ILZSG 2024年の鉛亜鉛需給はいずれもサープラス
2023年10月5~6日、国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)がポルトガルLisbonで開催され、亜鉛の2023年及び2024年需給予測について協議が行われた。その結果、亜鉛の需給バランスについて、2024年は367千tの供給過剰と予測した。
供給面では、亜鉛鉱石生産量は、2023年は対前年比0.1%増の12.43百万、2024年は同3.9%増の12.91百万tと予測した。豪州及びロシア連邦での大幅な増加が予測増加の主要因であるほか、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブラジル、中国及びメキシコにて生産増が見込まれる。一方、ポルトガルでは11万t/年のAljustrel鉱山操業停止のほか、アイルランド、米国でも減少が見込まれている。
亜鉛地金生産量は、2023年対前年比3.7%増となり、2024年は同3.3%増の14.30百万tと予測した。主に、中国において2023年と2024年にそれぞれ6.7%と4.1%と大幅な増加が見込まれるほか、豪州、及びOdda製錬所の拡張工事が2023年下半期に完了する予定のノルウェーにおいても増加が見込まれる。
需要面では、亜鉛地金の消費量は、2023年1.1%増の13.59百万tとなり、2024年は2.5%増の13.93百万tと予測した。中国では2023年3%増、2024年は1.2%の増加が見込まれるほか、欧州、インド、日本、韓国、米国、及びベトナムでも増加の見込みとなっている。
一方の鉛需給についてもILZSGは2024年は52千tの供給過剰と予測。
供給面では、2024年の鉛鉱石生産量は、対前年比2.9%増の4.71百万tと予測した。主に豪Galena Mining社のAbra鉱山において95千t/年の操業成功による大幅な増加が引き続き見込まれるほか、2023年11月より英Adriatic Metals社による新たなVares鉱山の操業が予定されているボスニア・ヘルツェゴビナのほか、ブルガリア、インド、及びロシア連邦においてもさらなる増加が見込まれる。
2024年の鉛地金生産量は、対前年比2.3%増の13.14百万tと予測した。注目すべき要因としてTrafigura社の独Stolberg製錬所が2021年の洪水被害による閉鎖から再開したことである。このほか、台湾及びUAEにおいても新規生産開始により増加が見込まれる。一方で、ブルガリア、イタリア及び韓国では減少が見込まれる。
需要面では、2024年の鉛地金消費量は、対前年比2.2%増の13.08百万tと予測した。欧州では、2023年3.7%増の見込みであるほか、インド、メキシコ、台湾、及びベトナムでも増加が見込まれる。2024年にはインド、日本、及び韓国で需要が増加するとされる。
(IRUNIVERSE/MIRU)
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