インド、重要鉱物に注力強める 予算セミナー開催、抽出技術向上目指し支援金も
インドが重要鉱物産業への注力を加速している。8月14日に鉱山省主催の予算セミナーを開催した。これに先立つ8月13日には、研究機関などに対し、重要鉱物採掘の技術支援のための支援金を検討しているとも伝わった。インドの重要鉱物生産は始まったばかりで、品質面で他国に比べ見劣りするのが現状だが、政府主導で改善を急ぐ。
■探査や海外投資の呼び込みめざし予算セミナー
(出所:インド政府鉱山省ホームページ)
インド政府鉱山省は8月14日、ニューデリーで、重要鉱物産業の予算セミナーを開催した。7月下旬の2024年度財政予算案(2024年4月-2025年3月)の発表に伴うもので、国内での鉱物探査の強化や海外からの投資呼び込み、リサイクルプロセスの確立、レアメタルの使途確保などに資金を投入して、インドの重要鉱物サプライチェーン(供給網)確立を目指すとした。
プレスリリース:プレスリリース:報道情報局 (pib.gov.in)
■最大5000万ドルの技術支援も検討
一方、8月13日付のロイター通信によると、インド鉱山省は鉱山労働者に技術支援を与える研究機関に資金を提供する計画だ。支援金は最大5000万ドルに膨らむ可能性があるという。
インドメディアのビジネス・スタンダードも同日、同国鉱山省高官の発言として、政府による重要鉱物の研究機関への金銭的支援の用意があるとの趣旨を伝えた。同省は7月に既に同国の科学産業研究機構(CSIR)国立学際的科学技術研究所(NIIST)、そしてインド国内の研究機関に向けて、重要鉱物を抽出する技術を鉱山労働者に提供するよう求める書簡を出したという。
■品質悪く鉱山参入企業ナシ、抽出技術も不足
インドは重要鉱物採掘に積極姿勢を強めている。前述の財政予算案では重要鉱物に言及。5月には政府主催の「重要鉱物サミット」も開催した。
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ただ、実際の結果は芳しくない。ロイター通信によれば、ジャンムー・カシミール州のリチウムブロックを競売にかけたものの、鉱物濃度が低く採掘コストが高いため、参入企業が見つからなかった経緯がある。また、鉱物の抽出技術が低いため、他の鉱物の副産物として採掘されるレアメタルの抽出もままならないのが現状という。研究機関に支援金を投じるのは技術不足問題の解決のためで、研究機関と企業とのマッチングで採掘現場の技術力を向上したい考えがある。
(IR Universe Kure)
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