2023年11月(速報)及び10月実績 鉄鋼生産概況(銑鉄・粗鋼詳細)
2023年12月22日、日本鉄鋼連盟が発表した11月の鉄鋼生産概況(速報)では銑鉄生産は503.3万トンと前月実績(540.5万トン)比6.9 %減、前年同月比では1.4 %増となり、前年同月比では3か月ぶりの減少の見通しとなった。
11月(速報)の粗鋼生産は711.1万トンと前月(751.1万トン)比5.3 %減、前年同月比でも0.9 %減となり、23暦年の粗鋼生産量は、22暦年を下回る見込み。
生産概況は下記をご参照ください。
2023年11月(速報)及び10月実績(確定) 鉄鋼生産概況 | MIRU (iru-miru.com)
<銑鉄生産高>
図1に、1925年~2023年11月(速報)までの銑鉄及び粗鋼生産推移(昭和1年~令和4年度は月換算)を示す。
図1 銑鉄及び粗鋼生産推移 2023年11月(速報)まで[昭和1年~令和4年度(確定)は月換算]
銑鉄(青色 折れ線)の月生産量は、2021年度では5月のみ600万トン台を上回ったが、その後は600万トンを下回る減少傾向を示し、2022年度は520万トン前後で推移した。2023年は、上期は微増傾向にあったが、下期は再び減少傾向を示している。
2023年4~6月期の銑鉄生産量は1,591.7万トンと前年同期(1,628.2万トン)比2.2 %減。月換算値では530.6万トン。
2023年7~9月期の銑鉄生産量は1,595.0万トンと前年同期(1,574.2万トン)比1.3 %増。月換算値では531.7万トン。
2023年1~3月期の銑鉄生産量は、1,567万トンと前年同期(1,675万トン)比6.4 %減。月換算値では522.3万トン。
2023暦年上期(1~6月累計)の銑鉄生産量は3,158.7万トンと前年同期(3,303万トン)比4.4 %減となった。月換算526.5万トン。
2023年[1~9月累計]の銑鉄生産量は4,753.7万トンと前年同期(4,877.2万トン)比2.5 %減となった。月換算528.2万トン。
2023年[1~11月(速報)累計]の銑鉄生産量は5,797.4万トンと前年同期(5,908.2万トン)比1.9 %減の見通し。月換算527.0万トン。
暦年換算では6,324.4万トンとなり、22暦年銑鉄生産量(6414.7万トン比)を僅かに下回る見込みとなった。
<2023年11月 銑鉄生産高 (速報)>
○ 銑鉄生産は 503.3万トンと前月(540.5万トン)比6.9 %減、2022年11月(510.5万トン)比では1.4 %減となり、前年同月比では3か月ぶりの減少の見通し。
2022暦年の銑鉄生産量の月平均は534.6万トン、2022年度の月平均は525.6万トンであり、11月(速報)は、これらを下回る見通し。
<2023年10月 銑鉄生産高 (実績)>
○ 銑鉄生産は 540.47万トンと前月(508.4万トン)比6.3 %増、2022年10月(520.4万トン)比では3.8 %増となり、前年同月比では2か月連続の増加となった。
2022暦年の銑鉄生産量の月平均は534.6万トン、2022年度の月平均は525.6万トンであり、10月(実績)は、これらを上回った。
<粗鋼生産高>
2022年度粗鋼生産量実績:炉別では、転炉鋼が6,432.6万トン[前年(7,115.2万トン)比9.6 %減]、電炉鋼が2,351.1万トン[同年(2,448.5万トン)比4.0 %減]となり、前年度比では、転炉鋼、電炉鋼ともに2年ぶりの減少となった。粗鋼合計(8,783.7万トン)に占める電炉比は26.8 %と前年の25.6 %から1.2ポイント上昇した。
2023年4~6月期の粗鋼生産高は、2,221.4万トンと前年同期(2,298.4万トン)比3.4 %減。
2023年7~9月期の粗鋼生産高は、2,155.7万トンと前年同期(2,182万トン)比1.2 %減。
2023年1~3月期の粗鋼生産高は、2,162.3万トンと前年同期(2,301万トン)比6.0 %減。
2023暦年上期(1~6月期)の粗鋼生産高は、4,383.7万トンと前年同期(4,600万トン)比4.7 %減。
2023暦年上期(1~9月期)の粗鋼生産高は、6,539.4万トンと前年同期(6,781.7万トン)比3.6 %減。
2023年[1~11月(速報)累計]の粗鋼生産高は、8,001.6万トンと前年同期(8,233.6万トン)比2.8 %減の見通し。月換算727.4万トン。
暦年換算では8,729万トンとなり、22暦年粗鋼生産量(8,922.7万トン比)を下回る見込みとなった。
<2023年11月 粗鋼生産高 (速報)>
○ 粗鋼生産 は711.1万トンと前月(751.1万トン)比5.3 %減、前年同月(717.5万トン)比0.9 %減となり、前年同月比では2か月ぶりの減少の見通し。
11月の1日当たり粗鋼生産は23.7万トンで、10の同24.2万トン比2.2%減の見通しとなった。
2022暦年の粗鋼生産高の月平均は743.6万トン、2022年度では732万トンであり、11月(速報)では、暦年及び年度月平均を下回る見通し。
<2023年10月 粗鋼生産高 (実績)>
○ 粗鋼生産 は751.1万トンと前月(702.8万トン)比6.9 %増、前年同月(724.4万トン)比3.7 %増となり、前年同月比では2か月ぶりの増加のとなった。
10月の1日当たり粗鋼生産は24.2万トンで、9月の1日当たり粗鋼生産23.4万トンを上回った。
2022暦年の粗鋼生産高の月平均は743.6万トン、2022年度では732万トンであり、10月(実績)では、暦年及び年度月平均を上回った。
《炉別粗鋼生産高》
2023年1~3月期の転炉鋼生産高は、1,601万トンと前年同期(1,708万トン)比6.3 %減。
2023年1~3月期の電炉鋼生産高は、561万トンと前年同期(594万トン)比5.6 %減。
2023年4~6月期の転炉鋼生産高は、1,619.8万トンと前年同期(1,669.7万トン)比3.0 %減。
2023年4~6月期の電炉鋼生産高は、601.5万トンと前年同期(628.8万トン)比4.3 %減。
2023年7~9月期の転炉鋼生産高は、1,626.3万トンと前年同期(1,606.6万トン)比1.2 %増となった。
2023年7~9月期の電炉鋼生産高は、529.5万トンと前年同期(575.4万トン)比8.0 %減となった。
2023年1~6月期の転炉鋼生産高は、3,221万トンと前年同期(3,377万トン)比4.6 %減。
2023年1~6月期の電炉鋼生産高は、1,162.7万トンと前年同期(1,222万トン)比4.9 %減。
2023年(1~9月期)の転炉鋼生産高は、4,847.3万トンと前年同期(4,984万トン)比2.7 %減となった。
2023年(1~9月期)の電炉鋼生産高は、1,692.1万トンと前年同期(1,797.7万トン)比5.9 %減となった。
2023年[1~11月(速報)累計]の転炉鋼生産高は、5,903.8万トンと前年同期(6,031.7万トン)比2.1 %減の見通し。月換算536.7万トン。
暦年換算では6,440.5万トンとなり、22暦年転炉鋼生産量(6,539.2万トン)を下回る見込みとなった。
2023年[1~11月(速報)累計]の電炉鋼生産高は、2,097.8万トンと前年同期(2,201.9万トン)比4.7 %減の見通し。月換算190.7万トン。
暦年換算では2,288.5万トンとなり、22暦年粗鋼生産量(2,383.5万トン)を下回る見込みとなった。
<2023年11月 炉別生産高 (速報)>
○ 炉別生産 では、11月は、転炉鋼が509.2万トンと前月(547.3万トン)比7.0 %減、前年同月(517.4万トン)比1.6 %減、電炉鋼が201.9万トンと前月(203.8万トン)比0.9 %減、前年同月(200.1万トン)比0.9 %増と、前年同月比では転炉鋼は3か月ぶりの減少、建築向けが多く伸び悩んでいた電炉鋼は16か月ぶりに微増となる見通しとなった。
2022暦年の転炉鋼生産高の月平均は、545万トン、電炉鋼生産高の月平均は198.6万トン。2022年度では、転炉鋼が536.1万トン、電炉鋼が196万トンとなり、
11月(速報)では、転炉鋼は両者を下回り、電炉鋼は上回る見通し。
<2023年10月 炉別生産高 (実績)>
○ 炉別生産 では、10月は、転炉鋼が547.3万トンと前月(514.2万トン)比6.4 %増、前年同月(513.9万トン)比3.4 %増、電炉鋼が203.8万トンと前月(188.7万トン)比8.0 %増、前年同月(204.1万トン)比0.1 %減と、前年同月比では転炉鋼は2か月連続の増加、建築向けが多く伸び悩んでいた電炉鋼は15か月連続の減少となった。
2022暦年の転炉鋼生産高の月平均は、545万トン、電炉鋼生産高の月平均は198.6万トン。2022年度では、転炉鋼が536.1万トン、電炉鋼が196万トンとなり、
10月(実績)では、転炉鋼、電炉鋼共に上回った。
図2には、平成17年度からの銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の月別生産高推移(平成17年~令和4年度実績は月換算)を示す。
図2 銑鉄、粗鋼、熱間圧延鋼材の月別生産高推移(平成17年度~令和4年度実績は月換算)
図2に示すように、電炉比(濃青 折れ線 右軸)は、2022年1月は25.0 %を下回ったが、6月に28.8%と最高値を示した。夏季定修の8月は24 %台に減少したものの、その後は約28 %台を推移した。1月13日にJFE-Sの第6高炉が火入れにより稼働を再開し、2月以降は約2 %減となり、8月(実績)は、電炉の夏季定修もあり、電炉比は22.9 %に落ち込んだが、10月(実績)では、27.1 %に戻した。
11月(速報)では、28.4 %と上昇する見通し。 28 %台となるのは、2022年9月以来である。
表2に比較データ 粗鋼炉別構成比を示す。
表2 粗鋼炉別構成比推移
≪鋼種別粗鋼生産高≫
2023年1~3月期の普通鋼合計は、1,692万トンと前年同期(1,665万トン)比1.6 %増。
2023年1~3月期の特殊鋼生産高は、470.3万トンと前年同期(476.3万トン)比1.3 %減。
2023年4~6月期の普通鋼合計は、1,734万トンと前年同期(1,782.4万トン)比2.7 %減。
2023年4~6月期の特殊鋼合計は、487.4万トンと前年同期(516万トン)比5.5 %減。
2023年7~9月期の普通鋼合計は、1,659.4万トンと前年同期(1,670.2万トン)比0.6 %減となった。
2023年7~9月期の特殊鋼合計は、496.3万トンと前年同期(511.8万トン)比3.0 %減となった。
2023年1~6月期の普通鋼合計は、3,426万トンと前年同期(3,545.5万トン)比3.4 %減。
2023年1~6月期の特殊鋼合計は、957.7万トンと前年同期(1,054.1万トン)比9.1 %減。
2023年1~9月期の普通鋼合計は、5,085.4万トンと前年同期(5,215.7万トン)比2.5 %減。
2023年1~9月期の特殊鋼合計は、1,454.0万トンと前年同期(1,565.9万トン)比7.1 %減となった。
2023年[1~11月(速報)累計]の普通鋼合計は、6,208.3万トンと前年同期(6,346.4万トン)比2.2 %減の見通し。月換算564.4万トン。
暦年換算では6,772.7万トンとなり、22暦年普通鋼合計(6,880.4万トン)を下回る見込みとなった。
2023年[1~11月(速報)累計]の特殊鋼合計は、1,793.3万トンと前年同期(1,778.2万トン)比5.0 %減の見通し。月換算163万トン。
暦年換算では1,956.3万トンとなり、22暦年特殊鋼合計(2,042.2万トン)を下回る見込みとなった。
図3に2019年1月からの、銑鉄、粗鋼及び熱間圧延鋼材の月別推移を示す。
図3 銑鉄、粗鋼及び熱間圧延鋼材の生産高推移 月別実績(2023年11月は速報)
<鋼種別生産 2023年11月(速報)>
○ 鋼種別粗鋼生産 では、普通鋼が543.7万トンと前月(579.2万トン)比6.1 %減、前年同月(559.8万トン)比2.9 %減、特殊鋼が167.4万トンと前月(171.9万トン)比2.6 %減、前年同月(157.7万トン)比6.2 %増となり、前年同月比では普通鋼は2か月ぶりの減少、特殊鋼は2か月連続の増加の見通し。
2022暦年の普通鋼の月平均は573.5万トン、特殊鋼が170.2万トン。2022年度では、普通鋼の月平均が567.4万トン、特殊鋼が164.5万トン。
11月(速報)は、特殊鋼のみが、前年度比で増加する見通し。
<鋼種別生産 2023年10月(実績)>
○ 鋼種別粗鋼生産 では、普通鋼が579.2万トンと前月(537.6万トン)比7.7 %増、前年同月(570.9万トン)比1.5 %増、特殊鋼が171.9万トンと前月(165.2万トン)比4.1 %増、前年同月(163.6万トン)比5.1 %増となり、前年同月比では普通鋼は22か月ぶりの増加、特殊鋼は3か月ぶりの増加となった。
2022暦年の普通鋼の月平均は573.5万トン、特殊鋼が170.2万トン。2022年度では、普通鋼の月平均が567.4万トン、特殊鋼が164.5万トン。
10月(実績)では、普通鋼、特殊鋼、共に上回った。
表3に比較データ 9月(確定)までの粗鋼生産高月換算値推移示す。
表3 比較データ <2018年度~2023年度10月確定 粗鋼生産量:月換算>
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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