週刊バッテリートピックス 「能登地震の爪痕深く、北陸企業の生産に影響」など
2023年12月27日~2024年1月7日のバッテリー業界では、1月1日に石川県能登半島で起きた大地震の影響に注目が集まった。当初は4000社以上の工場に影響が出たとされた。1週間が経ち、大手の工場の一部では再開の動きも進むものの、従業員の安否が確認できないなどなお全容解明には遠く、北陸経済に与えた傷は深い。
<国内>
●能登地震の爪痕深く 工場は順次再開も供給販売網の乱れなど影響必至
経済産業省の1月8日の発表によると、1月1日の能登半島地震で被災した企業のうち、同省が情報収集を行った企業の約7割が生産再開または再開見込みとなっている。残り3割は被害の状況を確認中、あるいは復旧に向けた準備を進めている段階とした。
具体的には、東芝は地震発生直後に生産を止めた石川県能美市の半導体子会社について、一部工程の稼働を1月10日に再開できる見通しが立ったと発表した。日本製鉄は、地震発生で停止した新潟県上越市の製鉄所を1月2日夜から順次再開している。三菱ケミカルグループの富山事業所(富山市)も1月8日以降、安全確認できたプラントから順次再開するとした。
一方、石川県輪島市に本拠を置く金属加工のサンテックは、震源地に近い「のと輪島工場」の再開には多大な時間がかかるとして、川崎工場での代替生産に向けた準備を始めたと発表した。
帝国データバンクによると、能登地方に本社を置く企業は4075社で、従業員は合計4万9728人。直接に拠点を設置していない企業でも、供給・販売網の乱れなどで今後も影響が発生する可能性がある。
関連記事: 能登半島地震による震災被害 企業施設でも相次いで確認―連休明けのサプライチェーン情報確認は必須 | MIRU (iru-miru.com)
経済産業省の被害状況報告(毎日更新):ニュースリリース (METI/経済産業省)
プレスリリース(東芝) 令和6年能登半島地震における当社グループの事業活動への影響について(第2報) | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 | 日本 (semicon-storage.com)
プレスリリース(サンテック):地震の影響について(1/5 8:30現在) | サンテックオフィシャルサイト (suntec-noto.jp)
<海外>
●フィリピンのサーテック、電動バイクと電池に進出 同国初
フィリピンの電子メーカーであるサーテック・ホールディングス・フィリピンは1月4日、上場するフィリピン株式市場で、「電動バイクとリチウムイオン電池の製造・組み立てに乗り出す」と発表した。バイク向けのリチウムイオン電池を生産するのは同社が同国初となる。
2024年にも同国内で商業生産を始める。生産に当たっては、中国の電動バイクおよびリチウム電池メーカー大手と提携する。同社は開示資料で、「フィリピンの同産業は他のアジア諸国に比べ遅れているが、宿世に巻き返せるだろう」とした。
●独VW傘下のPowerCo、全固体電池のテスト結果良好
独フォルクスワーゲン傘下のバッテリー企業であるPowerCoは1月3日、次世代EV向けバッテリーとして期待される全固体電池の耐久テストを行い、1000回以上の充電後、95%の容量(放電エネルギー保持率)を保っていた、と発表した。
米QuantumScapeの全固体電池を、PowerCoがテストしたところ、サンプルテストの要件を大幅に上回り、1000回以上の充電サイクルに耐えた。WLTPサイクルの航続が500~600kmのEVでは、これは50万km以上の走行距離に相当する結果だった。しかも、セルはほとんど劣化せず、試験終了時にはまだ95%の容量(放電エネルギー保持率)を保っていたとしている。
●23年のEV関連、販売や電池材料で中国勢が大躍進
2023年の電気自動車(EV)周りでは、中国勢の大躍進が目立った。まず、販売台数では中国のBYDが米テスラを抜き世界トップに。中国金属採掘大手の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)も、バッテリー材料となるコバルト生産で世界首位となった。
EV市場の一段の拡大を受け、中国の情報工業化省もEV向けバッテリーの利用について意見募集を始めるなど指針をまとめている。
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関連記事:中国工信部 新エネルギー自動車用動力電池の総合的利用対策(意見募集案)」を発表 | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)
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