バナジウム市場近況2024#6 小動き オフシーズン入り、需要の弱さは変わらず
2024年8月上旬までのバナジウム価格は小動き。金属取引全体のオフシーズン入りの流れの中、バナジウムも静かな市場となっている。中国景気の低迷に加え、電池や鉄筋の需要の弱さが引き続き意識され、下押し圧力は根強い。
■五酸化バナジウムに底堅さ、フェロバナジウムは下落
過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)
五酸化バナジウムは7月25日に仲値$5.08/lbを付けた。$5を挟む水準での小幅な値動きが続いている。5月30日に$5.32と3月半ば以来の高値を回復したが、そこを頂点にじりじりと下落。7月初旬には一時$4.96と$5台を割り込む場面もあった。ただ、その水準では価格を下支えする動きが優勢となった。
過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)
鉄鋼向けのフェロバナジウムは下落基調が鮮明だ。7月初旬に仲値$27/kgの節目を割り込み、7月25日からは$26.225で推移している。水準としては4月末以来の安値圏。6月半ばに直近高値$27.6を付けたが、その後は下落が続いている。7月29日のFerroAlloynetは「末端の鉄筋製品の安値を受けて、製鉄所は高値でのバナジウム取引を見合わせる姿勢となっている」と伝えた。中国発の鉄鋼のデフレ輸出が問題化して久しい中、世界の製鉄所は添加物としてのバナジウム購入に消極的になっている模様だ。
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7月29日
大型蓄電池の世界大手である大連融科儲能技術発展 (RKP)と中国民間鉄鋼企業の黒竜江建竜鋼鉄が、中国黒竜江省にバナジウムフロー電池の電解質工場を建設することで合意した。FerroAlloynetが7月29日に伝えた。RKPが権益の過半を有する形で合弁会社を設立する見通しという。
7月17日
カナダのバナジウムメーカーであるラルゴ(Largo)が自社ホームページ上で発表した2024年4-6月期の事業報告書によると、同期の生産量は8625トン、販売量は1万2261トンだった。1-3月期には9000トンほどを生産していた。同社は米ナスダックとカナダのトロントの株式市場に上場し、ブラジルのマラカス・メンチェン鉱山でバナジウムを採掘している。8月8日に4-6月期決算を発表する。
(IR Universe Kure)
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