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中国、尿素とリン酸アンモニウムの輸出規制を突然強化 韓国向け尿素は既に輸出停止

 中国の税関当局が12月4日、韓国向けの尿素とリン酸アンモニウムの輸出規制を強化した。韓国向けの尿素の輸出は既に停止し、韓国内では混乱が広がっている。中国内の需給が逼迫(ひっぱく)していることが背景とみられ、日本への輸出を巡っても停止の可能性が出てきている。

 

過去1年間の尿素価格の推移($/ton)

 

過去1年間のリン酸アンモニウム価格の推移($/ton)

 

■正式発表はないものの現場の輸出手続きが停止

 中国当局による正式な発表ではなく、内部機関の通達により輸出が停滞しているようだ。時事通信などの12月5日の報道によると、尿素は11月上旬ごろに輸出に必要な手続きの期間がそれまでの約30日から60日に延長され、11月末ごろに中国当局が輸出を当面停止するとの内部通知を出したもようだ。リン酸アンモニウムは11月以降、新たな輸出手続きが止まっているという。

 

 尿素はディーゼル車の排煙を減らすために入れる尿素水の主な原料で、発電所や大工場などでも大量に使う。車両用・産業用尿素に硫酸コーティングを施した肥料用尿素もまた、農業に欠かせない。尿素の供給が途切れると、運輸から製造業、農業に至るまで影響が出る。中国は世界の主な尿素生産国の一つで、毎年400万~500万トンを輸出してきた。リン酸アンモニウムは消火剤の原料などにも使われ、日本は多くを中国からの輸入に依存している。

 

■韓国は緊急対応、規制は2024年いっぱいに長期化か

 既に尿素輸出が全面停止となった韓国では、緊急対応班を立ち上げ対応に当たっている。韓国聯合ニュースの12月4日の報道によると、韓国産業通商資源部の崔南浩(チェ・ナムホ)報道官は同日の記者会見で「韓国国内には3か月分の尿素の備蓄があり、中国以外の国からの輸入も可能だ」と説明した。実際、韓国政府は代替物量について東南アジア、中東などと協議も開始したという。

 

 しかし、韓国国内では不安が広がっている。朝鮮日報日本語版は12月6日、中国化学肥料業界のオンライン・プラットフォーム『中国化学肥料網』」の12月5日付記事として、「中国の主要肥料関連各社は2024年1-3期まで尿素の輸出を中止し、その後の輸出量も2024年末までは94万4000トンに縮小すると自主合意した」と伝えた。関係者からは「企業間の自主合意という形を取ってはいるが、事実上、中国政府の指示だとみている」との声があるという。中国からの輸出規模が長期的に細るとの懸念が強まっている。

 

 日本は尿素の独自生産を続けているが、韓国は尿素の生産性の低さから独自生産を取りやめ、中国からの輸入が9割を占める。韓国では2021年にも中国とオーストラリアなど西側諸国との関係悪化の中で中国産尿素の輸入が中止となる「尿素水大乱」が起きた。今回は当時ほどの大混乱ではないものの、既にガソリンスタンドなどで買いだめの兆しが出ているという。また、オンラインサイトで尿素水製品の一部が品切れになり、価格が急騰する事態も発生しているようだ。

 

 中国産尿素は韓国だけでなくインドでも使用の比率が高い。こうした国々で混乱が起きれば、間接的に日本も影響を受ける可能性がある。

 

 

 (IR Universe Kure)

 

 

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