TOYOとタイSCGケミカルズ 混合廃プラ油化技術共同開発で契約書 を締結
東洋エンジニアリング株式会社(取締役社長 細井 栄治、以下、TOYO)と、タイのSCGケミカルズ(CEO兼 社長 SAKCHAI PATIPARNPREECHAVUD)は、SCGケミカルズの関連会社であるCircular Plas Company Limited (以下、CirPlas)が保有する使用済み混合廃プラスチック*¹の油化技術による石油化学原料化プロセスに関してスケールアップおよび事業機会拡大のための協業に関する共同開発契約書(JDA, Joint Development Agreement)を締結した。
*¹ 消費者が使用し、回収されたプラスチックごみでポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の異なる種類のプラスチックが混合した状態のもの
調印式の様子
TOYOとSCGケミカルズは、CirPlasの油化技術の商業化に向けた共同検討に関する基本合意書を2022年1月に締結*²しており、実証プラントの生産能力の増強や商業化へのスケールアップを両社で検討を進めていた。今回、両社のパートナーシップを強化し、商業化や第三者へのライセンシング供与するための技術・ビジネス両面での開発を促進するために、同合意書を締結した。
この技術は既にタイ・ラヨン県の混合廃プラスチック油化実証プラントにおいて活用されており、このプラントで得られた廃プラスチック由来のナフサを石油化学プラントの原料とする循環型プラスチックの製造を行っている。このプロセスは、ISCC(International Sustainability and Carbon Certification、国際持続可能性カーボン認証)の認証を取得している。
*² https://www.toyo-eng.com/jp/ja/company/news/?n=3656
油化による廃プラスチックケミカルリサイクルの資源循環イメージ図
CirPlasのプラスチックリサイクル技術は、独自の多機能材料を用いることでプロセス温度を下げ、軽質分解油の収率を高める省エネルギー・環境配慮型の油化プロセス。また、TOYOが設計した反応装置は、変動する廃プラスチック原料に対応し、連続運転性を高めることを目指している。CirPlasとTOYOは先進的なプロセスと技術力でプラスチック油化リサイクルの設備稼働率の向上に取り組んでいる。
プラスチック廃棄物を再びプラスチック原料にリサイクルすることにより、従来の焼却処理に比べて二酸化炭素排出量を削減。実証プラントにおいては、1日あたり1kgの化石資源を削減していることになり、これはシャンプーボトル(800ml) 約9万個分となる化石資源の削減に相当する。
現在、両社は新しい反応装置を実証プラントに設置する準備を進めており、2025年初頭に運転を行う予定。これにより同技術の商業化へのスケールアップに大きく近づくとともに、稼働中の実証プラントの処理能力がさらに向上する見込みだ。
(IR universe rr)
関連記事
- 2025/05/01 アジアン廃プラマーケットレポート2025年4月② トランプ関税がもたらす樹脂市場の混乱
- 2025/05/01 アジアン廃プラマーケットレポート2025年4月 やや持ち直す再生ペレット市場と苦境のバージン材料市場
- 2025/04/30 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム詳報4〜キヤノン、トヨタ
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU使用済自動車規則案:揉めるプラスチック再生材含有ターゲットの行方は?」
- 2025/04/30 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム詳報3〜金城産業、ベステラ、Rジャパン
- 2025/04/30 第5回CEシンポジウム in NAGOYA講演詳報1 ――中部経産局、栗田、ケミカルリサイクル
- 2025/04/30 電力取引量(25年4月)
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月の廃プラスチック輸出入統計
- 2025/04/30 アジア合成樹脂市況の近況(No37) 米関税政策、原油安と相まって軟調
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU、AIを駆使し域内電池推進へあらたなテコ入れ」