ステンレス鋼材国内市場近況2023 #36 8月 冷間仕上げ鋼材生産
2023年10月16日、鉄鋼連盟が発表した、2023年8月の特殊鋼冷間仕上げ鋼材生産によれば、ステンレス鋼冷間仕上げ鋼材におけるCr-Ni系(304系)生産量は前年同月(32,848トン)比25.3 %減の24,547トン(前月24,804トン)、Cr系生産量は同(47,021トン)比8.5 %減の43,041トン(前月43,831トン)、Cr-Ni-Mo系 は同(3,767トン)比54.2 %減 の1,725トン(前月1,935トン)、及びその他系は同(15,894トン)比4.2 %増の16,556トン(前月16,641トン)となった。その他系のみ、前月比及び前年同月比で増加した。
熱間圧延鋼材については、下記をご参照ください。
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #34 8月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫 | MIRU (iru-miru.com)
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #35 8月 熱間圧延鋼材生産・消費・在庫(第2報) | MIRU (iru-miru.com)
なお、本記事の表及び図番号は、上記記事からの連番としている。
<冷間仕上げ鋼材>
2023年8月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材生産量計は、前年同月(9万9,530トン)比13.7 %減の8万5,869トン(前月8万7,211トン)となった。2か月連続で8万トン台。
2022年度のステンレス冷間仕上げ鋼材生産量計は、2021年度(139万9,402トン)比 16.8 %減の116万4,826トンであった。月換算では9万7,069トンとなる。2023年8月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材生産量計は、2022年度月換算を下回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)のステンレス冷間仕上げ鋼材生産量計は、22暦年上半期(59万8,054トン)比14.9 %減の50万8,995トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)のステンレス冷間仕上げ鋼材生産量計は、22年度第1四半期(29万2,205トン)比19.4 %減の23万5,412トンとなった。
表2に令和5年8月分のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材(磨帯鋼・冷延広幅帯鋼・冷延鋼板)生産内訳を示す。
表2 ステンレス鋼冷間仕上鋼材生産内訳(鋼種別・形状別)を示す。
図6には、ステンレス鋼冷間仕上げ鋼材の鋼種別生産量推移を示す。
図6 ステンレス鋼 冷間仕上げ鋼材生産量推移(経産省データ、2023年1月より鉄鋼連盟)
2023年8月のステンレス鋼冷間仕上げ鋼材生産量の鋼種別内訳では、
Cr系が43,041トン。前月2023年7月(43,831トン)比では1.8 %減、22 年同月(47,021トン)比では8.5 %減、21 年同月(53,464トン)比では19.5 %減となった。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(28,978トン)比では、48.5 %増。
2022年度のCr系生産量は55.4万トンで、2021年度(63.0万トン)比で12.1%減となった。 月換算では4.6万トンとなり、8月の生産量は、月換算量を下回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)Cr系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(28万3,913トン)比12.9%減の24万7,268トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)Cr系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(13万9,557トン)比17.6 %減の11万4,950トンと減少した。
Cr-Mo系、Cr-Mn系については実際には生産はあるが、生産企業が1社に絞りこまれることで具体的な生産量は公表されていない。
Cr-Ni系(304系)は24,547トン。2023年7月(24,804トン)比では1.0 %減と微減した。前年同月(32,848トン)比25.3 %減、21年同月(37,840トン)比でも35.1 %減と共に減少した。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(24,438トン)比では、0.5 %増となった。
2022年度のCr-Ni系生産量は39.3万トンで、2021年度(43.7万トン)比で10.1%減となった。 月換算では3.3万トンとなり、8月の生産量は、月換算量を大きく下回る結果となった。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)Cr-Ni系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(20万2,706トン)比21.7 %減の15 万8,660トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)Cr-Ni系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(10万10トン)比29.1 %減の7万927トンとなった。
Cr-Ni-Mo系は1,725トン。本集計において初の1,500トンを下回った2023年6月(1,442トン)比では19.6 %増となったが、前月2023年7月(1,935トン)比では10.5 %増となった。前年同月(3,767トン)比54.2 %減、21年同月(2,634トン)比でも34.5 %減と減少し、前年同月比及び21年同月比ではともに、減少した。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(1,765トン)比でも、2.3%減と下回った。
2022年度のCr-Ni-Mo系生産量は3.08万トンで、2021年度(3.03万トン)比で1.7 %増となった。 月換算では2.566トンとなり、8月の生産量は、月換算量を下回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)Cr-Ni-Mo系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(1万3,471トン)比0.4 %増の1万3,530トンとなった。
2023年度第1四半期(4月〜6月累計)Cr-Ni-Mo系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(6,406トン)比14.3 %減の5,491トンとなった。
その他は16,556トン。2023年7月(16,641トン)比は0.5 %減、21年同月(19,795トン)比では16.4 %減と減少した。一方、前年同月(15,894トン)比では4.2 %増。
コロナ禍で大きく生産量が減少した20年同月(15,179トン)比では9.1 %増であった。
2022年度のその他系生産量は18.7万トンで、2021年度(22.2万トン)比で15.8 %減となった。 月換算では1.56万トンとなり、8月の生産量は、月換算量を上回った。
2023暦年上半期(1月〜6月累計)その他系冷間仕上げ鋼材生産量は、22暦年上半期(9万7,964トン)比8.6 %減の8万9,517トンとなった。
2023年第1四半期(4月〜6月累計)その他系冷間仕上げ鋼材生産量は、22年度同期(4万6,232トン)比4.7 %減の4万4,044トンとなった。
参考情報
ステンレス鋼材国内市場近況2023 #33 依然として需要喚起なくじり安 | MIRU (iru-miru.com)
(IRUNIVERSE tetsukoFY)
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