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太陽光パネル・紙おむつリサイクル事業でサーキュラーエコノミー時代を駆け抜ける――浜田(後編)

 株式会社浜田(HAMADA)――大阪に本社を置くリサイクル企業である。2030年代に大量廃棄が予想される太陽光パネルのリサイクル・リユース事業の展開。そして日本が猛烈な勢いで突入しつつある超高齢化社会を見据えた使用済み紙おむつのリサイクル事業への新たな挑戦と、その看板を磨き上げながら、確かな歩みを続けている。4月には環境分野の先進企業を環境省が認定する「エコ・ファースト企業」の仲間入りも果たした。サーキュラーエコノミー(循環型経済)という時代の風を呼び込み、成長シナリオの実現へ、どんな取り組みが進んでいるのか、京都市内の両事業の拠点を訪ねた。前編の太陽光パネルリサイクル事業に続き、後編となる今回は、紙おむつ事業を紹介したい。

 

前編記事:太陽光パネル・紙おむつリサイクル事業でCE時代を駆け抜ける――浜田(前編)

 

使用済み紙おむつリサイクル

 

 

 24年6月から実証試験の形で始まったその挑戦の現場は、亀岡市本梅町にある業務提携先の南丹清掃株式会社敷地内(本社:亀岡市)にある使用済み紙おむつ処理施設である。

 

 

 環境先進都市を目指す亀岡市が両社と「使用済みおむつ等処理事業に関わる基本協定」を23年12月に締結し、スタートさせたその全体像を最初に概括しておきたい。市では子育て支援の一環として市内の保育施設約30か所に紙おむつを無償提供し、週に1度回収している。

 

 実証試験ではこのうち保育所など9拠点の協力を得て、「原料」を確保、そのリサイクルに取り組み枠組みを整えた。HAMADAが処理設備を購入、それを南丹清掃株式会社の拠点に貸し出し、南丹清掃株式会社がそれを使って回収・処理し、再生素材を作り出す。HAMADAはその高付加価値化や全体のオペレーションを担うという役割分担になっている。

 

処理設備

 

ビニール袋に入れて運び込まれた使用済み紙おむつを最初に待ち受けるのは、使用済紙おむつ分別処理装置。コンベアで袋詰めのまま投入されると、装置内でビニール袋が破袋され、投入された薬剤や水で洗浄されていく。80℃で10分以上処理することで殺菌しながら、紙おむつを洗浄・分別が行われる。

 

1回の処理量は200㎏で、これに専用薬剤を一緒に投入。投入から約75~90分、殺菌・洗浄・分解などの一連の処理を経て、装置内にはプラスチック類が残る。パルプ類は洗浄水と一緒に排水槽に排水され、脱水機設備を経て、パルプ原料として回収されることになる。

 

 

 再資源化の方向としてはプラスチック類がリサイクルパレットやおむつ回収ボックス・回収袋など、パルプ類が段ボール、トイレットペーパー、猫砂などの用途が見込まれている。ただ、課題もまだ残っている。回収したプラスチックの中に、細かいパルプが混在していたり、パルプの中に少量のSAP(高分子吸収剤)が混入してしまう。そのため使い道が限定されてしまうなどの課題が浮かび上がってきているという。

 

プラスチックの中に混在したパルプ(緑のプラの上にある白い粒)

 

 解決を迫る課題とどう向き合い、使用済み紙おむつリサイクルの再生シナリオを描き出すのか。年間の使用済み紙おむつ発生量約1,500トン(内訳:一般家庭分1,000トン、保育園・老人ホームなどの事業所系分500トン)という、人口約8万6,000人超の亀岡市を舞台にした挑戦はまだ始まったばかりである。

 

 国内の使用済み紙おむつ排出量は2030年には20年比11%増の年間およそ245万トンに上ると推定されており、そのうち73%が大人用になる見込みだという。超高齢化傾向が一層鮮明になるのはちょうどこの時期以降で、わが国が抱える「どうするニッポン」の隠れた大テーマでもある。解決の道筋が見つからなければ、残っているのはほぼ焼却処理の選択肢だけである。京都府の山間の町で進む実証試験の朗報を待ちたい。

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

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