処理困難物の「瓦」のリサイクルは進むか 瓦リサイクル事業協同組合
先月末に東京ビッグサイトの環境展ではさまざまなリサイクル設備、技術の展示が成されていたが、そのなかで筆者が面白いと感じたのが「瓦」のリサイクルである。
一般的に戸建て住宅に使用されている瓦だが、瓦のリサイクルというものをあまり聞いたことがなかった私としては非常に興味がある展示であった。
年間約100万トン排出の瓦
このブースは、一般社団法人瓦チップ研究会、K-グランド会、瓦リサイクル事業協同組合のブースだ。
瓦チップ研究会の調査データによると、廃棄される瓦は、年間約100万トンと推定されており、その処理方法のほとんどが埋め立てであるという。しかも、その形状から、埋め立て効率が悪いという点で、同協会は新たな処理の手段としてリサイクルができないかと考えたという。
その結果として、破砕、分別を経て、下水道や電気工事時に使う埋め戻し材や、道路に使われる、薄層舗装材などに使われているという。
ただ現状、いわゆる「瓦 to 瓦」にすることはできない。理由としては、瓦にする段階で高熱で熱しているため、元に戻すことは困難だからだ。
また、瓦製造元の悩みとして、近年の戸建てでもあまり瓦が使われず、さらに少子化とともに進む空き家問題で、古い住居には多くの瓦が使用されているため、製品としての瓦よりも、廃棄される瓦の方が多い状況にある。
製造者としては、売る商品よりも、廃棄物として排出される瓦の方が多いのも悩みだという。
それでも、同協会としては、昨今のサーキュラーエコノミーの時代感から、できることはしたい(リサイクルしたい)、という思いがあるという。
瓦のリサイクルについてはこまかな分別が必要だ。
あまり知られていないようだが、瓦の種類として「陶器瓦」「粘土、いぶし瓦」「セメント瓦」があり、これらが混合してしまうとリサイクルできずに、廃棄処分となってしまうという。
このように、あまり世間に知られていない瓦の廃棄物に対し、同協会は啓蒙活動を続けている。
リサイクル業界において、処理難物のものは多いが、その一つであろう瓦だが、今後どこまでリサイクルが進むか注目される。
(IRUNIVERSE Hatayama)
関連記事
- 2025/06/17 脱炭素の部屋#223 CO2排出量と環境貢献度を可視化すると
- 2025/06/16 豪Livium社 レアアースリサイクル推進へ 複数の抽出技術開発企業と協議中
- 2025/06/16 環境大臣政務官が、自動車リサイクルの最前線リバー川島・ELV川島事業所を視察
- 2025/06/13 DOWA子会社が村田製作所からサプライヤー表彰を受賞―リサイクル金属の循環スキームを共同構築
- 2025/06/13 環境省 中環審の脱炭素型資源循環システム構築小委員会開催〜高度化法概要について
- 2025/06/13 トクヤマ他 使用済太陽光パネル資源循環推進・北海道コンソーシアム設立
- 2025/06/13 レゾナック、日本製鉄他 排出 CO2 の有効活用によるグリシン製造研究開発が、NEDO 採択
- 2025/06/13 自動車リサイクルサミットⅣ 講演者紹介: Power eee 株式会社 取締役副社長 芋生誠 氏
- 2025/06/12 エンビプロHD、新社長に佐野文勝副社長が就任へ
- 2025/06/12 環境省 地産地消型資源循環加速化事業の2次公募(令6補正事業)発表