中国のリチウム生産、27年に77万トン!? 24年の8割増、業界団体トップ予測、現地紙報道
中国のリチウム生産量が2027年に77万トン(炭酸リチウム換算、LCE)と2024年比83.3%増えるとの見通しが伝わった。リチウムの原材料となるリシア輝石の採掘量は3.6倍に増えるという。
中国メディアの財聯網が2月25日、上海市で開催の「電池材料会議」上で、業界団体である中国非鉄金属工業協会の葛紅林会長が発表した内容として伝えた。同会議は2月25-26日に中国の五鉱資源とFastmarketsが共催した国際会議。
報道によれば、中国産リチウムの原料のうち、塩湖由来が71.18%、リサイクル・リチウムが2.5倍にそれぞれ増える。低品位鉱石であるレピドライト鉱石を利用したリチウム生産は横ばいの見通しだ。
■中国の生産量、24年までは20万トン前後だったはずだが…
中国はオーストラリア、チリに次ぐ世界第3位のリチウム生産国。ただ、シェア自体は2023年時点で18%とけして多くはない。2023年の世界のリチウム生産量は98万2000トンで、中国は17万6000トン程度の生産量だった計算だ。
世界のリチウム生産量のシェア(2023年)
(出所:JOGMEC)
2024年については、オーストラリアの産業科学資源省の最新の資源・エネルギー四半期リポート(12月20日公表:予測期間24‐26年)が、世界リチウム生産量を23年比約19%増の123万7000トンだったと推計した。中国のシェアが同じならば中国の生産量は22万2660トンだった計算だ。中国は近年、青海省でのリチウム生産プロジェクトなどを進めてはいるが、大幅な増産が実現可能かどうかは未知数だ。
関連記事:中国五鉱集団、青海省でリチウム生産へ 価格低迷の中で白羽の矢 | MIRU
ただ、仮に中国だけで77万トンも生産するとすれば、世界のリチウム生産量も大きく膨れ上がることになる。
■供給過剰で探索リチウムは4年ぶり安値
前出のレポートによれば2024年の需要は114万7000トンで、2024年は9万トンの供給超過となった見通しだ。リチウムは既に供給過剰を受けて価格が低迷し、足元で2021年2月以来約4年ぶりの安値圏にある。
過去5年間の炭酸リチウム価格の推移(99.5%、China)(RMB/mt)
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(IR Universe Kure)
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