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「法政策からみたサーキュラーエコノミー」――日本学術会議 公開シンポジウム①

2022.12.04 12:10 FREE

日本学術会議 公開シンポジウム「なぜSDGs? ~資源・材料循環におけるSDGsとカーボンニュートラル~」が東京大学生産技術研究所との共催でこのほど、開催された。SDGsの⽬標12「つくる責任つかう責任」と密接に関係する資源材料循環の中でも、蓄電池などに使⽤される⾦属資源の循環に焦点を当てて、法的、技術的、政策的な観点から3人の専門家が登壇した。3回に分けて講演内容を紹介する。第1回は大塚直早稲田大学教授による「法政策からみたサーキュラーエコノミー」。

 

講演の主な内容は次の通り。

 

テーマ:「法政策からみたサーキュラーエコノミー」

登壇者:大塚 直氏  日本学術会議 第一部会員 早稲田大学 教授

 (写真:公開シンポジウム「なぜSDGs? ~資源・材料循環におけるSDGsとカーボンニュートラル~」登壇者プロフィールより スライド:公開シンポジウムYouTubeより)

法政策からみたサーキュラーエコノミーというテーマでお話ししたいと思います。 特にリチウムイオン電池に関する対応について、本日中心的に扱われると思いますので、それの基礎にある考え方について私なりの考え方を話していきたいと思います。

 

まず、これまでの「循環管理政策」を簡単に振り返り、近時の動向に触れた上で、今後の循環政策としてどういうことを考えるべきなのか、EU のサーキュラーエコノミーなどを参考にしながら、話をしていきたいと思います。

(公開シンポジウムYouTubeより)

これまでの循環管理政策ですが、いくつかの法律があります。廃棄物処理法が1970年から、その前に清掃法というのがあったので 非常に古株の法律です。これに対して リサイクルとか、さらにリユース、リデュースとかも関係してきますけど、これについては資源有効利用促進法というのがあります。経済産業省管轄の法律で、その下に 個別リサイクル法としてここに6つ挙げていますが、この他にプラスチックに関する新法が、物品ごとではなく素材横断的な法律としてあります。そして一番下で支えているのがグリーン購入法になります。

 

 

こういう体系になっていまして、一番上に 循環型社会形成推進基本法(循環基本法)というのがあります。これは2000年にできた法律で、 先ほどの廃棄物処理法は1970年ですが、その前から清掃法があったので、後からできた法律が基本法ということになります。個別リサイクル法もその前にできたものも結構あるので、循環基本法と個別法との関係が整合性の取れていないところがあり、法律家としては結構重要なポイントということにはなります。

 

 一言だけ申し上げておきたいのは循環基本法の問題でございます。循環基本法の目的というのは循環型社会の形成であり、 後程申し上げるサーキュラーエコノミー、循環経済と若干違いますが、目的としているところはそんなに違っているわけではありません。

 

循環基本法の2条にある循環型社会とは何かというところで、2つのポイントがあります。1つは天然資源の消費の抑制。もう一つが 環境への負荷ができる限り低減される社会ということです。この2つがポイントで、この点 はSDGsの目標12と関連するところです 。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

循環基本法には3点ほど特色がありまして、1 つは施策の優先順位を定めているということです。

 

リデュース、それから次にリユース、それからリサイクルスということです。3つのRの推進を、この順番でしていくのだということを概ねですが決めたということが1つです。

 

それから後で詳しく話す拡大生産者責任などの措置を導入する方向も入っています。

 

3つ目に法定計画として国が循環型社会形成推進基本計画を定め、目標値を掲げてそれを計画的に達成していくという方向が導入されました。簡単ですが、それが基本法の特徴ということになります。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

次に 「近時の動向」に移ります。申し上げておく必要があるのは、特にプラスチックに関する対応です。 海洋プラスチック汚染、その関係でさらに気候変動との関係もあり、2019年5月にプラスチック資源循環戦略を政府が策定しています。ここで基本原則として3R+ リニューアブルが打ち出されています。

 

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

リデュース、リユース、リサイクルの3Rに、さらにこれを再生して 使うのだというところに着目をして 、リニューアルをプラスしたところに、プラスチック資源循環戦略の基本原則としての特色があります。プラスチック循環戦略は2030年までに ワンウェイプラスチック累積25%発生抑制するなど6つのマイルストーンを出しています。

 

 

それを踏まえて2021年6月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、プラスチック新法が制定されています。

ここでは、特色を3点だけ挙げておきます。

 

1つは制度の対象を拡大したということです。従来容器包装リサイクル法などがあり、容器包装として使われているプラスチックは、そこで対応していましたが、プラスチックという素材横断的な対応ができた、対象を広げられたということが、一つの大きな特色です。産業廃棄物にも広げたというところを含め特色になります。

 

それから2つ目に 自主性尊重の制約のもとではありますが、従来の枠組み規制とか規制緩和による誘導策を 総動員したということがいえると思います。

 

 3つ目ですが、その自主性の尊重の中で何を仕組みとして入れているかという点です。(製造事業者などが努めるべき環境配慮設計に関する)指針があり、その下で(ワンウエイプラスチックの提供事業者が取り組むべき)判断基準が決まり、それに違反した場合には勧告などをする仕組みになっています。従来、容器包装リサイクル法とか、その前には食品リサイクル法とかで使っていたものと類似した方法をとっています。

 

それから(自主回収・再資源化)計画の策定・認定に伴う特例で、配送の許可(廃棄物処理法の業許可)がいらなくなるというところが規制緩和としてのメリットになります。ただ、法律の関係で明確な目標が出されているわけではないということとか 費用負担の仕組みが欠如しているというところに、法律家からすると、問題点もあるのかと思います。容器包装リサイクル法は費用負担の仕組みがあります。これがないところが、この法律の実効性としては、やや弱いところがあると指摘せざるを得ないところがあります。

 

次に「今後の循環管理政策」として、循環型社会と循環経済、サーキュラーエコノミーについて話をしたいと思います。循環型社会について、従来の循環法制の問題点として指摘されていた点、私自身が指摘していた点もありますが、いくつかありますので、主なものを挙げていきたいと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

1つは 循環基本法の理念が個別法に反映されていないという点です。先ほど申し上げた拡大生産者責任などはその代表例です。

 

日本の資源循環法制の構造的な課題として、 資源採取システム、資源利用システム、再資源化・循環利用システム、廃棄物処理システムの4つが分断されているのではないかという点もあります。これは行政的な縦割りとか、事業者の業界が異なることが関連しているということを、国立環境研究所の田崎智宏先生が指摘しています。これは大事なポイントだと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

それから手法として自主的手法が重視されていて、その程度はますます増大しているということがあります。

 

自主的取組には、メリットとデメリット両方ありますので、それを勘案した対応が必要になってくるのではないかいうことがあります。後程申しますが、輸入品が増えているので、海外の人に自主的取り組みといっても、指導とかを含め外国の方には通用しないと思った方が良いので、ここが一つのポイントになってくるところです。

 

リデュースのための政策が弱い、上流対策が弱いということはかねて言われてきたところです。

 

リサイクルにコストがかかるということがあまり考慮されないという点もあります。リサイクルの際の企業間の公正な競争についての関心が乏しい、この点もかなり言われてきているところです。自主的な取組になるとどうしても出てくるところですが、タダ乗り、フリーライダーという、対応しないで得をする人が結構出てきてしまうという問題があります。公正な競争のためには、例えば、容器包装リサイクル法の話ですが、最初に再商品化委託料を制度業者等が払い、支払ったことを示すマークを導入して、容器包装についての委託料が払われたことを消費者に示す、それから用いる材料についてアセスメントをして、その材料の環境負荷の程度に応じて、最初に委託料を決めるということが考えられますが、導入されない。フランス、ドイツではずいぶん前からやっています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

次に法律の義務付けの対象が限定的であって包括性に乏しい、この点はEUとは違います。それからネット販売の増加への対応が十分できていないという点についても、少し前から結構主張しているところですが、ネット販売が盛んになる前の状況を前提にした制度設計がなされてしまっていて、それで対応できていないのかと。ネット販売がどんどん増えていくと、困ることになってくるかと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

あとリサイクル可能物に規制を緩和するための措置としては主に再生利用認定制度と広域認定制度がありますが、あまり活用されていないという問題があります。廃棄物をある段階で終了とか卒業するような概念も、EUでは 入れていますが、日本ではやっていない。これは規制緩和をすべきという話です。

 

 全体的評価として、我が国の循環政策、理念は結構出してきているのですが、廃棄物対策から出発していて、廃棄物対策に重点が残っているということになるのかなと思います。

 

もちろん不法投棄対策は大事ですので、これはやっていかなければいけないのですが、そこに留まってしまっているところがあるかなという状況にあると思います。

 

次にサーキュラーエコノミー(2015年にサーキュラー・エコノミー・パッケージ採択)の話をしていきます。EUでそのサーキュラーエコノミーというのが打ち出されて、元は2010年のEUの10年戦略の中のリソース・エフィシェンシーから出てきて、ここにあるように製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持する。それから資源の効率的な利用を促進する。それによって資源利用に伴う環境影響を低減し、廃棄物の発生及び有害物質の環境中への放出を最小限にする経済システムということで、ここでは環境のことを中心に書いていますが、実は環境のことだけではないということも、EUのサーキュラーエコノミーに関しては重要なポイントです。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

新興国の急速な経済発展による国際的な資源需要の増加を背景として考えているということで、将来的な資源価値の高騰とか、レアメタルを含むクリティカルメタルの安定確保が困難になる恐れというのが重視されているということです。最近日本でも経済安保の話が出てきていますが、そういう発想が2015年の段階からあったということになります。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

資源の枯渇と価格変動からビジネスを保護する、新たなビジネスの機会を創出してEUの競争力を向上させると打ち出していて、日本とちょっと違うところです。補助金ではなく、外部から補助金でモノを回すのではなくて、市場経済の中でモノが回るようにしていくことを考えようとしているところが、 大きな違いかなというふうに思っております。さらに成長政策とか資源政策とか環境政策としての位置付けを持たせており、環境政策だけではないというところもポイントになると思います。

 

サーキュラーエコノミーによって目指す社会としては、廃棄物の発生を抑制して製品と資源の価値を可能な限り、保全、保持する。それから持続可能で低炭素かつ資源効率的で、競争力のある経済を発展させる。資源効率性の向上や循環経済によって、域内の雇用・産業を振興させるということで、雇用とか産業の話が結構出てきています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

域内リサイクルを増進させるということとか 修理、メンテナンス、アップグレードを強化する、ここは重視されているところで、さらに域内でのリサイクル材の需要を政策によって創出するということも打ち出されています。さらに気候変動対策とか、生物多様性の確保とか、化学物質管理の政策と関連させるということで、ここも重要なポイントです。

 

2015年 に先ほど申し上げた、サーキュラーエコノミーの行動計画が作られ、さらに2020年に新行動計画が作られています。ここでも経済成長を促進しながら、今後10年で循環材料使用率を2倍にするということで、欧州グリーンディールの中核としてこのサーキュラーエコノミー行動計画を位置づけています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

計画の取り組みによってEUのGDPを2030年までに0.5%上昇させて70万人の雇用創出を目指すとことを明確にしています。

 

その中で持続可能な製品政策というのを打ち出していまして、長持ちをすることとか、再利用・修理・リサイクルが容易であること、可能な限りリサイクル材を利用した製品であることが求められるということとか 、使い捨て製品を制限するとか、修理との関係では消費者の権利として修理する権利というのを打ち出しています。これを権利というところがEUらしい、ちょっと日本には従来はなかった発想ではあると思われます。

 

消費者が販売時点で、修理に関する情報を知ることができるように、消費者法の改正を提案しているということで、これは環境法ということになるわけですが、それを消費者法の方まで広げているところも法律関係者としては結構興味深いところです。

 

この修理する権利で優先分野としては電気電子機器とか、ICT関連製品などが特に取り上げられています。さらに、ESG投資を含め経済を介して気候変動分野と関連させることで、カーボンニュートラルと資源循環を両立させる市場へ転換していくのだということを打ち出しているわけです。

 

このサーキュラーエコノミーの行動計画で示されたバリューチェーンとして7つの産業分野が挙げられています。シンポジウムのテーマの一つ、電池も2番目に出てきています。今年3月に「持続可能な製品を標準にすることに関する コミュニケーション」というのを出していて、この中で持続可能製品の規範化をするということで、エコデザインの規則案を提案しています。エコデザインの要件を設定してデジタル製品パスポートを作って情報伝達していくということです。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

さらにエネルギーラベルに修理可能性スコアを追加するということで、ここで修理の話が出てきますし、製品の耐久性、修理、環境パフォーマンスなどについて消費者に情報伝達し、売れ残り製品の廃棄を抑止するとか、持続可能な循環型テキスタイル戦略というのも、この中に含まれています。

 

このようなEUのサーキュラーエコノミーと我が国の循環型社会は若干の違いがありますが、日本にどういう示唆があるのか考えてみたいと思います。まず1つは ビジョンとしてのサーキュラーエコノミーの特質として、競争政策に裏打ちされた規制、あるいは制度としての包括性を追求する姿勢、それから基礎に義務的EPRがあるということ、それから他の環境政策と連携していこうとしていること、ESGを活用しようとしていること、資源政策、雇用政策、経済政策その他政策と統合しようとしていること、こんなところがビジョンとしてのEUのサーキュラーエコノミーに、特質として存在していると思われます。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

日本の特徴は逆の方になりますが、循環法制における自主性を強調して規制に慎重な姿勢というのが、あるのと、義務的な制度を設ける際の非包括性の志向、つまり物品によって分けるというのは結構、常識になっているところがあります。今回のプラスチック新法はそういう意味では素材横断的に対応することになったので、今までと若干違うところがありますが、ただ非常に自主性を重んじていることは相変わらず続いているということです。

 

それから3つ目に義務的EPRに対する産業界の反発があってこれがなかなか入らないということです。

 

我が国の循環型社会の目標に欠けているものとしては、EUのサーキュラーエコノミー中の1、2、3、6あたりだと思いますが、競争政策に裏打ちされた規制とか、制度として包括性を追求する姿勢、それから基礎に義務的EPRを置いていることとか、資源政策、雇用政策、経済政策と環境政策を統合させるという観点、こういうところは日本にはないところだろうとは言えると思います。

 

翻って、そもそも何のために循環管理が必要かということを考えておく必要が出てきているかと思います。10年ぐらい前までは廃棄物処分場の逼迫問題があり、何が何でも循環させないといけないという至上命題がありましたが、ある程度緩和されました。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

「なぜ循環管理が必要か」、これに関しては先ほど申し上げた循環基本法2条の天然資源の消費の抑制と、 環境負荷の低減があるわけですが、これらはカーボニュートラルとかプラスチックの海洋汚染の問題もカバーしており、非常に重要になっております。

 

もう一つの天然資源の消費の抑制に関しては、これは重要である一方で、国際競争の現実を踏まえたものには必ずしもなっていないということがあり、後から申し上げるこの資源の確保というのを上げていくことが必要になっているところもあるかと思い ます。

 

先ほどのサーキュラーエコノミーの話であったように、EUはその域内で生産活動を持続することに対する強固な意思を持っており、ここが日本と違うところになっているかなと思います。まあ具体的には二次資源を活用していくということが、ポイントになっていると思います。

 

それから 2つめにカーボニュートラル、海洋汚染防止と他の環境政策との統合ですが、こちらもそのために、循環が重要だということです。廃棄物自体のカーボンとそのシェアというのは3%とかという話もありますが、その廃棄物になる前のその製品自体の政策としては、(サーキュラーエコノミーを推進する国際団体の)EllenMacArthur Foundationの 数字だと カーボンの45%を占めるともいわれてい [テキスト, 手紙 自動的に生成された説明] ますし、日本についても36%という数字が、最大限ではありまが、中央環境審議会の方で出されていますので、循環政策を進めることはカーボニュートラルとの関係でも大いに関連していると思われます。

 

海洋汚染防止等の関係では、さっきの海洋プラスチック汚染の問題がありますので、その観点で循環政策が海洋汚染防止に関連しているということで、この辺りも循環政策を続けていく必要性の重要な理由にはなると思われます。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

さらに3 つ目が環境政策以外の政策と統合していくことで、これは循環政策をやりながら雇用政策もやっていくとか、 国際競争力の確保もしていくという、そういう観点です。 第5次環境基本計画にある地域基準環境政策というのは、若干これに近い発想を持っていると思いますけれども、環境政策を単独で環境政策だけでやっていくのではなく、雇用政策とかですね、この国際競争力の確保 とかそういうことも踏まえながら、やっていくというのが 重要性を増していると思います。その観点からも循環政策は 位置づけられるのではないかと思われます。

 

EUのサーキュラーエコノミーと日本の従来の政策との関係で、根本的な違いというのは、斎藤優子先生とか、白鳥寿一先生が 廃棄物資源循環学会誌で指摘されていますけど、「EU制度では電池の制度とWEEE(廃電気・電子機器指令)やELV(使用済み自動車指令)等、他の廃棄物制度との連携を強調しているが、我が国では業界ごとに活動が分散しており、それらに横串を刺し国全体として一方向を向くための法制度や スキームづくりが脆弱であったといわざるを得ないという」のは、 確かにそういう面があるかなと思います。我が国全体として対応していくとの意識が乏しいというところに特徴があるのかと思います。規制的手法に対する反発は、もっと拡大しているところがあり、こういう違いは出てきているかと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

次にそういう中で、循環管理政策の進むべき方向と思われるものとして、カーボニュートラ政策と統合したサーキュラーエコノミーの実現、国内さらに国外との競争上の公平を踏まえる必要があること、資源政策、雇用政策、成長政策を踏まえる必要があること、循環基本法の精神を再確認する必要があることとか、サブシステムの分断の回避。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

それから規制・責任と自主的取り組みのベストミックスを図る必要があることとか、安全・安心の基礎を堅持するために、化学物資対策とそのためのデータベースの構築が重要になっていること、さらに 自主的取組に関するESGの活用、こういう動きが重要になってきています。さらにこれに関する情報開示についても、金融庁の方で 始まりつつあるところです。義務化がされつつあるところです。それから最後に、その公衆の参加の可能性について一言申し上げておきたいと思います。この公衆参加はEUではそれなりに進んでいます。

 

このうち1、2、3、7、8番については 9月に中央環境審議会で環境省の政策として打ち出した循環工程表 の中に 入りましたので、国も対応しつつあります。

 

特に指摘しておきたいと思いますのは、1つはカーボンニュートラル政策との統合の問題です。これは 本日のテーマと応援に関連するところですが、2050年の廃棄物資源循環分野のカーボンニュートラルに向けて何をやっていくかということですが、化石廃棄物の焼却とか、原材料の利用、バイオマス系廃棄物の埋め立てなどに伴って、一定量の 温室効果ガスが排出されているので、3Rの強化とともに、この原料のバイオマス化を含む素材転換でカーボンニュートラル化していくというのが1つの方向であろうと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

それからエネルギー消費量の少ないその処理方式への転換とか、再エネの導入などによって実質ゼロ化に向けたその取り組をしていくということを考えていく必要があります。そうは言っても、衛生面から最小限の焼却処理が必要になりますので、 このような取り組みを経ても、なおその解決文脈から温室効果ガスの排出はゼロにならないと考えられるので、そこはCCUS(CO2の利用・貯留・回収)を活用するしかない。できるだけそれを減らして、最後のところはCCUSに頼るというところになると思います。

 

 

3R+リニューアブルの考え方に則って、廃棄物の発生を抑制する。それからマテリアリサイクルの義務化による資源循環をしていく 化石資源のバイオマスへの転換を図る、焼却せざるを得ない廃棄物についてはそのエネルギー回収とCCUSをやっていくという、これは中央環境審議会の部会で、検討が進められているものです。

 

次に2つ目のポイントとして、再生利用の結果、廃棄物から卒業する要件を検討する必要があるのではないかということです。EUはこれをやっています。その要件として廃棄物性の終了の要件を4つ挙げています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

使用目的を特定するとか、市場の存在、需要が存在していることとか、技術的要求、法令、基準に適用していること、さらに有害影響がないこと。この4つを満たした場合には廃棄物性を終了させるということを決めていて、こういう考え方を日本でも取り入れるべきではないか思います。

 

現在廃棄物の定義に関しては、5つの要素がありますが、この中で取引価値が最も重視されており、そのために廃棄物の終了がなかなか難しいという面があるので、EUの考え方などを参照しつつ、これについて検討していく必要があると考えています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

3つ目に循環基本法の精神の再確認です。これは義務的EPRに関しては、比例原則の適用があり、質的・量的に環境負荷が高いものが 対象になるということです。「当該製品等の設計とか、原材料の選択・循環 資源の収集等の観点から、事業者の果たすべき役割が重要と認められる」ものだけ、対象にされるということです。これは非常に対象が限定されているということです。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

具体的には太陽光パネルとか、電池のように、有害性があったり発火の可能性が高いものについては、義務的EPRが適当ということになりそうですが、なかなか導入しにくいという状況があります。そこでEPRという政策手法が注目されているわけです。これは物理的また金銭的に製品に対する生産者の責任を製品のライフサイクルにおける消費後の段階までは拡大させるという環境政策アプローチで、目的は環境配慮設計とか、生産者を中心とした上流と下流、さらに消費者とのコミュニケーションの強化です。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

EPRには4つの 発現形態があって、これは循環基本法に規定がありますが、廃棄物などになることの抑制措置、 表示、設計の工夫 、回収・リサイクルの措置、循環資源を利用できる者による利用になります。

 

この回収・リサイクルの措置を課すためには、2 つの要件があり、非常に限定されます。ドイツの循環経済法に規定があるように、「比例原則による限界」があります。

EPRの基礎に関する我が国における議論としては、汚染者負担原則の派生原則として考える考え方と、制御論としてのEPRという考え方に分かれています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

次に4つ目のポイントとして、環境政策手法と規範、つまり自主的取組尊重手法にどういうメリットデメリットがあるのかという話をしておきたいと思いますが、良い面ももちろんあって、社会の変化に柔軟に対応できるとか、行政活動における未知の要素の増加に対処できるとかという点です。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

一方で目標の達成を法的に担保できないとか、行政が適切な規制の時機を逸するとか、参加しないアウトサイダーがただ乗りして利益を受けることの不公平性という問題があります。

 

さらに、インセンティブに関する議論が欠如していく可能性があります。競争上の公平の観点からは自主的取組みには欠陥があるのではないかということです。自主的取組+助成金というのは汚染者負担原則から逸脱していって短期的には効果を発揮しますが、長期的には無尽蔵に助成ができるわけでないという問題もあります。

 

他方、規制的手法には、明確性、確実性という点ではプラスがあるが、被規制者の負担となる場合があることをどう考えていくかという問題があると思われます。

 

比例原則については、この3つの部分原則がありますが、特に3つ目の「比例制」については、行政庁によって用いられる手段と目的たる利益とが均衡を失していないということが必要になるということです。鶏肉を割く時に牛刀をもってすることなかれという発想がこの3の比例制の話です。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

ドイツには逆比例原則というのもあります。過剰規制だけでなく、過剰規制も過小規制も問題だということで、この学説も結構有力になってきています。

 

第5点として公衆への意見調書の可能性も検討する必要があるのではないかということで、これは EUとかイギリスでは制度導入前にパブリックコンサルテーションを行っています。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

制度検討の前の段階から制度の内容に関しての意見を聴取するということでして、我が国において、レジ袋の有料化をしたときにかなり反対意見がありましたが、国民に負担を求める政策をするときには、こういうパブリックコンサルテーションはかなり有効な手続きになるのではないかということを一言申し上げておきたいと思います。イギリスにおいて包装リサイクル制度の改正で、現在それがまさに行われているところです。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

最後に「リチウムイオン電池に対する対応」について若干話をしていきたいと思います。リチウムイオン電池はクリティカルメタルが含まれているので、資源の確保という点で重要性は高い。それから火災の発生という物理的な支障があるということで、本来EPR導入は適合的な場面ということができると思います。これに関してEUの電子指令がすでにできており、さらに規則案が現在出されている状況です。規則ということになりますとEU各国での違いは認めないということになるので、競争上の公平という点にも配慮していることになります。

 

 

この中でカーボンフットプリントのルールとか、二次原料の利用に関して、製造工場ごとに、一定割合以上にすることの証明をする技術文書の添付を命令するというようなことが打ち出されています。これは資源確保の観点からの配慮になります。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

それからポータブル電池の着脱とか交換について、使用期間中、また使用期間後に容易に取り外して交換できなければならないとの規定があります。スマホとかも含めて、この着脱交換ができない構造になっているから、小型化ができているというのが、 むしろメーカーの発想だと思いますが、それとは正反対のことを規定に入れているというのは、野心的だなと思いますし、持続可能な製品政策とか、その仕様の標準化とかを進めていくには、こういうことが大事になってくると思うので、野心的ではあるけども、参考になるかなと思っております。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

情報に関しては、バッテリーパスポートというのを考えていますので、これも情報伝達との関係で、二次原材料から生産される最終材の品質を確保するというのが目的です。さらに分別回収とか必要な安全対策などについての資金調達に関しては、EPRを導入することにしています。

 

我が国のリチウム電池に対する対応ですが、車載リチウム電池に対してはまだその段階にいっていませんが、車載以外に関しては自主回収が行われています。ただ、ここに示した問題点があります。消費者からの視点が欠如しているのではないかというようなこととか、電池一体型の製品が増えてきているという問題があります。火災事故への対応でも、リチウムイオン電池内蔵の表示がなされていないこととか、電池一体型が増加していて自主回収の対象になっていないあたりが、 市町村の火災対応を難しくしているところがありまして、これが上流問題のあることを示唆していると思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

  

資源有効利用促進法の中で、[指定再資源化製品」と「指定再利用促進製品」に、それぞれリチウムイオン電池を含んだ製品が入る可能性があるのですが、それぞれ少し問題点があるということで、これは経済産業省の方でも検討していると思います。

 

次に蓄電池の産業の具体的な課題です。資源有効利用促進法の中で、その対象製品を追加していくこととか、制度業者だけを対象にしていて輸入業者を対象にしていないことがあります。これは表示とか設計に関して、先ほど申しましたように輸入量が増加しているので、ぜひここは検討してもらう必要があるかなと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

生産量・販売量が一定数に達しないものは勧告・命令の対象にならないということは、ネット販売とか中小零細企業との関係では、対応が必要なのではないかという問題があります。車載以外のリチウムイオン電池に関しては、資源有効利用促進法を超えて義務的な制度がいるのではないかとか、議論をさらに進めてもらいたいと思っています。リチウムイオン電池が他の物品と違うところは、先ほど申しましたように、発火事故への対応が必要だということと、電池一体型製品には易解体設計の必要もあるということだと思います。この2点を理由に、他の物品とは差別化ができるのではないかということを申し上げておきたいと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

具体的な回収目標の必要とか、バッテリーパスポートのこととか、カーボンフットプリントとか、費用負担についての検討が必要だと思いますが、特にDfE(環境配慮設計)とか回収のインセンティブを生産者に与えるような仕組みを、ぜひ検討してもらいたいと思います。

 

循環工程表の中でも、この金属リサイクル原料の処理を2030年度に倍増させるという目標は打ち出されております。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

車載リチウムイオン電池ですが、現在3つある自動車リサイクル法のEPR対象物品に、車載リチウムイオン電池を加えるかどうかというのが、将来的には問題になり得るかと思っておりますが、やはり発火事故のことが、そういう考え方を入れることの検討理由になるかということを申し上げておきます。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

資源確保の必要とか、消費者の行動変容のための施策とか、 インセンティブの付与とか、情報伝達などは 従来配慮が乏しかった点ということになりますが、先ほどのサーキュラーエコノミーの議論にもあったように、今こういう点を配慮していく必要があると思います。

 

対応の基礎となる事情としては、繰り返しにも若干なりますが、規制とか、規制条件とか、資源確保とか、国益と一部の企業の利益が相反する可能性があることについての認識も大事になってくると思いますし、消費者の権利という観点が重要だとか、そのような点もあると思います。どのタイミングで回収とか、再資源化の目標とかを義務付けをするかというのが今後の重要なポイントになると思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

本日は循環サーキュラーエコノミーの目的と、その実現手法について話をしました。目的については、この天然資源の消費の抑制のところに資源確保というのを入れる必要があるのではないかということ、それから実現手法としては自主的取組促進手法と、規制的手法ないしインセンティブ手法とのバランスの取れた適用が必要ではないか、そのときのキーワードが国内外を問わない競争上の公平の確保であるということを申し上げておきたいと思います。特に輸入品が増えてきたことが、従来と状況が変わっている点であるということを 申し上げておきたいと思います。

 

(公開シンポジウムYouTubeより)

 

 

関連記事:「カーボンニュートラルと資源循環の両立の重要性と難しさ」――――日本学術会議 公開シンポジウム②

 

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