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【第2弾】PrimobiusのMichel Siemon氏、日本の電池リサイクル現場を視察

2026/03/26 13:51
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【第2弾】PrimobiusのMichel Siemon氏、日本の電池リサイクル現場を視察

(右から:佐々木氏、西浦氏、Michel氏)

 ― 日本リサイクルセンター訪問:乾式プロセスと湿式技術の対話 ―

第13回東京バッテリーサミット後に実施された関西視察ツアー。前回のMetal Do訪問に続き、第2弾として同じ大阪・西淀川エリアにある日本リサイクルセンターの工場を訪問した。今回対応いただいたのは、営業部主任の佐々木氏と製造部・物流部長の西浦氏である。

多様な電池に対応する「ライン分離戦略」

日本リサイクルセンターの大きな特徴は、電池の種類ごとに処理ラインを分けている点にある。

佐々木氏:「電池の種類ごとに最適な処理方法を選び、異種混入は完全に避けています」

リチウムイオン電池専用の炉をはじめ、それぞれの電池特性に応じた設備設計がなされており、品質管理の徹底が図られている。

回収対象:民生用電池が中心

回収される電池の多くは:

  • ノートPC
  • 携帯電話用
  • 家庭用小型電池

など、民生用途の使用済み電池が中心であるという。現時点ではEV電池の流通量はまだ少ないものの、今後の増加を見据えた対応が検討されている。

ロータリーキルンによる乾式処理とブラックマスの生成

本施設では、電池の受入段階から厳格な分類が行われている。リチウムイオン電池は、コバルト系や三元系(NMC)などの化学組成ごとに分別される。多くの場合、電池の表示から分類が可能だが、表示がない場合でも社内ラボにおいて成分分析を行い、系統を特定することができる。

また、本施設では放電処理を行っていない。本施設の中核技術は、ロータリーキルン(回転炉)を用いた熱処理プロセスである。これは、熱処理プロセスとの組み合わせにより、安全性を確保しているためである。

特徴は以下の通り:

  • 電池を少量ずつ連続投入
  • 高温で加熱し、電解液や樹脂を除去
  • 爆発リスクを最小化
  • 電池自身のエネルギーを燃焼に活用

西浦氏:「電池自体が燃料の役割を果たすため、外部エネルギーコストを抑えられます。加熱後は「焙焼電池」となり、粉砕・選別工程を経てブラックマスが生成されます。」

製造されたブラックマスについても、各ロットごとに金属含有量の分析を実施し、品質管理を徹底したうえで販売されている。同社では、こうした分析結果に基づき、ブラックマスをLCO(コバルト系)やNMC(ニッケル・マンガン・コバルト系)などに分類して取引している。

特にLCO系はコバルト含有量が高く、高付加価値材料として取引される。

Michel氏:「生成されたブラックマスはどこへ輸出されるのですか?」

佐々木氏:「直接中国ではなく近隣のアジア諸国へ輸出しています。主にアジア経由で最終的に中国へ輸出されます。」

背景には、中国の厳格な輸入基準(粒径・金属比率など)があり、前処理工程が重要な役割を果たしているからだという。

(左:日本リサイクルセンターの設備について説明を受けるPrimonbius Michel氏)

Primobiusとの技術対話:湿式処理の可能性

議論中、PrimobiusのMichel Siemon氏からは、湿式(ウェット)プロセスに関する提案があった。Michel:氏のバッテリーサミットでプレゼンでもあったように、Primobiusの技術は、

  • EVバッテリーモジュールをそのまま投入可能
  • 水を用いてエネルギーを吸収し安全に破砕
  • ブラックマスに加え、銅・アルミ・プラスチックなどを同時回収

さらに

  • 粉塵が少なく作業環境が良好
  • 時間あたり最大2トンの高スループット
  • スケールメリットによるコスト低減

といった特徴を持つ。

(ドイツにあるPrimobiusのLIBリサイクル設備)

課題:水処理とコスト

一方で、西浦氏からは日本側からは湿式処理に対する懸念も示された。

主な論点は:

  • 廃水処理コスト
  • 日本の厳しい排水規制
  • 電解液処理の負担

西浦氏:「日本では排水基準が非常に厳しく、追加コストが大きな課題となります」

これに対しMichel氏は、

  • 廃水の80%再利用
  • 電解液は燃料代替として活用可能

と説明し、欧州での実例(Mercedes-Benzのリサイクル設備など)を紹介した。

EV電池リサイクル:まだ「これから」の市場

現在、日本リサイクルセンターでは、EV電池の買取は行っておらず、リサイクル費用を徴収するビジネスモデルを採用している。

その理由として:

  • 労働コストの高さ
  • 回収量の少なさ
  • 材料販売収益の低さ

が挙げられる。

佐々木氏:「現状では、収益が低いため、処理費用をご請求することで賄っています。」

見学:破砕+熱処理の実工程

後半では、実際の設備見学が行われた。

処理フローは以下の通り:

  1. 破砕機で電池と樹脂を粗分離
  2. ロータリーキルンで加熱(電解液・樹脂をガス化)
  3. 粉砕・選別
  4. ブラックマス生成

処理時間は: 投入から再生原料生成まで約30〜40分だという。

最終的に得られる金属は:

  • Ni(ニッケル)
  • Co(コバルト)
  • Cu(銅)
  • Al(アルミ)
  • Fe(鉄) など

用途に応じて鉄鋼原料や電池原料として販売されるという。

技術選択の本質:現在最適 vs 将来最適

西浦氏は、現状の戦略について次のように語る:

「現時点では、ロータリーキルンによる乾式処理が最も合理的」

理由は明確だ:

  • 電池自身が燃料となる → 低コスト
  • 設備がシンプル
  • 安全性が確保しやすい

一方で、「将来的にEV電池が増えれば、別の技術も必要になる」とし、2035〜2040年を見据えた技術転換の可能性にも言及した。

欧州の視点:脱炭素とエネルギーコスト

Michel氏は欧州の状況について次のように述べた:

  • エネルギー価格の高騰
  • 地政学リスク(ロシア産ガス依存の低下)
  • CO₂削減圧力

これらを背景に、低炭素かつ効率的なリサイクル技術への移行が進んでいるという。

今回の訪問視察で明らかになったのは、電池リサイクルにおける「地域最適化」の現実である。特に印象的だったのは、「現時点で最適な技術」と「将来に向けた技術」が明確に分かれている点である。

EV電池の大量発生が現実となるその時、日本の現場がどのタイミングで次の技術へシフトするのか。その意思決定が、今後の競争力を左右することになるだろう。

Iruniverseでは引き続き、グローバルな資源循環の最前線を追っていく。

 

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(IRuniverse. R.S.)

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