コンゴ国営ジェカミン、ユミコアにゲルマニウム輸出 欧州向けは初、中国規制で漁夫の利
ロイター通信などの外電は10月15日、「コンゴ民主共和国(DRコンゴ)の国営鉱山会社ジェカミン(Gecamines)が10月14日に、ベルギー化学のユミコアに向けてゲルマニウムを輸出すると発表した」と伝えた。同国から欧州へのゲルマニウム輸出は初めて。
■ゲルマニウム、石灰灰などから産出
報道によると、輸出されるのは、コンゴ南部のルブンバシの鉱業ハブにある尾鉱処分場から産出されるゲルマニウム。ユミコアはこれをさらに加工し、半導体チップや赤外線、光ファイバーケーブル、太陽電池などに使用できるよう処理する。両社は5月に鉱山廃棄物の処理に関し契約を結んでいたという。
コンゴにはザンビアにかけてアフリカ・カッパーベルトが存在し、古くから銅、そして銅の副産物としてのコバルトの生産が盛んだ。ゲルマニウムは亜鉛精錬や石灰灰からの副産物として生産される。中国が7割弱のシェアを持つが、コンゴも石灰生産などの副産物として少量生産できる。
ゲルマニウムの生産国と消費国
(出所:JOGMEC)
■コンゴ、「重要鉱物ハブ」目指し立ち回り
ゲルマニウムの世界シェアを独占する中国は、2023年夏にガリウムとゲルマニウムの輸出規制を始めた。在庫枯渇懸念がくすぶり、金属ゲルマニウム価格は特に2024年に入り上昇。足元では仲値$2900/kgと過去20年間で最高値圏に値上がりしている。
過去20年間の金属ゲルマニウム価格の推移(9.99%China)($/Kg)
一方のコンゴは自らを「重要鉱物ハブ」に向上させることを目指し、中国と西側諸国の間でバランスを取る。コバルト生産大手の中国の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)に同国への大規模投資を許す一方で、CMOCが生産したコバルトをスイス資源大手のグレンコアに売却するなど、しっかり利益を獲得している。
関連記事:コンゴ、CMOC採掘の銅をグレンコアなどに売却か どっこい資源国、大国を嗤う | MIRU (iru-miru.com)
今回も、コンゴはうまく漁夫の利を得た印象だ。中国のゲルマニウム輸出規制後、西側諸国はリサイクル品などの活用とともに、一貫して中国に替わる輸入元を求めてもきた。コンゴはその需要にうまくアピールしたと言えるだろう。
(IR Universe Kure)
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