サウジ、リチウム産業に注力 石油依存から脱却へ、「鉱物資源未来フォーラム」開催
サウジアラビアがリチウム産業に注力している。同国の国営石油会社サウジアラムコは1月15日、自社ホームページ上で、「同国国営鉱物資源会社(マーデン、Maaden)との間で、鉱物探査・鉱業の合弁事業(JV)の設立の提案で合意した」と発表した。石油依存の国家運営から脱却し、鉱業を含めた産業多角化を目指す。
■27年までに商用リチウムを生産へ
プレスリリース:Aramco plans transition minerals JV with Ma’aden | Aramco
発表によると、提案されたJVは高濃度鉱床からのリチウム抽出や費用対効果の高い直接リチウム抽出(DLE)技術の推進など、新エネルギー向け鉱物に焦点を当てる。2027年までに商用目的でのリチウム生産に踏み切る予定だ。
サウジアラビアでは、アルミニウム(ボーキサイト)、マグネシウム、リン、金、銅といった鉱産物の国内生産が行われている。塩湖などの水が豊富な地域ではないためリチウムの生産は少ないが、アラムコの発表資料によると、同社は事業の一環として、リチウム濃度が最大400ppmの地域をいくつか特定している。また、アラムコは油田の塩水からリチウムを抽出する技術を研究しているとも伝わっていた。
関連記事:サウジアラムコ、油田からのリチウム抽出を計画か 23年は減益も増配、潤沢資金活かす | MIRU
■国際フォーラム、170か国から2万人参加
(出所:FMFホームページ)
サウジアラビアは石油に依存した経済構造を改め、鉱業を「第3の柱」とすべく産業改革を進める。1月14-16日には、首都リヤドで定例の国際フォーラム「鉱物資源未来フォーラム(FMF)」が開催中だ。170か国・地域から2万人が参加している。
ホームページ: Future Minerals Forum
鉱業の中でも、リチウムは電気自動車(EV)向け車載電池の材料として欠かせない。サウジは産業の高付加価値化の視点からも、生産に注力する考えだ。
(IR Universe Kure)
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