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プラスチック諸問題解決に正答はない‥のか?⑤欧州で増える都市ごみ焼却(ER)

プラスチック諸問題解決に正答はない‥のか?④欧州ルールへの全乗っかり、待った!」からの続き。

 

 さて、前稿ではサーキュラーエコノミー(CE)とプラスチックの循環利用について書いたが、ご本家のEUでは都市のプラスチックごみをどう処理しているのだろうか。その結論からいうと、EUの多くの国はリサイクル率も高いが、エネルギーリカバリー(ER)として、焼却し、熱回収・発電などを行っているケースが、実は多いのだ。

 

 

欧州先進国で多い焼却処理(ER)

 日本では、分別できる使用済みプラスチックは基本的にリサイクルされているが、分別が難しいプラごみは多くが可燃ごみとして、自治体で焼却されてしまっている。国内では昭和40年前後から一般ごみ(都市ごみ)の焼却が行われるようになった。当初は単純焼却であったが、近年では多くの清掃工場(焼却炉)では、熱回収や発電を行なっている。

 

 こうした焼却熱の有効利用を、国内ではサーマルリサイクル(TR)としてリサイクルのひとつとしてきたが、これは「国際的には再生利用(リサイクル)として認められていない」と、識者からは批判を受けてきた。

 

 脱炭素の意味からも、焼却は極力避けたいところだが、国土の狭い日本では埋立てを行うわけにはいかず、どうしても焼却して灰にしてしまうのが合理的(減容)ということになる。しかし、こういった事情は実は欧州も同じで、その処理をリサイクルおよび焼却に頼っている部分が多い。これは特に、人口も多く、土地も狭い(埋立てできない)西欧に多い傾向にある。

 

 図は(一社)日本環境衛生センター公表の、欧州各国での都市ごみ処理法比較だ。

 

https://www.jesc.or.jp/LinkClick.aspx?fileticket=OO9xkSlDkyg%3D&tabid=486&mid=2518

 

 これによれば、ERでの処理比率(黄色)が高くなっている国の多くが、欧州のなかでも西欧諸国であることが分かる。前記の通り、西欧は土地が狭いため、埋立てができないという理由もあるが、埋立ては衛生状態を著しく悪する。西欧先進国では、なかなか受け入れ難いものかもしれない、と筆者は思いもする。

 

 

グラフ

 

 

グラフ 埋立てはどちらかといえば、まだ土地的に余裕があり、かつ西欧に比べれば人口も少ない東欧諸国に多い傾向にある。筆者はかねてから、埋立てもかなり環境負荷が高いのではないかと考えていた。ここでひとつ紹介したい映像がある。これは東欧の国のひとつである、セルビア ベオグラードの埋立て現場のものだ。地獄ではないが、地獄に近い場所だという。https://youtu.be/-u0fqFc6gDM

 

 とはいえ、欧州での埋立て比率は漸減していることも、(一社)日本環境衛生センターの資料(右図)から分かる。またリサイクル率は上昇しているが、ERも増加傾向であることが分かる。

 

 

焼却はリサイクルをやり尽くした最後の手段

 さて、最初の図に戻ってリサイクル率を見てみよう。ドイツで48%、デンマーク、ベルギーで36%、スロベニアでは57%にもおよぶ。イタリアも33%で、フランスは23%となっており、やはりリサイクル率は高い(ちなみに日本は20%: https://www.env.go.jp/press/110813.html)(注)。このリサイクル率の向上に寄与しているのが、前回も触れたソーティングセンターの存在だ。

 

 「私が公開資料などから知り得たところでは、ソーティングセンターでは機械的選別により、まず紙やガラス、そしてプラスチックが分けられ、その後PE・PP・PETといった樹脂が種類別に選別されます。ここで選別されたものは、樹脂の種類ごとにリサイクル業者に有価で売られ、残ったミックスプラ(残渣)は燃料利用されるようです」(東京大学 中谷氏)

 

 つまり欧州は資源物のリサイクルに並々ならぬ技術開発と投資を行なっており、どの処理も適さなくなった場合「最終手段」として焼却、しかもエネルギーを有効利用するERを行なってきたのだ。

 

 日本国内としては、資源再生、つまりは廃プラのリサイクルに力を入れようとせず、困難なもの(分別できないもの)は単純に可燃ごみへ混入させ、焼却してきた。

 

 欧州が最終的な手段として焼却を選んでいるのに比べ、日本人はあまりにもイージーに、容器包装などの資源系一般ごみ処理を焼却に任せてしまっている。欧州の人々は、実際焼却処理(ER)の比率は高めているが、最大までの再資源化を図った上での選択なのだ、という意識がある。これが、欧州が日本の焼却処理を非難してきた最大の理由ではないかと、筆者自身は考えている。

 

 プラ循法での、プラスチック製品一括回収は、EUでの一括回収を倣ったものだと前回では書いた。しかしEUでは、前提としてソーティング施設があり、分別が機械的に行える。だが、日本では排出者=市民が頑張って分別を行なっているから、また一括回収を実施している自治体でも分別施設において、人手によりしっかりと分別を行なっているから、高価な機械なども導入せず再資源化は進んでいる。

 

 一説には、プラ循法での一括回収実施をいい始めた人は(政治家は)、EUのソーティングマシンを導入すれば、なんなく実現できるんでしょ?と話したという。そう筆者は関係者から聞いた。だがソーティングマシンは非常に高額で、ある程度自治体が共同で行うにしても、そう簡単に導入できる代物ではない。

 

 一括回収の推進には、まず選別を行う人員の確保が必要であるし、さらにこの手選別の場は、プラに残った食品の汚れや匂いのせいで、かなり過酷な現場になっていると聞く。ソーティングマシンを導入すれば、プラの高度選別は可能になるが、しかしそこまで設備を整えるのには、どれほどの年月がかかることか?

 

 一般ごみの処理とリサイクルは、お国それぞれの事情にあわせて、よりよい方向に進めていけばいい。日本の街には、ごみが少ないことは世界的にも有名だ。この意識の高さを基軸に、世界の動向も見ながら、日本独自のベストな方法を探るべきではないのか。

 

グラフ ところで、最後にひとつ示しておきたいのが、欧州での「コンポスト」処理の比率だ。コンポストとは生ごみ(食品残渣)の堆肥化をいう。欧州での伝統的な生ごみの有効利用法だが、日本ではほとんど行われていない。都市ごみでの食品残渣は可燃ごみとして清掃工場で焼却されている。基本的に水分含有量が高いため、多くの自治体では、よく水気を切ってから排出するよう呼びかけている。欧州でのリサイクル率の高さは、このコンポストも一役買っているのだ。

 

 さて欧州でのこのコンポストだが、排出する際には、日本同様ポリ袋に入れるのが一般的だ。しかしこの出し方だと、コンポストを堆肥化する際、「分解しないプラスチック」が混入してしまう確率が高い。このとき活躍するのが、生分解性プラスチックのポリ袋だ。

 

 次回では、この生分解性プラスチックに焦点を当てて見たい。

 

(注)リサイクル率の計算方法について/EUと日本との違い。EU→リサイクル中間処理施設に搬入される廃棄物量をリサイクル量としてリサイクル率を計算。日本→中間処理後に資源化される量をリサイ クル量としており、中間処理後に資源化されない残渣をリサイクル量に含めていない。文中法人資料より。

 

(関連記事)

 ・プラスチック諸問題解決に正答はない‥のか?①不都合な真実

 ・プラスチック諸問題解決に正答はない‥のか?②LCAの明日はどっちだ

 ・プラスチック諸問題解決に正答はない‥のか?③根拠(原単位)なきリサイクル率

 ・プラスチック諸問題解決に正答はない‥のか?④欧州ルールへの全乗っかり、待った!

 

 

(IRuniverse kaneshige)

 

 

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