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ニチアス(5393)25/3H1WEB説明会メモ ポジティブ継続 

25/3期1.4%増収12.2%営利増予想据え置きで再増額修正期待、来期以降も最高益更新

株価6004円(11/22) 時価総額4071億円    発行済株67812千株

PER(25/3DO予:12.9X)PBR(1.86X)配当(25/3DO予)112円  配当利回り:1.9%

 

要約

・24/3H1は5.5増収26.5%営利増とプラント向け上伸し上期として過去最高収益更新

・25/3H1好調も25/3期1.4%増収12.2%営利増予想を据え置き、再増額修正期待

・26/3期は半導体関連拡大が見込まれ、工業製品、高機能製品増で最高益更新続く

 

 

24/3H1は5.5増収26.5%営利増とプラント向け上伸し上期として過去最高収益更新

 

 25/3H1決算が11/7に開示され、11/12にWEB説明会が実施された。25/3H1は売上高1266.50億円(期初計画比66.50億円増額、8/5増額修正比36.50億円増額、5.5%増)、営利198.54億円(同28.54億円増額、同8.54億円増額、26.5%増)と上振れ着地となった。なお経常利益206.32億円(同36.32億円増額、同8.68億円未達)、税引利益144.57億円(同27.57億円増額、同3.43億円未達)と期末に一時的な円高となったことで経常利益、税引利益は8/5修正値に対し未達となったが、上期として過去最高収益更新となった。

 セグメント別ではプラント向け工事・販売が売上高381億円(8/5予想比11億円上振れ、13%増)、営業利益60億円(同3億円上振れ、37%増)となった。原子力、石油精製、石化向けメンテナンス需要が堅調、特に原子力安全対策関連工事量の増加が寄与した。また受注では脱炭素の次世代プロジェクト関連の実証実験プラント受注も獲得した。

 

 工業製品は売上高260億円(同5億円上振れ、4%増)、営利55億円(同2億円未達、7%増)となった。中国向け環境製品需要が悪化も、国内インフラ向けシール材、半導体向けフッ素樹脂ライニング製品が堅調に推移した。

 

 高機能製品は売上面231億円(同6億円上振れ、9%増)、営利55億円(同2億円上振れ、15%増)。中国市場向け中心にAI半導体向けなどが需要を牽引した。

 

 自動車部品は売上高254億円(同4億円上振れ、3%増)、営利22億円(同2億円未達、34%増)。国内自動車メーカーの減産影響があったものの、円安と原材料価格の安定化で利益は大幅改善に。

 

 建材は売上高140億円(同10億円上振れ、9%減)営利6億円(同3億円上振れ、9億円改善し黒字転換)。一部大型物件の工期遅延と事業構造改革によるケイ酸カルシウム、住宅用RW事業の終了で利益が黒字化した。

 

 全体の経常利益の増減分析では総利益増52億円に対し経費増10億円(主たる要因は人件費)、為替差額21億円(Q1が161円に対しQ2で142円となったため)などで、経常利益の伸びが縮まった。

 

25/3H1好調も25/3期1.4%増収12.2%営利増予想を据え置き、再増額修正期待

 

 25/3H1好調も25/3期予想を8/5修正値の売上高2530億円(期初計画比10億円増額、1.4%増)営業利益395億円(同25億円増額、12.2%増)、経常利益425億円(同55億円増額、9.0%増)、税引利益293億円(同38億円増額、8.7%増)に据え置いたが、連続最高益更新予想となっている。

 

 セグメント別では変更しており、プラント工事・販売が売上高735億円(期初計画比35億円増額、8/5予想比15億円増額、横這い)、営利108億円(同18億円増額、同8億円増額、2%増)予想。原子力保全関連が下期減少も、通期では上振れ、MIX良化もあり、利益も増額予想に。工業製品は売上高550億円(同5億円増額、同10億円増額、7%増)、営利122億円(同7億円増額、同2億円増額、14%増)と引き続き国内インフラ向けの増加が寄与の模様。高機能製品は売上高455億円(同5億円減額、同15億円減額、10%増)、営利105億円(同5億円増額、同5億円減額、15%増)と、東京エレクトロンやスクリーン向けなど半導体製造装置向けの回復が寄与するとしているも、下期伸び悩む見通しに。自動車部品は売上高505億円(同20億円減額、同10億円減額、3%増)、営利45億円(同5億円減額、同5億円減額、33%増)と最大手ユーザーのトヨタグループの認証問題影響あるも、HEVの好調でエンジン周りの製品群が落ち込まない見通しで、減額は限定的想定。建材は売上高285億円(同5億円減額、同5億円減額、10%減)、営利15億円(同変更なし、2.0倍)予想と構造改革効果で利益改善見通し。

 

 営業利益の増減要因(352億円から395億円(期初は370億円)分析では、売上総利益を68億円(期初予想比33億円増額)に対し経費増他25億円(同16億円負担増)、為替0億(同8億円軽減)として24/3期比43億円(同25億円増額)増益予想としている。

 

 現状、上期に上振れた要因の多くは継続しており、8/5で示された25/3H2の部門別収益について、想定並みの収益が確保できるとみられる。また為替についても9月末の一時的な1$=142円(7円円高)という円高に対し、現状10円以上円安に推移、当初見込んだ8億円程度の為替上積みも見込まれることから25/3期会社予想の再増額修正が期待される。

 

26/3期は半導体関連拡大が見込まれ、工業製品、高機能製品増で最高益更新続く

 

  同社は2022年4月に中計「しくみ130」を策定、数値目標として27/3期に売上高2500億円、営業利益率15%(金額で375億円)、海外売上600億円を目指すとしていた。しかし既に24/3期にほぼ達成、現在の25/3期予想が売上高2530億円、営業利益395億円予想と既に前倒し達成予想となっている。会社側からは新たな中計が示されていないものの、25/3期発表時には新たな数字を開示するとしており、部分的に方向性を示すとしている。

 

 今回、説明会で示された事業別の計画では、プラント工事が27/3期まで緩やかな拡大、工業製品についても能力増強を進め売上高560億円、営業利益135億円目標と収益拡大を見込んでいる。高機能製品では売上高560億円、営業利益132億円と半導体関連の伸びに加え、高速通信向けFPCテープ、リチウムイオン電池向け除湿ロータなどの売上が寄与し、全体として収益の伸びが継続する見通し。自動車部品については25/3期予想比横ばい、建材事業は構造改革で売上高320億円、営業利益32億円目標と利益の増加が可能とのこと。このような各事業の状況を踏まえると、少なくとも売上高は2700億円、営業利益460億円以上が目途となろう。

 

 現状、工業製品および高機能製品は26/3期~27/3期にかけて半導体、精密化学など向けに高成長が見込まれる。加えてプラント工事では原子力発電再稼働に伴う売上拡大が26/3下期以降再度高まる見通しにある。さらに碧南火力アンモニア混焼実証設備の商用化対応など、新事業向けが加わってこよう。このほか工業製品では、脱炭素として水素関連(固体酸化物型電解セル、アルカリ水電解装置)、高圧直流送電機器(サイリスタバルブ)などでも事業拡大が見込まれる。このように、既存事業の拡大とともに様々な社会課題を解決する分野での新規事業の拡大も加わり26/3期以降も最高収益拡大が続こう。 

 

 株価は業績好調、自社株買い、増配などの発表などで継続的な上昇を続け、11/12には6160円の高値更新となっている。現状、25/3期会社予想EPS445.9円に対しPER13.4倍はプライムガラス土石の平均PER18.3倍、類似企業のある機械の平均PER16.6倍に対し割安感があり、類似企業のピラー11.6倍、バルカー11.6倍、イーグル工業12.7倍と似通った水準にある。但し同社は増額修正含みであり、連続最高益更新、継続的な増配、自社株買いも実施しており、今後も半導体や電池、さらには次世代プロジェクトに関連した事業も加わる見通しにあり、ポジティブ継続とする。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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