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日立金属 高延性・高強度マグネシウム合金を開発

 日立金属株式会社(以下 日立金属)は、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)とともに、希土類元素フリーで高い延性と強度を持ち合わせる新たなマグネシウム(Mg)合金を開発した。この合金は、生体為害性※1があるとされる元素や、生体環境下で分解しにくい析出物を含んでいないため、生体親和性にも優れている。日立金属は、同開発技術をモビリティ、福祉用具や医療器具などの成長市場に向けたソリューションの1つとして展開していく。(図表・写真、出典は全て日立金属)

 

1.背景

 輸送時のCO2排出削減が求められるモビリティ分野や、取り扱いやすさが求められる車いすなどの福祉用具分野においては、部材の軽量化に加え、強度や優れた加工性が必要され、それらの条件を高い条件で満たす材料が望まれている。
 また、インプラント治療で使用するステントや骨折固定材など医療器具分野では、優れた機械特性(強度・延性)や高い生体親和性のほか、損傷部位の治癒とともに生体に吸収される、生体吸収性を有する材料に関心が寄せられている。
 このような中で、実用化されている金属材料として最も軽量かつ生体吸収性を持つマグネシウム合金が注目されている。しかし、適用製品を拡充していくためには、さらなる高強度化や加工性の向上などが求められていた。

 

2.概要

鋳造インゴットからの加工例(左:押出成型(64mm)、右:伸線形状(1.3mm)

 

 今回日立金属とNIMSは、高い延性(伸び>20%)と強度(耐力>300MPa)を持つだけではなく、生体為害性元素および難分解性物質を含まない高い生体親和性を持つ高延性・高強度マグネシウム合金を共同開発した。
 この高延性・高強度マグネシウム合金は、微量添加元素の粒界偏析※2による粒界すべり※3と粒界強化※4の双方の促進により、高延性と高強度を両立した(図)。また、微量添加元素の選択により、延性と強度のコントロールが可能(グラフ)。また、海外でステントへの適用実績のあるWE43合金(Mg-希土類-イットリウム系合金、耐力:160MPa、伸び:6%)よりも高強度かつ高延性で、生体為害性の指摘のある元素や生体環境下で分解しにくい析出物を含まない。さらに、高強度でありながら延性に富むため、押出・引抜きや圧延など、ユーザーの用途に合ったサイズ・形状で、容易に成形加工が可能(写真)。
 高い延性と強度を両立した本品は、健康長寿命社会や低炭素社会を支える材料として期待でき、これらの関連市場に向けたソリューションとして展開を開始する。また、本製品は127日から幕張メッセで開催される「第2回サステナブルマテリアル展」に展示会初出展する。

 

図:開発合金の高強度・高延性発現メカニズム

 

 粒界強化に結び付く元素Xを微量粒界に偏析させるとともに、粒界すべりを促進させる元素Yを粒内と粒界にごくわずかに存在させることで、高強度と高延性を両立。

 

グラフ:開発合金と汎用合金の押出材の引張特性

 

開発品ACは合金組成が異なり、A合金は強度重視、C合金は延性重視、B合金はそれらの中間の位置付けでユーザーのニーズに応じた合金を提供する。

生体為害性(せいたいいがいせい)

:生体にとって害をもたらす性質の意

粒界偏析

:結晶粒界に溶質原子の一部が集まる現象で、粒界すべりや粒界強化などの現象を促す。

粒界すべり

:結晶粒界を挟んだ二つの結晶が相対的にすべる(ずれる)変形で、この促進により材料の延性を向上させる。

粒界強化

:結晶粒界に溶質原子の一部を偏析させ、材料を強化する方法。

 

 

(IR universe rr)

 

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