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4月国内ステンレススクラップ相場、キロ5円の小幅上昇へ ―― マクロの底堅さとリターン材スプレッド是正がもたらす相場反転

2026/03/30 20:05
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国内のステンレススクラップ市場において、4月以降の取引価格(304系)は明確な水準訂正を伴う小幅な上昇局面に転じる公算が大きくなった。流通関係者への取材を総合すると、ステンレス・特殊鋼メーカー各社の買値ベースでキロ当たり5円程度の引き上げが見込まれており、改定後の市中ベース価格はキロ当たり200~205円のレンジに達すると推測される。

LMEニッケルの下方硬直性とマクロ指標による下支え

今回の相場反転をマクロ的な視点から俯瞰すると、非鉄市況のベンチマークであるLME(ロンドン金属取引所)ニッケル相場の動向が見逃せない。直近のLMEニッケル相場は、17,000ドル中心で一定の下方硬直性を保って底堅く推移している。加えての為替の円安。これが国内スクラップ価格の下値を支える強力なファンダメンタルズとして機能している。 ニッケル相場の急落リスクが後退したことで、需要家側にも一定の価格転嫁を受け入れる素地が形成されていたと言える。

構造的歪みの解消:リターンスクラップと実勢相場の乖離是正

国内固有の内生的な値上げトリガーとなったのは、特殊鋼メーカーにおける「実勢相場」と、発生工場における「リターンスクラップ(ダライ粉や新断などの戻り材)」価格との間に生じていたスプレッド(価格差)の是正である。

市中での発生難から実勢のスクラップ価格がタイトに推移する一方で、フォーミュラ(値決め計算式)等で硬直化しやすいリターンスクラップの評価額が相対的に割安に放置されると、原料調達の構造に歪みが生じる。大同特殊鋼は、この乖離を埋めて適正な循環を取り戻すべく、キロ当たり5円の引き上げを実施する模様だ。発生元でのリターン材価格が実勢に引き寄せられることは、そのまま市中ヤードにおける仕入れ単価のボトムアップ要因として直接的に波及する。

シッパーの先行指標と主要メーカーの追随

こうしたメーカー側の構造調整に先んじて、市中の実勢を敏感に察知する大手ディーラーはすでに動いている。北関東を拠点とするミリオン合金は、3月28日より304系新断の買値をキロ7円引き上げる旨をいち早くアナウンスした。額面では203円としている。

この強気な先行指標と、前述の特殊鋼メーカーによる乖離是正のアクションが相乗効果を生み、日本製鉄や日本冶金工業をはじめとする他の主要ステンレス・特殊鋼メーカーも、4月1日よりキロ5円の買値引き上げで追随せざるを得ない見通しだ。国内メーカー各社は、慢性的な良質スクラップ不足のなか、春先以降の一定の出鋼量維持に向けて、需給に見合った調達価格の再設定を急いでいる。

インド向け輸出は1400ドルに迫るもフレート高・・

さらに、こうした国内の価格反発を強固に理論づけているのが、アグレッシブな海外市況の存在である。特に経済成長を背景にステンレス実需が旺盛なインド向けの304系スクラップ輸出価格は、CFRムンドラ(Mundra)条件でトン当たり1,380ドルまで上昇している。これはフレート、保険込みの価格。40ftコンテナではすでに2600ドルを超えている。このフレートがどこまで上がるかが見通せない状況にあるため、このインド向けが必ずしも魅力的な価格とはいえないだろう。

この1,380ドルという水準を足元の為替レートで円換算し、諸経費を割り引いて国内港前価格を逆算すると、まさに国内メーカーの買値目標である「キロ200~205円」と激しく競合する輸出採算点(輸出パリティ)が浮かび上がる。すなわち、旺盛な南アジアの需要に支えられたこの輸出価格が「裁定取引の壁」となり、国内市況がこれ以上下落することを物理的に防ぐ防波堤として機能している、かもしれない。

(IRUNIVERSE YT)

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