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「ケミカルリサイクルはメカニカルリサイクルと競合するものではない」―BIRプラスチック委員会

 欧州を拠点とした世界的なリサイクル業界団体であるBIRが10月22~24日の日程で開催した「World Recycling Convention & Exhibition」(アブダビ)が終了した。会期中の24日のプラスチックセッションでは、ケミカルリサイクルとメカニカルリサイクル*の補完関係を巡って、様々な議論があった。

 

 メカニカルリサイクル:回収された使用済みPETボトルを選別、粉砕、洗浄して表面の汚れ、異物を十分に取り除いた後に高温下で処理して、樹脂内部に留まっている汚染物質を揮発させ除染を行ない、更にボトル成形やリサイクル工程中に低下した分子量をボトル成形に適したレベルに回復する手法

 

 スペインのPlastic Energyの創立者兼最高経営責任者であるCarlos Monreal氏は、「ケミカルリサイクルはメカニカルリサイクルと競合するものではない」と指摘し、「原料の奪い合いにもなっていない」と強調した。

 

 「世界は1日に100万トン以上のプラスチックを製造していることを忘れてはならない。その量は増加の一途をたどり、2050年には3倍に膨らむ可能性が高い。プラスチックは素晴らしい素材であり、そうでなければ、このような需要は生まれなかっただろう。しかし、私たちはいま、リサイクル率と二酸化炭素排出量の両方を見据えて取り組みを進めなければならない」 と同氏は続けた。

 

 同氏は現状を次のように分析した。「ケミカルリサイクルは『特効薬』ではないが、メカニカルリサイクルだけではプラスチックの増加に対応できない。欧州では年間3,000万トンのプラスチック包装が回収されている。そのうち1,000万トンが回収され、そこから500〜600万トンの再生プラスチックが生産されるが、残りは廃棄物発電所か埋立地に運ばれる」。

 

 「ヨーロッパにおける 回収量は過去25年間で増えたが、それでもまだ500万トンしかリサイクルされていない」とも付け加えた。

 

 解決策として、同氏は素材に関係なく、新しい包装材にリサイクル含有量のレベルを義務付けることの必要性を主張。「リサイクル業者はよく仕事をしているが、市場価格が低く、在庫が多いため、市場は適切に機能していない」と、その理由を述べた。

 

 同氏はまた、プラスチックから燃料ではなく、プラスチックからプラスチックを製造しているという、スペインのアルメリアとセビリアにある自社の2工場の例を引きながら、「この工場が未来につながる」とした上で、最後に改めて、メカニカルリサイクルでは処理しきれない、リサイクル困難な使用済みプラスチックに焦点を当てたケミカルリサイクル技術の必要性を強調していた。

 

 質疑応答では、議長を務めたプラスチック委員会のMax Craipeau委員(グリーンコア・リソーシズ、中国)は、Plastic Energy社の戦略を称賛しながら、低価値のスクラップではなく、PETのようなプラスチックを使用するケミカルリサイクル業者の挑戦に賛意を示した。

 

 BIRの貿易・環境担当ディレクターであるAlev Somer氏はこれに、「2種類のリサイクルプラスチックが競合するのか、補完し合うのかに焦点を当てるべきだ」とし、「メカニカルリサイクルが不可能な場合、この(Plastic Energy社のような)ケミカルリサイクルを続けるべきだろう。ただ、メカニカルリサイクル業者から原料を奪うことで、ケミカルリサイクルへの投資をカバーしようとしている業者にも懸念を示す必要がある」と指摘した。

 

 もう一人のゲストスピーカー、Jerome Viricel氏(Veolia company Recappのゼネラルマネージャー)は、ドバイを対象とするアプリとウェブサイトを活用したリサイクル促進の成功について語った。

 

 「このデジタル・ツールは消費者とリサイクル業者を相互に結び付ける完全なデジタル・エコシステムになる」と同氏は説明。そのトレーサビリティ機能により、すべての収集場所、量、そして材料を提供した人の身元も一括提供するという。

 

 同氏は、PETボトルやその他の廃棄物を回収することにより、自主的な拡大生産者責任(EPR)のスキームがいかに効果的に提供されることになるのかを解説した。ただ企業の中にはそれ以上のメリットを望んだため、同社は報酬とインセンティブを伴う自主的なデポジット返却スキームを開発した。

 

 同社は、地元の89校で無料ワークショップや大手ブランド協賛の回収ボックスを使った啓発プログラムを展開してきた。このアプリには過去2年半で7万人がアクセスし、彼らの反応がこのスキームの実施地域を決定するのに役立った。「すべてが改善された。デジタルツールによって、人々に話しかけ、意識してもらうことができるようになったからだ」。このスキームをオマーンとサウジアラビアに拡大することを検討しているという

 

 議長のCraipeau氏は、最近ベトナムで開始された取り組みであるBOTOLを紹介した。特許を取得したシンガポールのリバース・ベンディング・マシン(RVM)は、PETボトルをその場で食品用にリサイクル可能な素材として色選別されるリサイクルポリエステル(rPET)にフレークすることができる。それにより輸送に伴うCO2排出量も10倍削減することができる。

 

  Somer氏は自身のプレゼンテーションで、プラスチック汚染に対処するため法的拘束力のある手段の開発に向け、国連プラスチック条約(UN Plastics Treaty)に提案する準備を進めている点について説明した。BIRは会議や協議を通じて交渉に貢献しているが、6月にパリで行われた最新の政府間交渉委員会は、利害が対立しほとんど進展がなかったという。

 

 目標は2025年までに条約に署名するで、あと3回会議を残しているが、「それは野心的なように思える」と、同氏は語った。次回の交渉会議は11月になるという。

 

今回の「World Recycling Convention & Exhibition」にはメディアパートナーとしてIRUNIVERSE代表の棚町氏が出席し、現地の状況を報告している。

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(IRuniverse G・Mochizuki)

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