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日本のチタン産業 2023年実績 @日本チタン協会

一般社団法人 日本チタン協会2024年度通常総会併催 講演会が、2024年5月23日(水)に学士会館で開催された。

 

当日講演会資料とともに2023年度事業報告書及び2024年度事業計画が配られた。2023暦年のスポンジチタン生産量は20.4 %増の56,777トンで、2年続けてのプラス。

 

2023暦年のスポンジチタン出荷量は、2019年に続く2番目の高レベル、58,619トンを記録した。前暦年比では6.9 %増、3年連続で前暦年を上回った。航空機産業の旺盛な需要で輸出が伸びた。

 

当日、東京大学 生産技術研究所 持続型材料エネルギーインテグレーション研究センター教授岡部 徹氏による講演会「チタン製錬とリサイクルの最近の進展」については、下記記事をご覧ください。

 

2024年度講演会 溶けたチタンから直接酸素を除去する製錬法 @日本チタン協会  | MIRU (iru-miru.com)

 

<日本のチタン産業>

日本のチタン産業を概観すると、

暦年では、スポンジチタンの出荷量は2019暦年に過去最高の60,737トンを記録した後、2020年に入って新型コロナ感染拡大によりる航空機の大幅減産に伴い、特に米国向け輸出が急減し、2020暦年には34,098トン(前暦年比60 %)まで減少した。

 

2021暦年~2023暦年にかけては、航空機生産の回復による米国向けの回復、中国向けの増加、更にはウクライナ侵攻に伴うロシアへの経済制裁(ボーイングがロシアのチタン製品の購入を停止)等に米国展伸材メーカーからのスポンジ引き合い増などにより日本スポンジメーカーの稼働率は極めて高くなった。

 

一方、チタン展伸材の出荷量は、暦年では2013年から5年間連続で増加を続け、2018暦年には18,922トンまで増えたが、2019暦年は16,303トン(前暦年比86 %)と減少に転じ、コロナ禍の2020暦年には12,544トン(前暦年比77 %)にまで減少した。

 

コロナ禍からの経済活動の復活によってPHE(板式熱交)を中心に需要は堅調に推移した。

 

<2023暦年の日本のスポンジチタン産業>

 

図1にはスポンジチタンの生産及び出荷の暦年推移を示す。

2023暦年のスポンジチタンの生産量は前暦年比20.4 %増の56,777トンで、2年続けてのプラス。航空機産業の旺盛な需要で輸出が伸びた。

 

2023暦年の出荷合計は、2019年に続く2番目の高レベル、58,619トンを記録した。前暦年比では6.9 %増、3年連続で前暦年を上回った。

 

輸出向けは6.4%増の38,628トンとなり、過去最高だった昨年(36,316トン)を更新。国内向けも7.9 %増の19,991トンだった。

 

図1 スポンジチタン 暦年生産量・出荷量推移

 

<2023年度の日本のスポンジチタン産業>

 

2023年度は航空機向け及び一般産業向け共に、コロナ禍からの需要回復が鮮明となり、またロシアのウクライナ侵攻(2022年2月24日開始)以降の世界的なサプライチェーンの再構築によってタイト感が増した。

 

一方で中国経済の減速等不透明感もあり先行きは見通し難くなったものの、足元では需給の引き締まった状況の継続がみられた。

 

スポンジチタンの出荷実績については、2023年4月~12月実績(43,332トン)では、コロナ禍前の2019年度(61,893トン)以来の高レベルで推移した。

 

この背景には航空機及び一般産業向け需要回復とロシアからの代替需要に依るところが大きい。

特に航空機向けは年率5 %程度の成長が期待され、当面底堅い需要が見込まれる上、地政学リスクの顕在化によって日本のスポンジメーカーの存在感が更にました。

 

図2には図1にはスポンジチタンの生産及び出荷の年度推移を示す。ただし、2023年度換算は2023年4月~12月実績より求めたものである。

 

図2 スポンジチタン 年度 生産量・出荷量推移

 

日本のスポンジチタンの出荷量は、2020年度(26,844トン)を底に2021年度(48,333トン)、2022年度(56,978トン)と順調に回復しており、足元2023年4月~12月実績(43,332トン)も高いレベルであり、

2023年度換算では、チタン生産量及び出荷量共に、2022年度を上回る見通しとなった。

 

<2023暦年の日本のチタン展伸材産業>

 

コロナ禍後の2021暦年のチタン展伸材の出荷量は、底を打った。2022暦年には、国内向け5,298トン、輸出8,905トン、計14,203トンまで回復した。2023暦年は、国内向け5,624トン、輸出8,272トン、計13,896トンと、国内向けは前暦年を上回ったものの、輸出は下回り、トータルでは2.2%減となった。日本チタン協会は、展伸材の内需、輸出を盛り上げるためにも、チタン需要の裾野を広げるための用途開拓の拡大が必要としている。

 

図3に暦年のインゴット生産及び展伸材の出荷量推移を示す。

 

図3 インゴット生産及びチタン展伸材 暦年生産・出荷量推移

 

<2023年度の日本のチタン展伸材産業>

 

コロナ禍からの経済活動の回復によってPHE(板式熱交)を中心に需要は堅調に推移している。日本のチタン展伸材出荷量は、2020年度(11,098トン)を底に2021年度(12,187トン)、2022年度(14,788トン)と順調に回復してた。

 

2023年4月~12月実績(9,643トン)では、10,000トンを下回った。

2023年度では12,961トンと、2022年度比12.4 %減となった。

 

日本の展伸材はPHE及び電解向け薄板、医療向け線・棒で高い競争力を有している。

 

日本チタン協会では、これらを日本が得意とする品種を中心に旺盛な需要環境が継続していたものの、下期に入り出荷ペースが鈍化、とりわけ輸出向けの減が影響して、コロナ禍以前の水準に復する前に需要が踊り場を迎えた可能性が否定できないと、している。

 

図4に年度のインゴット生産及び展伸材の出荷量推移を示す。

 

図4 インゴット生産及びチタン展伸材の推移(年度)

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

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