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Arata AbeのELV RECYCLE Report vol.88 ロシア向け禁止措置後の中古車輸出(7):電気自動車

 Vol6. からの続き。ハイブリッド車などと比べると数量は少ないものの、ロシアは電気自動車(いわゆるBEV)の中古車においても最大の仕向地だった。今回のシリーズの最後として、電気自動車(乗用車)の中古車輸出の動向を示す。なお、電気自動車はバスや貨物車もあるが、前回同様、本稿では乗用車の電気自動車に絞り、それを単に「電気自動車」と呼ぶこととする。

 

 図1は、乗用車の電気自動車の中古車輸出台数(全仕向地)を月別に見たものである。これを見ると、禁止措置以降、前回で見たハイブリッド車ほどには伸びていない。2023年は多くの月で前年を上回っていた。特に7月は前年が低い水準だったこともあり、対前年比は201%と高かった。その後、禁止措置がされた8月以降、対前年比は下がり、わずかに前年を上回る程度であった。同年12月になると、前年を下回るようになった。2024年は1月から6月のうち、2月を除いた5か月は前年を下回っている。そのため、直近の市場は縮小しているとみることができる。

 

図 1 中古車輸出台数の月別推移(電気自動車(乗用車))

出典:財務省貿易統計より作成

 

 2023年1月から7月までの電気自動車の中古車輸出台数を仕向地別に見ると、ロシアのシェアが54%と半数を超えており、それにニュージーランド(20%)、トリニダードトバゴ(5%)、オーストラリア(5%)、キプロス(3%)が続いている。2022年もロシアが最大の仕向地であり(シェア:40%)、ニュージーランド(35%)、オーストラリア(6%)、モーリシャス(2%)、キプロス(2%)といった似たような国が主要仕向地となっている。

 

 図2は、電気自動車の2024年1月から6月の中古車輸出台数について上位20か国・地域の数量を示したものである。これを見ると、前々回見た韓国が最大の仕向地となっている。同国の2023年1月から6月の輸出実績はゼロである。2022年の年間では韓国向けは3台である。そのような国が突如最大の仕向地となっている。

 

 数量的には少ないが、中国も主要仕向地に顔を出している。同国向けの2023年1月から6月および2022年の年間合計の輸出実績はゼロである。

 

 図中の範囲で韓国、中国と同じように2023年1月から6月の輸出実績がゼロだった国・地域は他にはない。そのような中、2024年の対前年同期比が高いのは、アラブ首長国連邦(1800%)、モンゴル(1729%)などになるが、数量が小さいために突発的であることもある。上位で対前年同期比が高いのはジョージア(596%)、パキスタン(602%)、キプロス(220%)、ケニア(582%)などである。

 

 なお、2023年9月から12月の電気自動車の中古車輸出台数では、ニュージーランドが最大の仕向地であり、ジョージア、トリニダードトバゴが2番目、3番目に位置し、韓国は9番目である。これを見ても韓国が急激に台数を伸ばしている様子はわかる。今後それがどうなるかである。

 

 輸出禁止措置は、価格を通じて他国に影響しているといえるが、輸出業者による輸出先の変更や迂回輸出などで直接に他国に影響を与えていることもある。今回のデータでは、それらの直接的な影響はわからないが、今後も関心を持っていきたい。

 

図 2 電気自動車の主要仕向地別中古車輸出台数

出典:財務省貿易統計

注:主要仕向地は2024年1月から6月の合計の上位20か国・地域。

 

 

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阿部新(Arata Abe)

山口大学 国際総合科学部・教授

2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。

同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授

2020年より同大学国際総合科学部・教授

                  

                                                                                              

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