20年先を見る環境経営 ナカダイHDspecialその2 サーキュラーパーク九州へと続く道
もちろん、ナカダイの本業の産廃事業も企業および自治体の廃棄物を徹底的に人力による選別を行い、リサイクル率99%を誇っている。例えば産廃で入ってきたプラスチックはマテリアルリサイクル、RPF原料向けなどのサーマルリサイクル、などとそれぞれ丁寧な仕分けを排出事業者と連携して行っている。木くずもRPF向けとバイオマス燃料向けとで加工している。前橋支店のほうには1日約60トンの産廃物が入ってくる。その産廃物のなかからRPFやバイオマス燃料を製造。発泡スチロールも自社でPSインゴットにして海外へ販売。蛍光灯のリサイクルも地道に続けている。RPFは月間100~120トンほど生産。ほとんどが製紙メーカーの燃料として利用されている。RPFのニーズは高く、相場も上昇中。
当該ビジネスを信頼ある事業にするために、ナカダイではNIMS(Nakadai Integrated Management System)という独自の安全衛生、環境、品質のマネジメントシステムを用いている。
http://www.nakadai.co.jp/company/nims
数多いトピックがあるナカダイではあるが、なかなか大規模なものでこういった展開もある。
鹿児島の川内火力発電所跡地活用として、今年の7月に九州電力株式会社とナカダイHDとが共同で新会社、サーキュラーパーク九州株式会社を設立。この代表取締役に中台 澄之氏も共同代表として就任している。薩摩川内市と九州電力㈱と大学とも連携し、プロジェクトをたちあげた。いうなれば産官学連携のオープンイノベーションの場である。
発電所のみならず、かつての重厚長大産業の跡地利活用のモデルにするべくナカダイも力を注いでいるプロジェクトである。
HPにも掲載されているが、リソーシング事業(企業や地域の廃棄物を再資源化)開始に向けて川内火力発電所跡地の整備等を進めるとともに、ソリューション事業(産官学のネットワークを活用した共同研究や実証実験、コンサルティング等)についても、実施していく予定です、とのことで要は九州におけるサーキュラーエコノミーのコンビナートを目指している。
来年、2024年4月からリソーシング事業が本格稼働するとのこと。
このサーキュラーパークの群馬版?ともいえるのが同社の粕川工場を資源循環の工場とする計画がある。ここでユニークなのは、資源循環で大切な「モノの回収」「捨てたものを使うための情報」「資源開発」をワンストップで行う、という点だが、特筆すべきは同社が開発したmeguru分析ソフトである。
これは廃棄物に「情報」をつけていこうという取り組みから始まり、CO2の排出分析も見える化できるというもの。今の流行りである。今は廃棄物の素材ひとつひとつを丁寧に選別解体した上で、データベース化しているという。
20年前からこういう時代が来ることを予見していたナカダイ。彼らの動きをみれば20年後の資源リサイクル業界のあり姿がMIERU、のかもしれない。
(IRUNIVERSE Tanamachi)
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