週刊バッテリートピックス「万博に次世代型の飲料自販機」「トランプ関税ショック」など
2025年3月31日~4月6日のバッテリー業界では、国内外を問わず異業種間での提携や協業のニュースが多かった。大詰めの大阪万博では、アサヒ飲料にみられるように電池関連での新たな試みも盛り込まれる見通しだ。一方で、トランプ関税ショックが世界を覆う中、自動車関連産業を中心に電池業界でも影響への警戒はくすぶる。
<国内>
●東大、LIB熱暴走の評価方法を開発
(出所:東京大学ホームページ)
東京大学大学院工学系研究科は4月4日、ホームページ上で、「同大の山田淳夫教授らの研究グループが、リチウムイオン電池(LIB)の熱暴走を効率的に評価する革新的な手法を開発した」と発表した。
プレスリリース:電池の熱暴走を超高効率・低コストで検出 ―安全な蓄電池開発を加速―
●日立レール、英国でバッテリーハイブリッドの鉄道車両を受注
日立製作所は4月3日、自社ホームページ上で、「鉄道システム事業を担う傘下の日立レールが、「イギリスでバッテリーハイブリッド車両を受注した」と発表した。
英北東部とロンドンを結ぶ鉄道路線グランドセントラル(Grand Central)を運営するアリバ・グループ(Arriva Group)から受注した。内容は、電化区間と非電化区間を直通運転できる「トリプルモード」車両45両(5両 x 9編成)の納入および10年間のメンテナンスで、契約額は合計約3億ポンド(約580億円)に達する。
プレスリリース: 日立レール、英国でバッテリーハイブリッド車両納入とメンテナンスに関する契約を締結
●アサヒ飲料、大阪万博会場にナトリウムイオン電池の自販機設置
アサヒ飲料(本社 東京・墨田)は4月2日、自社ホームページ上で、「大阪万博会場内に、ナトリウムイオン電池蓄電により稼働する飲料自販機を設置する」と発表した。ナトリウムイオン電池の自販機は世界初。
ロケットバッテリー(本社:大阪府)と協業して開発した。4月13日-10月13日の万博会期中に作動し、実証実験を兼ねる。
プレスリリース:世界初のナトリウムイオン電池蓄電により稼働する自販機 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)会場内に設置
●FCLコンポーネント、EV用の新たな信号切換用リレーを発売
FCLコンポーネント(本社 : 東京・品川)は4月2日、「EVの電源監視などに適した車載信号切換用リレーを発売した」と発表した。一部のEVで問題になっていた、従来の信号用リレーで想定される使用範囲から外れ不具合が生じるケースに対応し、高電圧負荷に耐えられる製品を打ち出した。
プレスリリース:EVバッテリーコントロール等車載向け信号切換リレーを販売開始:FCLコンポーネント株式会社
●日産化学、豪エレメント25とバッテリーグレードのマンガン事業で協力
オーストラリアの鉱物資源探査会社エレメント25(Element 25)は4月2日、株式を公開するオーストラリア証券取引所(ASX)で、「日産化学および日産化学傘下のNC東京ベイとの間で、バッテリーグレードの高純度硫酸マンガン事業での協業で合意した」と発表した。
関連記事:日産化学、豪エレメンツ25と高純度硫酸マンガンで協業 千葉に工場建設も | MIRU
●三井金属、Gaianixxと提携
三井金属は4月1日、東京大学発のスタートアップ企業 Gaianixxと提携すると発表した。
関連記事:三井金属、東京大発スタートアップ Gaianixxと提携――次世代SAW向け技術の事業化へ | MIRU
●新宿区、リチウムイオン電池を家庭ごみとして回収 1日から
(出所:新宿区の資源回収チラシ)
新宿区は、4月1日からリチウムイオン電池などの小型充電式電池の家庭ごみとしての回収を開始した。週1回、資源の日に資源・ごみ集積所で回収する。回収できるのは、小型充電式電池単体で、ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池。
プレスリリース:0131_新宿区リチウムイオン電池回収告知チラシ
●アイシン、ペロブスカイト太陽電池を社内実証
自動車部品や住宅関連設備を手掛けるトヨタ系企業のアイシン(本社:愛知県刈谷市)は3月31日、自社ホームページ上で、「3月から安城工場でペロブスカイト太陽電池の社内実証を開始した」と発表した。工場敷地内施設の四方壁面や屋根にペロブスカイト太陽電池を順次設置し、「システム発電評価」、「施工性評価」、「国内初の系統連系による運用評価」を行う。
プレスリリース:ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた安城工場での社内実証を開始 | 株式会社アイシン 公式企業サイト
●パナエナジー、住友金属鉱山とLIB正極材原料リサイクル
パナソニックエナジーは3月31日、住友金属鉱山と連携し、リチウムイオン電池の正極材原料におけるリサイクルの運用を開始すると発表した。
関連記事:パナソニックエナジー、住友金属鉱山とLIB正極材原料リサイクルを開始 | MIRU
<海外>
●中国CATL、シノペックと協業 充電ステーションで
中国国有石油大手の中国石油化工集団(シノペックグループ)は4月3日、自社ホームページ上で、「車載電池世界最大手である同国の寧徳時代新能源科技(CATL)とEVの電池交換ステーションの増設で協業する」と発表した。
シノペックは中国3大国有石油企業の1つで、中国全土でガソリンスタンドを運営する。両社は今回の協業で、2025年内に中国国内に500カ所、中長期で1万カ所のEV向け電池交換ステーションの設置を目指す。
プレスリリース(シノペック):中国石化和宁德时代签署产业与资本合作协议
●EC、トヨタなど15社にカルテル制裁金
欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は4月1日、「トヨタ自動車など日系を含む自動車メーカー15社と欧州自動車工業会に対し、自動車リサイクルに関わるカルテル行為を行ったとして4億5800万ユーロ(約740億円)の制裁金を課す」と発表した。
関連記事:スクープ:欧州からの風:2025 April「欧州委、自動車メーカー・欧州自工会のカルテル行為に対し制裁金」 | MIRU
●韓国サムスンSDI、46パイバッテリーの量産を開始 次世代型
韓国電池大手のサムスンSDIは3月31日、自社ホームページ上で、「46パイ(直径46ミリメートル)バッテリーの量産に入った」と発表した。このサイズのバッテリーは次世代バッテリーの1つとされ、量産は韓国の二次電池メーカーで初めて。ベトナム工場で生産し、米国向けに小型モビリティ用として輸出する。
(IR Universe Kure)
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