週刊バッテリートピックス 「環境省ヤード討論会」「CATLは3Qも減収増益」など
2024年10月15日~10月20日のバッテリー業界では、電池の安全性を巡る話題が目立った。大阪のごみ処理場で大規模な火災が発生。環境省がヤード環境対策の討論会を開き、OKIは電池の経年劣化の評価サービスを始めた。一方、海外では車載電池世界最大手のCATLが相変わらずの減収を発表。電気自動車(EV)向け電池では米韓の協力も目立った。
<国内>
●京セラと鹿児島大、使用済み電池からレアメタル 日経報道
10月18日付の日本経済新聞は「京セラと鹿児島大学が共同で、使用済み燃料電池からレアメタル(希少金属)やレアアース(希土類)を取り出す技術を開発する」と報じた。これを受け、同日の東京株式市場で京セラ株が反発した。
●大阪のごみ処理場で火災 リチウム電池に分別要請
火災があった東淀工場
(出所:大阪広域環境施設組合ホームページ)
大阪市東淀川区のゴミ焼却工場で10月17日に火災が起きた。18日に鎮火し、この火災による死傷者はなし。ただ、機器の一部が故障したため一時的にごみの受け入れができない状態になった。東淀工場は大阪市の中心的なごみ処理場。管理・運営を手掛ける大阪広域環境施設組合は、「復旧には時間がかかる」としている。
プレスリリース:東淀工場におけるピット火災について(第2報) - 大阪広域環境施設組合 (osaka-env-paa.jp)
原因は調査中だが、ゴミ収集車がピットにゴミを投入したところ大きな爆発が2回起きたという。FNNプライムオンラインの報道によると、同工場の担当者は「ゴミ収集車が最初にゴミを投入し、貯留するピットで『リチウムイオン電池』が発火の原因となって火災が発生し、燃え広がるケースがある。やはり電池などは、自治体で指定された捨て方で処分して頂きたい」とコメントしたという。
●環境省、第1回「ヤード環境対策検討会」開催
環境省は10月16日、第1回の「ヤード環境対策検討会」を開催した。
関連記事:第1回「ヤード環境対策検討会」――千葉県の金属スクラップヤード条例 許可制効果で順調な滑り出し | MIRU (iru-miru.com)
●OKI、リチウムイオン電池の経年劣化安全性評価サービス開始
OKIは10月16日、自社ホームページ上で、「傘下のOKIエンジニアリング(OKG)が、リチウムイオン電池の経年劣化安全性評価サービスを10月17日から開始する」と発表した。
ウエアラブル機器などにリチウムイオン電池の採用を検討する企業に向けてサービスを提供し、安全性の高い電池の採用を支援する。2024年度に1億円の売り上げを目指す。
プレスリリース:「リチウムイオン電池の経年劣化安全性評価サービス」を開始|プレスリリース|OKI
●BASC、「CEATEC 2024」に初出展
電池サプライチェーン協議会(BASC)は10月15~18日まで幕張メッセで開催のデジタルイノベーション総合展「CEATEC 2024」に初出展した。
関連記事:BASC、「動かせ。未来を。」をテーマにCEATEC初出展 | MIRU (iru-miru.com)
<海外>
●中国CATL、7-9月期は減収増益
車載電池世界最大手の中国の寧徳時代新能源科技(CATL)が10月18日に上場先の深圳証券取引所で発表した2024年7-9月決算は、売上高が前年同期比12.5%減の922億7800万元(約2兆1000億円)、純利益が26.0%増の131億3600万元だった。EV失速で2024年は年初から減収が続くが、コスト削減で増益を確保した。
1-9月では売上高が12.1%減の2590億4500万元、純利益が15.6%増の360億100万元だった。
CATL2024年7-9月期決算概要
(出所:深圳証券取引所で開示のCATL決算資料)
●中国南京大、オールペロブスカイトタンデム太陽電池の研究で記録更新
中国情報を伝える日本語メディアのレコード・チャイナは10月18日、「南京大学が10月15日に明らかにしたところによると、同大学の譚海仁教授のチームと任爍光能(蘇州)が製造した1.05平方cmのオールペロブスカイトタンデム太陽電池の定常状態の光電変換効率が28.2%に達し、同サイズのオールペロブスカイトタンデム太陽電池の世界記録を更新した」と伝えた。
●米GM、リチウム供給でカナダ社と合弁 先端素材にも投資
米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は10月16日、カナダのリチウム企業リチウム・アメリカズと、車載バッテリー向けがリチウムの供給で合弁会社を設立すると明かした。GMは同日、バッテリーの先端素材会社への投資も発表した。
関連記事:米GM、バッテリー投資加速 カナダ社とリチウム合弁、素材技術にも出資 | MIRU (iru-miru.com)
●韓国LGエナジー、米フォードと欧州向けバンの車載バッテリーで提携
韓国電池大手のLGエナジー・ソリューションズは10月15日、自社ホームページ上で、「米フォード・モーターとの間で、欧州向け電気商用バン向けバッテリーの供給契約を締結した」と発表した。
LGエナジーは2026年から4-6年にわたり、フォードの電気商用バン向けに総計109ギガワット時(GWh)のバッテリーを供給する。さらに両社は、ポーランドにあるフォードの車載バッテリー工場をLGエナジーの米国ミシガン州工場に移管し、米インフレ削減法(IRA)による税額控除の対象にすることでも合意した。
●北米バッテリーショーが開催
北米バッテリーショーが10月7-10日、米ミシガン州デトロイトで開催された。参加企業数は2023年の約800社から1150社に増え、規模を拡大して実施した。
(IR Universe Kure)
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