アングロ買収、グレンコアも食指か 消息筋、BHP打診で余波 銅価格の先高観後押しも
オーストラリアの資源大手BHPが4月下旬、英同業のアングロアメリカンに買収を打診した件の余波が広がっている。アングロは打診を拒否したものの、今度はスイス同業のグレンコアがアングロ買収を検討し始めたとの情報が浮上した。BHPが先行きの需要増に言及したことで、銅価格の押上げにもつながるとの見方も広がっている。
■もし買収なら…BHPよりも有利な条件か
ロイター通信が5月3日に消息筋の情報として伝えたところによると、グレンコアのアングロ買収はまだ社内で検討されている段階で、実際にアングロに打診するに至るとは限らないという。グレンコアは「憶測にはコメントしない」と表明したとも伝わった。
ただ、実際に買収案が提示された場合、条件はBHPよりも有利になる可能性がある。グレンコアとアングロは既にそれぞれチリのコラウアシ鉱山の権益44%を保有しており、事業統合はメリットがある。また、グレンコアは既に南アフリカでも事業展開しているため、BHPが売却を条件としたアングロの南ア資産からは「むしろ利益を得ることができる」(ジェフリーズアナリストの見方をロイター報道)。このため、もしグレンコアがアングロに買収を提案するなら「資産分離条件なしでの単純な買収になる」(同)可能性があるという。
BHPは4月半ば、アングロアメリカンに対し、英上場の普通株1株当たり約25.08ポンド、総額311億ポンド(約388億ドル、約6兆円)での買収を提案した。提案価格は市場価格に対し3割増しの水準だった。買収にはアングロの南ア資産であるアングロアメリカン・プラチナムとクンバ鉄鉱石の分離を条件としていた。
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■加ハドベイ幹部「銅資産は値上がりしそう」
大型買収騒動は銅相場にも波及している。
ロイター通信は5月2日には、カナダ資源会社のハドベイ・ミネラルズ(Hudbay Minerals)のトップが、「買収案が銅資産の評価額を押し上げる可能性がある」と話したと伝えていた。
ハドベイは米アリゾナ州の銅鉱山の売却を進行中。一方でカナダでの銅生産を巡っては合弁相手を募集するなど、事業再編を進めている。このトップは「(電気自動車材料としての)将来的な銅の需要拡大が意識され、合弁相手も集まりやすくなりそうだ」とも話したという。
足元の銅価格も騰勢が続く。ロンドン金属取引所(LME)の銅3か月先物は、4月30日に2022年4月以来2年ぶりに$1万/tonの節目を超えた。
過去3年間のLME銅価格の推移($/ton)
(IR Universe Kure)
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