのように右肩上がりで増加している。さらに、アラブ首長国連邦はこれまで主要仕向地ではなかったが、2022年に4番目に位置するようになっている。

 

 一方、スリランカは6年間の合計では上位にあるが、もはや過去の主要仕向地であり、2021年、2022年もわずか4台、8台である。パキスタンも2019年の急減後、一時的に復活したが、2022年は3千台弱である。

 

 2022年の主要仕向地のシェアは、ロシア:26%、ニュージーランド:17%、モンゴル: 16%、アラブ首長国連邦:7%、バングラデシュ:6%である。2023年については1月~5月の合計で、ロシアが首位である状態は変わらない(シェアは21%)。これにニュージーランド(19%)、モンゴル(18%)、アラブ首長国連邦(11%)、イギリス(5%)が続いている。これが下半期にどう変わるかである。

 

  

図 1 ハイブリッド車の主要仕向地別中古車輸出台数の推移(単位:台)

出典:財務省貿易統計

 

 ハイブリッド車の中古車輸出について、2022年の上位5か国の月別単価を見たものが図2になる。これを見ると、ここでもロシアは2022年に急上昇しているが、それよりもバングラデシュの不自然な動きが目立っている。それも単発的な動きには見えず、年初に急上昇し、それから徐々に下降するという法則的ともいえる動きが複数回ある。何が起こっているかは想像がつかず、別途課題としたい。

 

 ロシアについては、2022年3月の86万円から同年8月に155万円、11月には162万円になっており、他の品目と同様に急上昇している。そして2023年に入り、下降傾向となっている。また他の仕向地も2020年頃から緩やかに上昇傾向にあり、直近は下降に転じていることもわかる。

 

  

図 2 ハイブリッド車の中古車輸出の単価(金額/台数)の月別推移(単位:千円)

出典:財務省貿易統計より作成

 

 

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阿部新(Arata Abe)

山口大学 国際総合科学部・教授

2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。

同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授

2020年より同大学国際総合科学部・教授

                                                                                                                

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